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芸能人ファンも多数。アンジュルムが見せる苦難を乗り越えたアイドルの強さ

斉藤貴志芸能ライター/編集者
右:伊勢鈴蘭、左:竹内朱莉(撮影/河野英喜)

ハロー!プロジェクトのアイドルグループ、アンジュルムが1年ぶりのトリプルA面シングルを発売する。蒼井優、橋本愛、菊池亜希子らファンを広言する芸能人も多く、その1人の堂島孝平が今回1曲を提供。メンバーの相次ぐ卒業にコロナ禍と苦難を経て、持ち前の“強い女”ぶりが進化も見せている。リーダーの竹内朱莉と伊勢鈴蘭に語ってもらった。

学校みたいな雰囲気をリーダーが作ってくれて

――竹内さんのブログで、伊勢さんの前髪を触るのが好きとありました。

竹内 ただいたずらするだけですけど(笑)、よく触ってます。

伊勢 私は本気で嫌がってます(笑)。前髪は崩したくないので。

竹内 れら(伊勢)はすごく話しやすくて、年の差も全然感じないし、ふざけ合える妹みたいです。

――リーダーとして、アンジュルムで伊勢さんに担ってほしいことは?

竹内 私はれらの歌声が好きです。声の質感も出し方も自分にはないもので、今後のアンジュルムを引っ張っていく存在になると思っています。

――伊勢さんは竹内さんから影響を受けたことはありますか?

伊勢 自分がアイドルとして活動する前は、グループの楽屋がこんな学校みたいな雰囲気だと思っていませんでした(笑)。何でも言い合えるのがアンジュルムは独特で、その雰囲気を作り出したのはリーダーの竹内さんのお陰だと思います。

――パフォーマンス面で学んだことは?

伊勢 大きいステージに立たせていただくとき、イヤモニをして歌っていると、竹内さんの歌の正確さを感じます。ライブの後半、みんなが体力を削られてきた中でも、竹内さんだけは最初と同じエネルギーのままですごいです。

竹内 体力作りは何もしてませんけど(笑)、声だけは大丈夫です。私の声帯は強すぎて。どれだけ歌ってもノドが嗄れず、体はどれだけ疲れても、ずっと同じ感じで歌えます。

卒業がないツアーでやっとカラーを出せて

――1年ぶりのシングルが発売されますが、アンジュルムが1年前と比べて変化したところはありますか?

竹内 若いメンバーが大きく成長しました。9期では為永幸音ちゃんはハロプロ研修生でしたけど、松本わかなちゃんと川名凜ちゃんは一般から加入して、右も左もわからない状態だったのが、最近は心配することがなくなりました。幸音ちゃんは自分の世界観に持っていくのが上手で、2人も負けじと個性を磨いて、パフォーマンスがどんどんカッコ良くなってます。毎回、ライブではっきりわかるくらいに。

伊勢 1年前に笠原(桃奈)さんがいた時代は、グループに大人の余裕があったと思いますけど、今は「気合いを入れていくぞ!」みたいな、全開の感じが見られます。私たちも後輩の成長に刺激を受けて、さらに頑張って、グループ全体のエネルギーが強まったように感じます。

――2人が個人的に、この1年で大きかったことはありますか?

竹内 私がリーダーになってから、メンバーの卒業がないツアーは今が初めてなんです。どうしても卒業するメンバーにスポットが当たっていたから、やっとアンジュルム本来のカラーをちゃんと出せるツアーになりました。グループの底上げに繋げられて、今の10人でどこにでも出ていけるレベルまで来られたと思います。

伊勢 去年は単独ツアーができなくて、ハロプロのコンサートでバラバラにやっていたので、個人でどう見せるかをすごく考えました。そこで積み上げたものを今のツアーで見せられていると思います。他のメンバーを見て「ここを磨いてきたんだな」というのも感じられて。

――伊勢さんはどんなことを磨いてきたんですか?

伊勢 歌とダンスのレベルアップを第一に、最近はステージでの見せ方を磨いていきたいと思っています。

竹内朱莉(たけうち・あかり) 1997年11月23日生まれ、埼玉県出身
竹内朱莉(たけうち・あかり) 1997年11月23日生まれ、埼玉県出身

素のワチャワチャした感じが出ています

――今回のトリプルA面の3曲で、個人的な好みで特にどれかにハマったりはしましたか?

