スマホと携帯、それぞれ「今使っていない」人の想いは
スマホ非利用者で「今後も要らない」は2割近く
携帯電話のトレンドは従来型からスマホに移行しつつあるが、今でもなお従来型を愛用している人も少なくない。それぞれの端末を今使っていない人は、将来欲しいと思っているのだろうか。その実情を総務省の調査「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2015年11月14日から11月20日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリングによって抽出し、訪問留置調査方式により実施。13歳から69歳の1500サンプルが対象。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日)の結果の公開値から確認していく。
次に示すのは回答者自身のスマートフォンに関する利用状況。世帯ベースでの所有状況では無いことに注意。利用している、非利用ならば将来取得したい(=利用したい)か、あるいは要らないか。なお機種に関する回答用紙の説明は「スマートフォン(iPhone、アンドロイド端末など)」となっている。
次に示すのは回答者自身のスマートフォンに関する利用状況。世帯ベースでの所有状況では無いことに注意。利用している、非利用ならば将来取得したい(=利用したい)か、あるいは要らないか。なお機種に関する回答用紙の説明は「スマートフォン(iPhone、アンドロイド端末など)」となっている。
全体利用率は68.7%と7割近く。男女別では同率で、世代別では10代ですでに8割超え、20代では95.4%とほぼ全員の状態。30代でも9割近く、40代でも8割半ば。50代以降ようやく値は減少し始めるが、それでも過半数を超えている。60代ですら1/4近く。
世帯年収別ではきれいな形で高年収ほど高利用率を示している。これもまた、毎月の通信料負担が大きな所有の要素となっていることがうかがえる。ただし400万円以上はほぼ横ばいとなり、1000万円以上で急な再上昇を示すのも興味深い。
現在スマートフォンを利用していない人の所有願望度合だが、全体ではほぼ2対3で不必要との意見の方が多い。一方で世代別では、若年層は欲しい人が多数に登るのに対し、高齢層では必要ないとの判断を下している人が増えてくる。特に60代では全体の過半数が「スマートフォンは現在持っていないし、今後も要らない」としている。
世代別のスマートフォン忌避傾向に似たような動きを示しているのが、世帯年収の差異。低年収ほど非利用率が高いが、加えて非利用者内における「要らない」派の割合も大きい。自分の環境から鑑み、コストパフォーマンスの観点で割りに合わないとの判断が下されているのだろう。
従来型携帯電話の利用率と、使っていない人の今後の希望は
続いて従来型携帯電話。いわゆるケータイ、ガラケー、フィーチャーフォン。回答用紙には「携帯電話(スマートフォンを除く。PHSを含む)」とあり、厳密にはPHSを含んでいる。また、スマートフォンとは別途の選択となっており、当然従来型とスマートフォンの双方を所有している場合は、それぞれで「利用している」と回答していることになる。
全体で利用率は36.8%。10代でも1割を超えているが、これは防犯用・保護者との連絡専用電話として子供向け携帯電話を与えられている事例があるため。以後、歳と共に漸増していくが、50代で急上昇し、60代では実に7割近くの利用率を見せる。また専業主婦・主婦や無職で高い値が出ているのは、この属性に属する人か多分に歳を召しているのも一因(例えば無職属性の約7割は60代)。
年収別、居住地域別の差はあまり無し。強いて言えば低年収ほど利用率が高い。これも高齢層の割合の高さ、そして通信料の負担を考慮し、スマートフォンを所有できない人がいるからだろう。
他方非利用者の動向だが、多分に「要らない」とする意見で占められている。現在従来型を有していない人は、その多分がスマートフォンを利用しており、わざわざ再度従来型に戻る意向を持つ人はあまりいないことになる。昨今では格安スマホが伸長しており、さらにスマートフォンの利用率拡大は(特にコスト面で気にしていた属性で)進み、それと共に従来型携帯電話への需要は縮退していきそうだ。
高齢者のスマホへの想い
やや余談ではあるが。スマートフォンのシニア層への普及に関して多様な意見や推測が成されているが、今回の調査結果動向を見るに、60代に限ると現在利用していない人で今後欲しい人は全体比で1/4、過半数は必要ない(≒現在の従来型携帯電話で満足)との状況が見受けられる。
3割程度でしかないのか、3割程度も可能性があるのかと見るのかはケースバイケースだが、若年層のように「使っていない人の多数がスマートフォンを欲しいと思っている」わけではないことを、改めて認識すべきだろう。
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