【富士宮市】源頼朝の観音様を祀った『古田の観音さま』 こんなところにも富士の巻狩の伝承があったとは!
市内には富士の巻狩にまつわる伝承が残されている場所が多く残されています。
その多くは観光名所としてガイドブックなどに紹介されていますが、『古田の観音さま』は、知る人ぞ知る隠れた名所です。
『古田』と言うのは、古くからの地名で、現在の沼久保から芝川に抜ける道沿いのセブンイレブン富士宮羽鮒店さん辺りを示すようです。
『古田の観音さま』は富士の巻狩で、源頼朝が安居山を訪れ昼食を取ったときに兜から前立から取れて落ちた観音さんを村人が見つけて祀ったのだそう。
前立とは、兜の前面に取り付けられた兜の装飾物のことです。武将達が自らの思いを形にする手段として最も用いられていたとされているのが前立です。有名ところだと、伊達政宗の大きな三日月、上杉謙信の三日月と日輪、徳川家康のシダの葉や真田幸村の六文銭でしょうか。
しかし富士の巻狩の絵図を見ると、源頼朝は兜ではなく綾蘭笠をかぶった姿で描かれていました。こうなると単なる言い伝えに過ぎないと思っていましたが、『鎌倉殿の13人』の中で源頼朝が髻(もとどり)の中に小さな観音さまを仕込んでいる姿を見て、源頼朝の兜ではなく、髻(もとどり)から落とした観音像としたら、蓋然性があります。
これは訪れる価値ありと、地元の歴史に詳しい方に場所を教えて頂き、出かけてみました。
セブンイレブン富士宮羽鮒店さん手前の羽鮒方面に向かう右折の道に差し掛かってすぐの右側に、お題目などが彫られた石碑などが立っています。
その右側には細く急な階段が山の中腹まで続いています。
両側を竹林に囲まれていますが、階段付近は草も刈られていて、放って置けば枯葉に地面が覆い尽くされてしまいそうですが、定期的に清掃されているようで、上まで見渡すことができます。
石段には最近付けられたと思われる手摺があり、多少足場は悪いですが手摺のおかげで不安なく登れます。
階段中腹には、小さなお墓らしき石碑と立派な桜の木があり、登り切ると階段は100段前後。
結構高いです。登り切った所は、山肌を切り開き平らにしたと思われる平坦な空間があり、木造の拝殿が厳かに佇んでいました。
辺鄙な場所ですが、置かれたばかりの掃除用具などからして、普段からどなたかが綺麗に管理しているのだと伺えました。
鎌倉時代、現世での願いを聞き入れ、生きる苦しみを軽減する有難い仏として信仰を集めていた観音さま。観音像を見つけた村人は、きっと手厚く祀ったに違いありません。
年季の入った鈴緒を揺すり、手を合わせると「迷わず進め」と力強く背中を押してもらえたような、そんな気がしました。
ちなみにやぶ蚊がとても多いと言われ、長袖、長ズボン完全防備で行きましたが、カメラを持っていた左手を集中攻撃されました…
訪れる際は長袖、長ズボン、虫よけスプレーなど念には念を入れて、覚悟して訪れて下さいね…
古田の観音さま
住所:富士宮市羽鮒字古田
アクセス:セブンイレブン富士宮羽鮒店さん手前の羽鮒に向かうT字路を右折してすぐ右側