竹内 私がファンだったら、『愛すべきべき Human Life』がめちゃめちゃ好きだろうなと。堂島孝平さんに提供していただいて、アンジュルムに対する愛が感じられて。私たちも歌っていて、すごく楽しいです。

――軽快なスカナンバーです。

竹内 最近のシングルになかった曲ですね。『愛・魔性』や『ハデにやっちゃいな!』の路線が多くなって、それをアンジュルムらしいと言っていただけますけど、この曲を聴いてもらったら、素の私たちのワチャワチャした感じがわかります。「これは私たちだ」みたいな詞がいっぱい詰まっているので。

――たとえばどの辺ですか?

竹内 2番のAメロの、テーマパークで知らない人に手を振る話なんて、実際に全員で遊びに行ったときにやったことです(笑)。たぶん堂島さんがブログとかから得た情報を、入れてくださったみたいです。

伊勢 私も『愛すべきべき Human Life』は初めて音源を聴いたとき、何回もリピートしたくらい好きです。サビの<お先はまっキラだ>とか、私たちのテンションの高さやポジティブさに合っていると感じました。

――スカのリズムにも馴染めて?

伊勢 弾んでくる感じで好きです。この曲は、とにかくずっと笑って歌うように言われました。

――MVも楽しげですね。

竹内 初めてキメカットがほぼないMVになりました。お菓子パーティーやカードゲームをして、1日遊んでいたら撮影が終わっていて(笑)。

伊勢 屋上で騒ぐところで、竹内さんがいきなりでんぐり返しをしてました(笑)。

竹内 やった(笑)!

伊勢 本当に自由で顔も気にせず(笑)、みんなではしゃいでいる感じでした。でも、完成して観たら、ただふざけているだけでなく、楽しさが伝わってきました。

伊勢鈴蘭(いせ・れいら) 2004年1月19日生まれ、北海道出身
伊勢鈴蘭(いせ・れいら) 2004年1月19日生まれ、北海道出身

大人な歌詞を背伸びして歌うのもいいなと

――ラテンナンバーの『愛・魔性』では、情熱的に押してくる女性が描かれています。

竹内 この曲のMVはほぼバキバキのダンスショットをメインに、カッコ良く仕上がりました。振付も情熱がテーマで、ここまで大人っぽい歌詞もあまりなくて、いつもと違う一面も見てもらえると思います。

――終電間際に<口説けるきっかけをあげる>とか。

竹内 私は終電といったら、乗り遅れないようにダッシュするだけですから(笑)。最近は背中を力強く押す歌詞が多かったので、『愛・魔性』で女性らしさを全面的に出して、ひとつ引き出しが増えました。

――伊勢さんは歌い出しを担当していて。

伊勢 自分にはすごく難しい部分があった曲です。最初のソロもそうですけど、初めて歌ったときから苦戦すると思いました。まだ自分の中にちゃんと落とし込めてなくて、その分、成長に繋げられる1曲だと感じています。

――どの辺が難しいと?

伊勢 歌い方も表現の仕方も、情熱というとワンパターンになってしまう気がしていて。ありがちな雰囲気にならないように、いろいろ冒険して歌っていきたいです。

――大人っぽさはイメージしつつ?

伊勢 そう歌えるようにはしています。でも、若いメンバーが歌うパートが多いので。今のアンジュルムで大人な歌詞を背伸びして歌っている感じも、すごくいいなと思います。

竹内 私たちは若いメンバーをダンスでサポートすることを意識しました。

「じれったい」がしっくりハマってました

――とはいえ、ラスサビの<今夜を逃さないで>で竹内さんが髪をかき上げるように歌っているのは、インパクトあります。あそこはセクシーにキメようと?

竹内 全然思ってないです。踊っていて、髪が邪魔だったんじゃないですか(笑)? それが大人っぽく見えていたらラッキーですけど、難しいパートをいただいて、私も探り探りやっています。

――為永さんが言っている「じれったい」は、全員録ったんですか?

竹内 私は録ってません。

伊勢 私も。幸音ちゃんだけだと思います。

竹内 完成して聴いてオーッとなりました。

伊勢 幸音ちゃんは台詞やキメるところがすごく上手な印象があって。最初はビックリしましたけど、しっくりハマっています。

「自由に」と言ってきたのが曲になりました

――山崎あおいさん作詞・作曲のクールなダンスチューン『ハデにやっちゃいな!』は、共感どころが多いですか?

