テック大手のリストラ続々、新たな現実に直面 グーグル、アマゾン、メタ、ツイッターなどの人員削減まとめ
テクノロジー大手の間で大規模な人員削減策を打ち出す企業が増えている。過去10年間、積極的に投資を拡大し、採用を増やしてきた各社は今、新たな現実に直面しているようだ。
米国を中心とするテック企業のリストラ情報を集計するLayoffs.fyiによると、2022年における人員削減数は合計で約16万人。23年は3月1日時点ですでに約12万人に達している。
米CNBCやロイター通信は、主要企業のリストラ情報を公表した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)特需が急速にしぼむ中、各社はレイオフ(一時解雇)を余儀なくされている。今後、世界最大の経済大国で成長が鈍化し続ければ、より多くの人員削減が明らかになる可能性があるという。
以下は、これまでに発表された各社の人員削減策である。
●米アルファベット(Alphabet):1万2000人
米グーグルは23年1月20日、グループ全体で約1万2000人を削減すると発表した。対象となるのは、持ち株会社である米アルファベットの従業員の約6%。スンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)は製品や事業、役職、地域を問わず、全社を横断するものになると説明した。アルファベットでは傘下の生命科学企業、ベリリー・ライフサイエンセスが200人程度の人員削減を発表していたが、今回のような大規模な人員削減はこれまで実施していなかった。
●米マイクロソフト(Microsoft):1万人
米マイクロソフトは23年1月18日、全従業員の5%弱にあたる1万人規模の人員削減計画を発表した。サティア・ナデラCEOは同日従業員宛てのメッセージで、「世界の一部の地域は不況に陥り、別の地域では不況が予想されており、あらゆる業界・地域の企業が慎重になっている」と述べた。その一方で、人工知能(AI)など将来に向けた戦略分野での投資や人材採用は続けると明らかにした。
●米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com):1万8000人
米アマゾン・ドット・コムのアンディ・ジャシーCEOは23年1月4日、事業計画の見直しに伴う人員削減の規模が計1万8000人超になると明らかにした。この人数はアマゾン全従業員数の約1.2%、同社オフィス職従業員数の約5%に相当する。過去1年間に明らかになったテクノロジー大手のリストラとして最大規模となる。同社はコロナ禍の需要増を受け、雇用を拡大してきた。19年12月末時点で約80万人だった世界従業員数は、21年末までに160万人超に増えた。
●米セールスフォース(Salesforce):8000人
顧客管理ソフト大手の米セールスフォースは23年1月4日、全従業員の10%にあたる約8000人を削減すると発表した。これは、同社最大の人員削減。マーク・ベニオフ共同CEOは従業員宛ての書簡で「困難なマクロ経済を背景に、顧客は購買により慎重になっており、非常に難しい決定を下すことになった」と説明した。
●米メタ(Meta):1万1000人
交流サイト(SNS)「Facebook」などを運営する米メタは22年11月、全従業員の約13%にあたる1万1000人超を削減すると明らかにした。これは、04年の創業以来初の大規模リストラ。マーク・ザッカーバーグCEOは、従業員に対し「これは悲しい瞬間だが、回避する方法はない」と説明した。パンデミック中に急増したオンライン活動が、その後も続くと想定したことは間違っていたと認め、「私はその責任を負う」などと謝罪した。
●米ツイッター(Twitter):3700人
SNSの米ツイッターでは、22年10月下旬のイーロン・マスク氏による買収完了直後、全従業員の約半数にあたる3700人が削減された。それ以降、マスク氏の在宅勤務に関する方針変更などに反発する多くの従業員が同社を去った。マスク氏は22年11月4日付のツイートで「会社は1日あたり400万ドル(約5億1500万円)を失っており、レイオフに選択の余地はない」と述べた。
■IBMやネットフリックス、テスラなども
このほか、比較的規模の大きい人員削減は以下の通り。
・米IBM(コンピューティング、ソフトウエア、コンサルティング):3900人
・米リフト(Lyft)、ライドシェア:700人
・米ストライプ(Stripe)、オンライン決済:1100人
・米ネットフリックス(Netflix)、動画配信:450人
・米スナップ(Snap)、SNS:1000人
・米テスラ(Tesla)、電気自動車:6000人
・米ロビンフッド・マーケッツ(Robinhood Markets)、スマホ証券:1100人
・米コインベース・グローバル(Coinbase Global)、暗号資産交換業:2000人
・カナダ・ショッピファイ(Shopify)、電子商取引プラットフォーム:1000人
- (本コラム記事は「JBpress Digital Innovation Review」2023年2月3日号に掲載された記事を基にその後の最新情報を加えて再編集したものです)