真木よう子、仲里依紗、岩田剛典が出演。土曜ドラマスペシャル『炎上弁護人』(NHK)が今夜9時放送。
本日(12月15日)、夜9時からNHKで、単発ドラマ『炎上弁護人』が放送される。
物語は実家の2階で宅弁を営む弁護士・渡会美帆(真木よう子)の元に日下部朋美(仲里依紗)が訪ねてくるところから始まる。
マザー・テル美のアカウント名で、SNSで活躍する朋美は、タレント並みのフォロワー数を誇っており、日々の生活で主婦が感じる憤りを呟くことで人気を博していた。
しかし、彼女が批判したモデルルームが火事を起こした日に、現場を撮影してSNSにアップロードしたために、彼女自身が犯人ではないかと疑われてしまう。
朋美の弁護を引き受ける渡会。そこから物語は二転三転していく。
脚本は『昼顔〜平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)や『ハラスメントゲーム』(テレビ東京系)で知られる井上由美子、演出は井上と共に『お母さん、娘をやめていいですか?』(NHK)を手がけた笠浦友愛。
この企画は、笠浦が佐村河内守や小保方晴子の炎上騒動を見て、数年前から温めていたものだったという。
お母さん、娘をやめていいですか? チーフプロデューサー 笠浦友愛インタビュー
NHKでは10月に『フェイクニュース』という、インスタントうどんの中に青虫が入っていたことをSNSで何者かが告発したことをきっかけに起こる騒動を描いたドラマが同枠で放送された。
脚本を手がけたのは『アンナチュラル』(TBS系)や『獣になれない私たち』(日本テレビ系)
同じ時期にSNSの炎上を題材にした二作が放送されるのは単なる偶然かもしれないが、少なくともSNSや炎上といったインターネット上での出来事が、遠い世界で起きていることではなく、自分たちの生活に密接に結びついていると多くの人々が感じているからこそ企画が通ったのだろう。
筆者はどちらも最後まで面白く見たが、受け取る印象はだいぶ違う。
印象としては、『フェイクニュース』がSNSの炎上という”現象”をドラマという形で可視化しようとしていたのに対して『炎上弁護人』は炎上の先にある人間ドラマに焦点を当てているように感じた。どちらもネットやSNSを単純な悪として描くのではなく、もっとマクロな視点でこういう現実に対して人はどう向き合うかというテーマに挑んでいる。
『フェイクニュース』を楽しまれた方は、その辺りを意識して見ると楽しめるかもしれない。
もう一つの魅力は役者の存在感だろう。真木よう子と仲里依紗の演技は素晴らしく、二人の女性のバディモノとしても見応えがある。
一方、ユニークな存在感を見せたのがWebニュース記者・馬場明を演じた岩田剛典。軽薄な口調と態度で二人に近づき、ネット配信で実況しながら挑発的な行動をとる彼の振る舞いは、重厚な演技を見せた真木よう子と仲里依紗とは真逆の存在感を見せている。
今年放送された『崖っぷちホテル』(日本テレビ系)も良かったが、こういう軽い男を演じさせると岩田は光る。劇中には馬場が撮影するGOProの映像も登場するが、この一部は実子に岩田が撮影したものだという。
なお、本作は4Kカメラで撮影されており、12月12日にBS4Kで先行放送されている。
土曜ドラマスペシャル 炎上弁護人
NHKにて12月15日(土)夜9時放送