中国人口はピーク時に14億4000万人…国連予想による中印の人口推移をさぐる
人口はその国の国力を示す指標の一つで、その現状や今後の推移を見極めるには欠かせない値。そこで今回は国連の公開データを元に、アジア地域の人口面で注目すべき国として中国とインドにスポットライトを当て、西暦2100年までの人口推定値に関して、日本で良く行われている3世代区分と同様の仕切り分けを行い、その値をグラフ化し、状況の精査を行う。
取得するデータは国連による公開値の一つ「World Population Prospects, the 2017 Revision(世界人口の見通し、2017年改訂版)」(国連事務局経済社会局の人口部局による、人口統計学的な推計によるデータ)。中国とインドに関して、2015年から2100年までの推定人口値を3年齢階層区分(0~14歳、15~64歳、65歳以上)に仕切り分けして確認する。
まず最初は中国。
どこまでも人口が増え続けるイメージがある中国だが、今予想の限りでは2030年で頭打ち。以後は高齢者数を大幅に上乗せ、若年者数を減らしながら、人口全体も減っていく。高齢者数の増加も2060年で止まるが、若年層の減り方は一層大きく、高齢者「比率」ほぼ横ばいとなる。高齢化への歩みは日本より加速度が大きい感はあるものの、最終的に落ち着く高齢者の比率(約31%)そのものは日本(約36%)より下回っている。
続いてインド。
資料発表時点での世界最大人口を有する国は中国。しかしその中国は上記にある通り2030年で増加は頭打ち。一方、インドは2060年まで増加を継続しており、2025年に逆転する形でインドが人口のトップに立つことになる。インドにおけるピーク時の推定人口は16億7900万人。
インドでは2015年時点で14歳未満層が3割近くも居るのが特徴的。高齢化も一様に進んでいくが、スタート地点での余裕が大きく、高齢者人口比率が2割を超えるのは2075年に入ってからとなる。
大よそ今回紹介した両国も、そしてその他の新興国、さらには先進国も2050~2060年が人口動向におけるターニングポイントとなっている(中国はやや早めだが)。
その時点で各国の枠組みに変わりがなければ、との前提だが(かつてのソ連邦のように、国そのものの体制・構成に変化が生じる可能性はゼロとは言えない。冷戦終結前に、東西ドイツの統一や、ソ連邦の解体とロシア連邦などの形成を、誰が予想できただろうか)、各国の国際場面における立ち位置も、随分と変化しているに違いない。
人口数そのものや構成比率は、その国の国力の源となり、それは同時に国際的な発言力の大きな要因になるからである。
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