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触れていないのに皮膚炎を引き起こす?冬でも注意!チャドクガの発生と対策

TOUYA化学系研究者

 チャドクガは、日本全国に広く分布するガの一種です。卵から成虫に至るまで毒針毛と呼ばれる細かい毒針を持ち、接触すると激しいかゆみやかぶれを引き起こします。これらの毒針毛は、幼虫や成虫の体表に密集しているだけでなく、幼虫が脱皮した後の皮にも長く残るため、冬に木を剪定する際にも刺されることがあります。また、風に乗って広がることもあるため、直接触れなくても被害に遭うことがあります。

チャドクガの発生シーズン

 チャドクガの幼虫はツバキやサザンカなどツバキ科の樹木に発生します。葉の裏に産み付けられた黄色い毛玉状の卵塊で冬を越し、幼虫(毛虫)は4~6月と8~9月頃に発生し、7~8月と9~11月に成虫(ガ)になります。

成長過程は、卵 → 幼虫(毛虫) → さなぎ → 成虫(ガ)というサイクルです。

 孵化した幼虫は、葉の裏側の表皮を少し残しながら食べ進みます。成長すると、葉の裏や表に集団で並び、葉の縁から食べる姿が見られるようになります。ツバキやサザンカの葉に毛虫が密集している場合、チャドクガである可能性が非常に高いです。なお、気候によって発生時期が前後することや、年に3回発生することもあります。

チャドクガの安全な駆除方法

幼虫(毛虫)の駆除方法
 
駆除する際は、肌を露出しないように、長袖、長ズボン、ゴム手袋、マスク、メガネなどを着用しましょう。幼虫がいる葉には袋をかぶせ、枝ごと切り取って処分するのが効果的です。樹木全体に広がる前に駆除しましょう。園芸用駆除剤を使用する場合は、駆除剤をかけると幼虫が落ちてくるので、直接触れないように十分気をつけてください。幼虫を退治しても毒針毛が残るため、木に付着した毛にも注意しましょう。また、ごみ集積所にチャドクガが付いた枝葉を出す際は、同じ集積所を利用する方や作業員に注意を促すため、袋に「毛虫注意」といった表示をしておきましょう。

成虫(蛾)の駆除方法
 
成虫が飛んできた場合、止まった場所を濡れた雑巾や数枚重ねたティッシュペーパーで押さえ、毒針毛が飛散しないように捕まえるのが安全です。追い回したり、殺虫剤を使用すると毒針毛が拡散する恐れがあるので、注意が必要です。
(参考:茅ヶ崎市 チャドクガにご注意ください!

毒毛が付いた時の処置方法

 こすったりかいたりせず、刺された場所に粘着テープを貼って毒針毛を取り除き、そのあと流水でよく洗い流しましょう。抗ヒスタミン軟膏を塗り、症状がひどい場合は、皮膚科を受診しましょう。衣類に付着した場合、洗濯しても一部が残ることがあるため、接触した可能性のある衣類は他の衣類とは分けて、複数回洗濯するのが安心です。

まとめ:触れていないのに皮膚炎を引き起こす?公園や庭で気を付けて!チャドクガの発生と対策

 チャドクガは見た目以上に危険な存在です。チャドクガが引き起こす皮膚炎やかゆみで、毎年多くの人々を悩ませています。被害を未然に防ぐためにも、日頃から庭や公園の点検を行い、異変に気づいたら早めに対策を取るよう心がけましょう。


化学系研究者

東京工業大学大学院の修士課程を卒業後、化学メーカーの医学系研究者として従事。研究成果がメディアに取り上げられた経験有り。科学やAIを活用したお役立ち情報を書いていきます!

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