ガソリン価格は2週上昇で160円台回復、灯油価格は昨年の1割増し
資源エネルギー庁が10月23日に発表した石油製品価格調査によると、10月21日時点でのレギュラーガソリン店頭小売価格(全国平均)は1リットル当りで前週比+0.5円の160.1円となっている。
9月9日時点の161.40円をピークにその後は4週連続の下落となり、10月7日時点では159.00円と10週間ぶりの安値を更新していた。しかし、その後は2週連続の上昇となって160円台を回復した形になっている。結果的には、160円の節目を挟んでの高値圏でほぼ横ばい状態が続いていると総括できよう。
県別では、秋田+2.1円、北海道+1.9円、広島+1.9円、奈良+1.5円などの上昇が目立つ。
■中東産原油調達コストは高止まり
10月21日には米国のWTI原油先物相場が7月3日以来の1バレル=100ドル割れとなり、米国産原油の軟調地合が話題になっている。8月28日の112.24ドルをピークに10月22日時点では最大で12.6%の急落となっており、国内原油・石油製品価格に対しても下落イメージが強まり易くなっている。
ただ、日本の原油調達コストの指標となるドバイ産原油の方は、10月1日時点の104.75ドルに対して、22日時点では107.15ドルと寧ろ小幅上昇しており、特に海外原油相場を理由に国内ガソリン相場が大きく値崩れを起こす必要性は見出せない。
WTI原油相場の急落に関しては、専ら米国の製油所がメンテナンスシーズンを迎えた季節要因によるものであり、中東産原油相場の方には大きな変動は確認できない。10月はドル/円相場も目立った動きを見せていないこともあり、コスト環境は10月月初の段階よりも厳しさを増しているのが現実である。
実際、東京商品取引所(TOCOM)の原油先物相場(当限)は、10月23日終値で1キロリットル=6万5,890円となっているが、これは月初の6万4,100円を2.8%上回っている。9月4日に記録した年間高値6万9,800円は大きく下回っているが、引き続き原油価格動向を理由にガソリン価格が大きく値下がりする可能性は低い
もっとも、国内ではガソリン出荷の落ち込みを移して製油所稼働率が80%水準まで切り下がるなど、特に国内ガソリン需給要因から相場が上昇する理由も見当たらない。このまま特に大きな経済的なイベントが発生しないのであれば、年末に向けてガソリン小売価格は160円の節目前後で高止まりする展開が続く見通し。家計に対するダメージが大きく改善することはないだろう。
■灯油価格は昨年の1割増し
なお、灯油店頭価格は1リットル=101.7円となっているが、これは前年同期を11%上回る価格水準である。これから暖房油需要シーズンも本格化することになるが、灯油コスト負担も昨年の10%増し程度を想定しておく必要があろう。
気象庁の3ヶ月予報によると、10月は平年よりも温暖なものの、11月と12月は概ね例年並みかやや厳しい寒波が想定されている。灯油の値上がりと需要増の影響を前提に、冬場の家計計画を立てておきたい。