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都知事候補に東京の地下鉄一元化、その他鉄道の政策についてお尋ねしました

杉山淳一鉄道ライター
東京の地下鉄一元化問題は棚上げされたままです。(写真:アフロ)

東京都知事選挙についてはさまざまな報道があります。しかし、支持層や推薦政党などの組織票と表読みが中心で、都民の心にササる政策については語られていないように感じました。そこで、鉄道と社会を考える私としましては、各候補が東京の鉄道網についてどうお考えか、アンケートをお送りしました。その回答をそのまま紹介します。

なお、アンケートにつきましては投票日も近いこともありスピードを重視しました。わかる範囲で、公開されているメールアドレス、公式サイトのフォーム、Facebookのメッセージでお送りしております。また、ネット関連の情報がない方には郵送いたしました。

公正を期するため、21名すべての候補に質問したいと考えました。しかしながら、名簿順に岸本雅吉氏、宮崎正弘氏、今尾貞夫氏、望月義彦氏、武井直子氏、ないとうひさお氏は連絡先がわかりませんでしたのでお送りできませんでした。ご容赦ください。

アンケート送付は7月18日、回答は7月25日10:00といたしました。ご回答いただいた候補は到着順に、後藤輝樹氏、谷山ゆうじろう氏、中川ちょうぞう氏の3候補です。「Yahoo!ニュースで公開します」と申し上げたんですけども、この数はとても残念な結果です。これが私のような泡沫ライターの限界でしょうか。有権者の皆様のお役に立てるかどうか不安です。しかし、せっかく忙しい中でご回答をいただいた候補の思いを、謹んでお届けする次第です。文章は明らかな誤変換のみ修正しました。ほぼそのままです。掲載行の都合で改行を変更しています。

もし、これからでもご回答頂ける候補の方がいらっしゃいましたら、追記いたしますのでご連絡ください。後出しジャンケンはズルいと思うので、追記と明記します。

都営地下鉄について

質問:東京都の地下鉄事業については、石原都知事によって「東京メトロとの統合、一元化」が示され、後任の猪瀬知事が継承し、国土交通省主導にて「東京の地下鉄の一元化等に関する協議会」も開催されました。しかし、舛添知事時代にはまったく聞こえなくなりました。東京の地下鉄網は世界一の規模でありながら、経営が2分化され、運賃や旅客案内の上で不便という声もあるようです。東京オリンピックを迎えるにあたり、首都圏以外の国内外からの訪問者にとっても、わかりやすい公共交通体系が必要ではないかと思います。候補はいかにお考えでしょうか。

後藤輝樹氏

自分は、都営とメトロの料金体系を統一したいと思っています。乗換する時の割増運賃が掛からないようにしたいと思っています。理由は僕がケチだからです。乗り継ぎの際の二重払いが解消となるならば、必ずしも一元化にはこだわりません。また、料金だけでなく、都営とメトロが連携する事での利便性も向上出来たらいいなと思っております。

谷山ゆうじろう氏

当然ながら、オリンピックまでの一元化が必須だと考えます。現状は都民にとっても、外国人観光客にとっても不便極まりなくまったく「おもてなし」になっていません。

中川ちょうぞう氏

都営地下鉄と東京メトロとの一元化、経営統合、民営化を順次進めて経営効率化を図り、運賃の軽減とサービス向上に充てたい。東京五輪に訪れる内外の観光客や来訪者にとって、分かり易く、快適で乗り換えも容易な東京の地下鉄をアピールしたい。現在働いている交通局職員(公務員)の雇用は維持しながら民営化し、株式上場を目指す。株式の上場またはコンセッション方式へ移行させ、必ず都民益にする。

りんかい線、京葉線直通問題について

質問:東京臨海高速鉄道は東京都が9割以上を出資する第三セクターです。りんかい線は現在、新木場駅で折り返しており、JR東日本京葉線や東京メトロ有楽町線と乗り換えるために、いったん改札口を出る必要があります。しかし、りんかい線と京葉線は建設の経緯から線路がつながっております。森田健作千葉県知事は、京葉線とりんかい線との直通運転を強く望んでおられます。漏れ伝わるところでは「直通運転の結果、京葉線方面と埼京線方面の直通客に対して、りんかい線経由か全区間JR東日本経由か判別できないため、直通運転は難しい」という問題があるようです。利便性を考えれば、線路がつながり、車両の規格も同じであれば直通運転が妥当であると思われます。国土交通省の交通政策審議会答申(諮問第198号)の第2項で「直通運転を行う」と記されておりました。また、本項はJR東日本の羽田アクセス線建設においても直通予定です。そのためにも解決しなくてはいけません。候補は、この問題をいかに解決しようとお考えでしょうか。

後藤輝樹氏

自分はこの事を存じておりませんでしたが、解決した方が良いなら、解決すべきとは思います。あとはコストとの兼ね合いと思いますが、判別に関してはパスモやスイカ等を使えば、出来そうな気もします。とにかく、やった方がいいなら、やる。やらない方がいいなら、やらない。僕は、そういう人です。

谷山ゆうじろう氏

羽田空港から1人でも多くの外国人観光客を、都心部に安価で運ぶことぞ本物のおもてなしだと考えます。それを最優先に、そのために最も合理的かつベストな方向性を探ります。

