厚労省COCOA(感染確認アプリ)になく19歳プログラマーの『三密チェッカー』にあるもの
KNNポール神田です。
厚労省の新型コロナ接触確認アプリの『COCOA』は、テレビなどでも積極的にクレジットが表示されインストール数の比率までが公開されるようになっている。
2020年8月27日木曜日17時で約1,518万件のダウンロード数となり、18%とまもなく2割のインストール数となった。
6割目標まではまだまだほど遠いが、6月の開始3日目の270万ダウンロードからは5倍の増加である。
■厚労省の『COCOA』にないもの…
…と辛辣なオピニオンを書かせていただいた。そう、厚労省の『COCOA』アプリの代わり映えのしないUXでは、毎日、誰もが積極的に、安心安全を確認しようとはしないだろう。そして、万一『接触が確認されました』と表示される日までは、何もすることがない…。厚労省の『COCOA』にないもの、それは『変化』だ。人は『変化』のないものには安心感はあれど、興味は薄れていくものだ。
しかし、その『変化』を、アプリという形式で、とあるプログラマーが『三密チェッカー』としてAndroidアプリで提供している。
■数値化された『三密』と初対面できる『三密チェッカー』
https://play.google.com/store/apps/details?id=rabbitp.check.threec
Androidアプリの『三密チェッカー』の一番、秀逸なところは、『三密』をスマートフォンのセンサーではじめて『数値化』したことにあるだろう。スマートフォンはもはや『電話』というよりも、通信端末をもった各種センサーとカメラの集合デバイスだ。その機能を駆使して、『三密』と言語化され、三密避けましょう運動的なあいまいな定義のままの『新しい生活様式』を、数値で明確に顕在化させたことにあると思う。
■何よりも『三密』を測定するパラメータの設定が見事だ!
『三密』の『密閉』の測定方法は『マイク』による騒音レベルと解釈したところがユニークだ。そう、騒音レベルが高いところを密閉状態とと定義づけたのだ。これはプログラマーの文脈の理解度の高さといえるだろう。
そして、『Bluetooth』で『密集』『密接』を測定する。厚労省の『COCOA』もBluetoothを使ってはいるが、『陽性者』との近隣接触だけを見ている。この『三密チェッカー』は、15分ごとにデバイス接触数を○人と例えて表示する。
そして『位置情報』は、『危険度分布マップ』と地図情報とあわせて表示される。
変化のない『COCOA』と違い、『三密チェッカー』は変化に満ちている。何も変化のないまま電池を消費されるのは嫌だが、日々の自分の行動が『可視化』され、安心安全が数値化され担保されるのであれば、電池の消耗量など、控えのモバイルバッテリーを用意すればよいだけだと思う。
■スマートフォンの機能を駆使した『三密チェッカー』アプリにあるもの
三密チェッカーは、三密を可視化するだけでなく、自分の行動をグラフによって、脳が認知している行動形態ではない自分の行動をグラフ化してみせてくれる。
グラフは数値化だけでは読み取れない、右脳で感じ取ることができる状況把握のツールである。クリミア戦争時代に看護師として従軍したナイチンゲールが、円グラフの元となる鶏のとさかグラフで、野戦病院での死亡統計で戦死ではなく病院内の衛生状態を訴えたように、『三密チェッカー』は、『三密』を15分ごとに確認することによってリアルタイムな、スマートフォンの近接状況や自分の行動様式を記録し、新型コロナの感染要因を知る手がかりとなるのかもしれない。
『COCOA』は、後になってから接触結果を知らせてくれるが、それは危険宣告書のようなもので、2週間前も前のことを後で言われても完全に手遅れだ。しかし、『三密チェッカー』は、今を警戒する手がかりとはなる。スマートフォン同士の近接状態は目でも見ても明らかだが、人数で表示され、グラフで表示されることによって、あいまいな『自粛』を呼びかけられるよりも明確に、自身の行動の『選択肢』を広げることができる。この差は非常に大きい。
早期のiOS版の登場をとても期待したい。
■19歳プログラマーのアプリに込められたUX思想の高さ
また、インストールする時のUXも見事だ。このアプリを使おうとしているユーザーの心情をにくいほど理解しているのだ。開発したプログラマーが何歳であるかというのはあまり意味があるとは思えないが、ユーザーへのナビゲートをする『おもてなし感』がまったく『COCOA』とは違う。
まずは、インストールして最初に何をするアプリかの説明があり、それからアプリの許可をわかりやすく説明している。
また、準備が整った状態と、他のサービスも紹介されている。
さらに、グラフ化だったり、驚愕は最新情報として、東京都などの感染状況のデータが読み取ることができる。
『COCOA』も有志の人のスタートではじまったものだが、最終的には厚労省の管理体制だ。『三密チェッカー』は個人での開発で自由にフレキシブルにいろんなサービスをスピーディーに実装している。
19歳で期末考査と重なりという試練もあるかもしれないが、このようなプログラミングで社会にインパクトを与えられる属性の人が増えれば増えるほど、社会はもっとしなやかに経済性や合理性だけでない理想の姿へと近づくのかもしれない。プログラマーが未来を変化させてくれそうな気配を感じさせてくれるアプリだ! 厚労省は、しばらく休学して、出向してもらえるよう依頼してみてはどうだろうか?