NY金16日:ギリシャ情勢への警戒続くも、小反落
COMEX金6月限 前日比3.30ドル安
始値 1,201.80ドル
高値 1,208.80ドル
安値 1,194.30ドル
終値 1,198.00ドル
ドル安やギリシャ債務不安で買いが膨らむ場面もみられたが、良好な米指標が上値を圧迫し、小反落した。
アジア・欧州タイムは前日の堅調地合いを引き続き、1,200~1,210ドルのレンジで乱高下しながらも、底固い展開になった。特に新しい展開があった訳ではないが、ギリシャ債務問題の解決見通しが立たないことが嫌気され、投機マネーが安全志向を強めた結果である。債券市場では、ドイツ9年債利回りがマイナスになる一方、ギリシャ10年債利回りは約2年ぶりの高水準に達しており、ギリシャのデフォルト・イベントに備える動きが活発化したことが窺える。ただ、本格的にリスクオフの動きを進めるような展開にはならなかったことで、金価格の押し上げ効果は限定された。欧米株は総じて売り優勢の展開になったが、本格的な値崩れには至らなかったこともあり、金相場は二桁高を維持するのに失敗している。
ニューヨークタイムに入ると、4月フィラデルフィア製造業指標の発表を受けて、逆に戻り売り圧力が強くなっている。同指数は前月の5.0から7.5までの上昇に留まっているが、手掛かりが乏しい中で、利上げへの方向性を支持する内容と評価されている。また、フィッシャー米連邦準備制度理事会(FRB)副議長が、米経済の回復が進行中との見方を示したことも、金価格に対してはネガティブ。年内の利上げ観測も事実上追認する発言が効かれたが、その後の追加利上げについてはなお慎重な姿勢を繰り返す、従来通りの発言内容に終始している。
引き続き、ギリシャ債務問題については注意が必要。24日のユーロ圏財務相会合に向けて債務不安が強まれば、当然に金価格に対してはポジティブ材料になる。本日のギリシャ10年債利回りは一時12.5%を突破しており、ギリシャ債利回りの急伸傾向が続いている間は、金価格に対しても瞬間的な上昇圧力が強まるリスクがある。ただ、それがFRBの金融政策正常化プロセスに影響を及ぼさないのであれば、一時的な戻り圧力の有無という視点に留まる。引き続き、利上げ着手の時期が近づいていることに対する警戒感は強い。本格的な下げには米長期金利の上昇、ドル高が必要不可欠であるが、ギリシャ債務問題に絡んだ戻り圧力がみられれば、売り場になるだろう。