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NY原油17日:在庫増に対する警戒感強く、09年3月以来の安値更新

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油4月限 前日比0.42ドル安

始値 43.84ドル

高値 44.20ドル

安値 42.63ドル

終値 43.46ドル

引き続き米原油在庫増加に対する警戒感が強く、続落した。

明日に週間在庫統計が発表されるが、市場予測では米原油在庫は前週比で+440万バレルとなっており、過剰在庫環境が再確認されるとの警戒感が上値を強力に圧迫している。こうした状況は突然に始まったものではないが、13日に国際エネルギー機関(IEA)が在庫保管能力の限界に言及したことが効いており、改めて在庫環境に対する関心が高くなっている。

このまま在庫増加傾向が続けば、米国内での在庫保管量を増やすことは難しくなり、当然に安値で売却せざるを得ない状況になる。その先には生産調整の動きも想定されるが、目先は過剰在庫が需給緩和感を推し進めるのみならず、価格のディスカウント圧力に直結するとの警戒感が強い。

引け後にはAPIから先行して週間在庫統計が発表されているが、原油在庫は前週比1,050万バレルと急増している。こちらは前週に米エネルギー情報局(EIA)と違って在庫減少を報告していただけに、EIAの統計でここまで在庫増が進む可能性は低いと考えている。ただ、在庫積み増しトレンドが継続していることが再確認される中、時間外取引のWTI原油は42ドル台中盤まで更に値位置を切り下げている。これは2009年3月以来の安値になる。

引き続き、足元の潤沢な在庫環境が嫌気されており、一時的に40ドル台を割り込むリスクも十分にある。中長期的にはボトム圏に近づいているのは間違いないが、短期スパンでは依然として戻り売り対応の方に魅力を感じる。特に急激なドル高傾向が続いている間は、地政学的環境に大きな変化などが生じない限り、本格反発は想定しづらい。チャートの形状も悪化する中、トレンドフォローの売りがどこまで膨らむのかに注目したい。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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