竹内 アンジュルムが歌うからこそ、説得力がある曲だなと思います。自由に好きなメイクやファッションで表に出たいと、今までずっと言っていたので。それが曲になった感じで嬉しいです。

伊勢 共感できますし、聴いていると、もっとハデにしたい気持ちになります(笑)。メイクしながら聴きたいですね。

――MVではそれぞれの衣装でファッションショーをしているシーンもありますが、皆さんの私服はどんな感じですか?

竹内 私はシンプルなのが多いです。アクセサリーやアイテムはハデですけど、服はデニムにTシャツとか。キャップやカバンでアクセントを付けるくらいです。昔はハデでしたけど、大人になりました(笑)。

――昔はどんなハデさだったんですか?

竹内 ゴチャゴチャで意味がわからなかったですね(笑)。ボーダーに水玉を合わせたり。

伊勢 私の服は季節によって全然違います。冬はダボッとしたパーカーが好きで、春はフワフワしたワンピースを着たくなります。

――この曲でも、竹内さんの<最強じゃん>のフェイクが印象的です。

竹内 フェイクはレコーディングのときに、ディレクターさんと「ちょっとやってみる?」「あっ、ハイ」みたいなやり取りで決まります。「よっしゃ! やってやるぜ」みたいなのはなくて(笑)。録ってみたら音源に入れてもらえた感じで、ありがたいです。

――『FREE STUDIO』での清塚信也さんとのトークでも、フェイクは本来すごく難しいのに竹内さんは無意識にできる、という話が出てました。

竹内 自分ではそんなにすごいことだと思ってなかったので、そう言っていただけて嬉しかったし、そんな感覚を持っていて良かったです。

1人1人の中身が全然変わりました

――アンジュルムには今回楽曲提供した堂島孝平さん、蒼井優さんと山里亮太さん夫婦など、芸能人のファンも多いですよね。

竹内 私たちも知らなかったところで「えっ、アンジュルムを好きなんですか?」みたいなことが多いです。そう言っていただけると、私たちも本当に嬉しいです。

伊勢 私はもともと新木優子さんがすごく好きだったので、ライブの楽屋にいらしたときは衝撃的でした。

竹内 泣いていたもんね(笑)。

伊勢 ごあいさつさせていただいて、泣くくらい感動でした。ライブのたびに感想を伝えてくださって、私の誕生日に近かったライブでは、プレゼントまでいただいたんです。私のほうがファンの立場なのに、本当にありがたく思います。

――今回のシングルにも現在のアンジュルムの充実ぶりが現れていますが、皆さん自身もグループに誇りを持っていますか?

竹内 メンバーの半分くらいが、3ヵ月ごとに誰かが卒業した時期や、コロナ禍でライブができない時期を乗り越えてきました。いろいろな想いをして、やっと今ツアーができるようになって。1人1人の見た目やパフォーマンスだけでなく、中身の強さも全然違います。すごく大変な時期があったからこそ、個々がどんどん強くなって、ライブをやってない間に、お互いの考えていることがわかる関係性になりました。先輩がドシッと構えていてくれるので、年下の子たちが伸び伸びできて、他のアイドルに出せないものが出せる。そういう強さが今のアンジュルムにはあると思います。

伊勢 私は最近、橋迫鈴ちゃんとグループの真ん中の代として2人で話すことが多いんですけど、先輩たちの強さと若い子たちの堂々としたパフォーマンスが、今一番いいバランスではないかと。1人1人が自分の立場を活かしながら団結しているので、アンジュルムの良さが溢れているのをすごく感じます。

撮影/河野英喜

アンジュルム

2009年4月にハロー!プロジェクトの研修生メンバーでスマイレージとして結成。2010年5月に『夢見る15歳』でメジャーデビューし、同年の日本レコード大賞で最優秀新人賞。2014年10月にアンジュルムに改名。フランス語のange(天使)とlarme(涙)を組み合わせた造語。現在のメンバーは10人。上國料萌衣がCMやバラエティでも活躍して注目されている。6月15日に日本武道館公演を開催。

アップフロントエージェンシー提供
アップフロントエージェンシー提供

『愛・魔性/ハデにやっちゃいな!/愛すべきべき Human Life』

5月11日発売

通常盤A
通常盤A

初回生産限定盤A・B・C(CD+BD) 2200円(税込)

初回生産限定盤SP1(CD+BD) 2200円(税込)

初回生産限定盤SP2(CD+動画ダウンロードカード) 1650円(税込)

通常盤A・B・C(CD+トレーディングカード) 1300円(税込)

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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