中川ちょうぞう氏

利用者の利便性を考えれば、JR東日本(京葉線)と東京メトロ(有楽町線)の直通運転(相互乗り入れ)と、りんかい線とJRの直通運転(相互乗り入れ)を実現する。東京臨海高速鉄道(りんかい線)は東京都が9割以上を出資する第三セクターであり、りんかい線の整備という使命は既に終わっている。まずは早期の直通運転を実現するとともに、いずれJRに買収または路線を賃借してもらい、同社の路線として統合してもらう。直通運転の障害となっている、りんかい線経由の乗客か、全区間JR東日本を利用した乗客か判別できないためという問題については、ICTの技術で簡単にクリアできるし、それが万一難しい場合でも、ふたつの路線の日々の乗客数を集計して両方の運賃売上を按分すれば精算は可能だ。

踏切問題について

質問:「踏切道改良促進法等の一部を改正する法律」が今年3月31日に国会にて成立し、4月1日より施行されました。同法は「危険な踏切道や渋滞の原因となる踏切道について、国土交通大臣が指定を行い、道路管理者・鉄道事業者や地域の関係者が連携して、具体的な対策を検討する仕組み」となり、すでに国土交通大臣指定の踏切も発表されております。しかしながら、指定踏切につきましては、道路交通の渋滞解消を主としており、歩行者の通行が多い踏切は指定されていません。東京都内では東海道本線大田区内、東北本線北区内、常磐線荒川区内、足立区内など、人身事故発生頻度の高い踏切は指定されていません。立体交差化などの対策が必要と思われますが、いかにお考えでしょうか。

後藤輝樹氏

自分はこの事を存じておりませんでしたが、指定踏切になってるなってないかかわらず、対策した方がいいなら、やる。あとはコストとの兼ね合いです。

谷山ゆうじろう氏

立体交差化が必要な踏切を増やす。歩行者が多い踏切も、検討。安全目的に、鉄道会社にも一部負担してもらう方向で

中川ちょうぞう氏

東京都内の東海道本線大田区内、東北本線北区内、常磐線荒川区内・足立区内など、人身事故発生頻度の高い踏切は指定されていないし。立体交差化などの対策が必要であることは認める。連続立体交差事業は合意形成に時間を要するが、地域住民や地元行政などの意向も聞きながら、前向きに進めていきたい。

ゆりかもめ延伸計画について

質問:株式会社ゆりかもめは東京都が0.1%の株主です。99.9%の株主は東京臨海ホールディングスです。東京臨海ホールディングスの主要株主は東京都知事(85.12%)です。つまりゆりかもめは都知事の意向を反映しやすい公共交通機関です。現在は新橋から豊洲まで通じておりますが、豊洲から先、勝どきまでの延伸計画があり、豊洲駅の先にカーブ状の線路が用意されています。運輸政策審議会答申第18号にも記載されていますが、これを再検討した交通政策審議会答申(諮問第198号)では削除され、新たに第6項「都心部・臨海地域地下鉄構想の新設及び同構想と常磐新線延伸の一体整備」が答申されました。オリンピック開催、開催後を見据えて、臨海部の交通体系についての考え方をお聞かせください。

後藤輝樹氏

自分はこの事を存じておりませんでしたが、ネットで調べてみましたら東京ルート、有楽町ルート、新橋ルートがあるようですけど、オリンピック関係無く、利便性を考えて、最適なものをチョイスしたいなとは思います。コストとの兼ね合いもありますが、これは将来にわたって残るものですので、今後の都市開発も含め、ベストな選択をしたいとは思っています。

谷山ゆうじろう氏

ゆりかもめも、今後は羽田空港からの窓口の一つとして考えられます。駅から空港までのフェリー案も一つ。

中川ちょうぞう氏

オリンピックの開催や開催後の都市整備と人の流れを考慮すれば、臨海部のモビリティを新橋~豊洲の「ゆりかもめ」だけに依存する現状の交通体系はキャパシティ的にも限界である。銀座を経て豊洲まで繋がる地下鉄新線を整備するのが相当と考える。株式会社ゆりかもめは東京都が0.1%の株主で、99.9%の株主は東京臨海ホールディングスだが、その主要株主は東京都知事(85.12%)。株式会社ゆりかもめの資本政策は見直すべきである。

その他

質問:私(杉山)が気づいていない問題があるかもしれません。候補が東京の交通体系について、なにか政策をお持ちでしたらお聞かせください。

後藤輝樹氏

交通体系となると、車や飛行機様々ありまして、杉山様のサイトを拝見いたしますと、主に鉄道関係の事を取り扱われておりますので、鉄道系でのみ言及いたしますと、実現されなかった第二山手線構想を検討できたらと思っています。あとは、長短あるので、決めきれていないですが、鉄道の24時間化も検討はしております。あと、電車を利用していて、感じるのですが、空調が控えめ等、節電傾向が強い気がします。なので、やはり、そういう意味で、今の日本には原発が必要だと思っております。電車は電力で動いているので、その辺を上手くやる事で、料金も安くなるでしょうし、少なくとも高くはならないでしょうし、夏場の満員電車でも今よりは快適に過ごせるかとは思います。

谷山ゆうじろう氏

(回答はありませんでした)

中川ちょうぞう氏

カーシェアリング、自転車シェアリング、自動運転を導入することで都心の混雑緩和と過剰な駐車場整備を抑制できる。駐車場の付置義務台数が減れば、その分、防災備蓄や植物工場など施設のコンバージョンを進められる。

以上です。

鉄道ライター

東京都生まれ。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社でパソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当したのち、1996年にフリーライターとなる。IT、PCゲーム、Eスポーツ、フリーウェア、ゲームアプリなどの分野を渡り歩き、現在は鉄道分野を主に執筆。鉄道趣味歴半世紀超。2021年4月、日本の旅客鉄道路線完乗を達成。基本的に、列車に乗ってぼーっとしているオッサンでございます。

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