7月3日から新しい紙幣が発行されるが、これまでの紙幣も使うことができる
財務省と日銀は、3種類の新たな紙幣の発行を2024年7月3日から始めると発表した。日銀のサイトによると、新しいお札は、7月3日以降、日本銀行から金融機関に支払われ、準備が整った金融機関から、順次、金融機関の窓口やATM等において入手が可能となる。
国立印刷局では「新しい日本銀行券特設サイト」も設置された。
「新しい日本銀行券特設サイト」 https://www.npb.go.jp/ja/n_banknote/
私たちが使っているお札お、つまり日銀券の「発行」は日銀が行っている。ただし、日銀券の「製造」は独立行政法人国立印刷局が担当している。製造された紙幣は日銀がその費用を支払って引き取ることになる。
銀行などの金融機関は個人や企業への支払に必要な分を用意するため、日銀の当座預金から引き出すことによって日銀券を日銀の窓口から受け取る。これよって日銀券が世の中に送り出され、お札の「発行」となる。
現在、日本で使うことのできるお札は22種類ある。この「使うことができる」ということを「強制通用力がある」といい、日銀券は日銀法で法貨として無制限に通用すると定められている。
日銀がこれまで発行した53種類のお札のうち、現在使うことのできないお札が31種類ある。この31種類とは、関東大震災後の焼失兌換券の整理に伴うものや、終戦直後のインフレ進行を阻止するため行われたいわゆる新円切替に伴ってのもの、「銭」表示のような1円未満の小額通貨で、これらは3回にわたって回収・廃棄が行われた。その結果この31種類のお札は現在、通用力を失っている。
これはつまりそれ以外のお札は、新しいお札が出ても使用可能ということになる。簡単にいえば「円単位」で表示されているお札であれば使用できる。1万円札でいえば聖徳太子のものでも福澤諭吉先生のものでも、今後も利用可能である。
新たな紙幣には、一万円札に「近代日本経済の父」と呼ばれる渋沢栄一、五千円札には日本で最初の女子留学生としてアメリカで学んだ津田梅子、千円札に破傷風の治療法を開発した細菌学者の北里柴三郎の肖像がデザインしてある。
新しいお札は、150年以上にわたり培った偽造防止技術の結晶と国立印刷局のサイトにあるが、お札が変わるのは偽造防止が大きな目的となる。また、その技術の継承も必要となる。非常に高度な印刷技術が使われている。
すでにキャッシュレスの時代でお札はいらなくなるとの見方もある。中央銀行デジタル通貨の研究も進んでいるところもあるが、残念ながら匿名性が失われるリスクもあり、仮に膨大となるシステムが構築されても、それが使われることは考えづらいと思う。