Yahoo!ニュース

インプレ速報!都会に溶け込みラフロードを駆ける ハスクバーナ「SVARTPILEN 401」

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
Husqvarna SVARTPILEN 401

惹かれる奇抜さ

画像

スヴァルトピレンとは「黒い矢」という意味らしいが、聞きなれない発音に異国情緒を感じる。スウェーデン生まれの北欧デザインというと、IKEAや4輪のボルボなどが有名だが、ハスクバーナもまた独特だ。ドイツともイタリアとも異なる、ましてや日本人には想像すらできないような奇抜ともいえるカタチに惹きつけられる。

都会の冒険者

奇抜に見えて上品なデザインは都会の風景にもよく馴染む。街行く人々の視線も熱く感じられた。
奇抜に見えて上品なデザインは都会の風景にもよく馴染む。街行く人々の視線も熱く感じられた。

近年、KTMの傘下に入ったことで、ハスクのマシンはプラットフォームの共有化が進められている。つまりエンジンとシャーシは基本的に390DUKEと同じだ。ただ、これはガッカリすることではない。何故なら390DUKEは非常によく出来たモデルだからだ。125/250DUKEと共通の軽量コンパクトな車体に格上のパワフルな水冷単気筒エンジンを搭載した390DUKEは、ワインディングでは大排気量スポーツ顔負けの走りのパフォーマンスを発揮する。同様にスヴァルトピレンも400ccクラスとは思えないトルクフルで俊敏な走りが持ち味だ。

 

元々がオフロード由来のエンジンだけに歯切れの良い鼓動を伴った低中速トルクが気持ち良く、ゴツゴツとしたセミブロックタイヤ独特のフィールと相まって、アスファルトを蹴り出しながら進んでいく感覚が実に心地よい。都会的センスと道具っぽいタフさが微妙に溶け合った、まさにアーバンアドベンチャーと呼ぶに相応しい新鮮味溢れるモデルだ。

ネオレトロ、ストリートファイター、デュアルパーパス……そのどれにも当てはまらない新しいデザインの魅力がある。
ネオレトロ、ストリートファイター、デュアルパーパス……そのどれにも当てはまらない新しいデザインの魅力がある。
大胆にリヤセクションを切り取ったようなミニマライズされた車体。未来からやってきた乗り物のようでもある。
大胆にリヤセクションを切り取ったようなミニマライズされた車体。未来からやってきた乗り物のようでもある。

ラフロードも楽しい

林道も試しに走ってみた。さすがにミスマッチとは思っていたが意外や意外。トラクタブルな出力特性とタイヤの威力によって土を掻いて進んでいく。ライポジ的にはハンドルが近くシートが高めの欧州的ファイタースタイルなので必ずしもオフ向きとは言えないが、それでもWP製サスペンションの前後140/150mmの豊富なストローク量と軽さを活かしてシッティングのままでも、ちょっとしたワダチ程度ならものともせずに走破してしまう実力がある。フラットダートが続く林道であれば、かなり楽しめそうである、というか仕事を忘れて楽しんでしまった。

林道に足を踏み入れてみた。雨上がりで深いワダチなどもできていたが、WP製サスペンションとスポークホイール、ブロックタイヤの威力で安心して走破できた。
林道に足を踏み入れてみた。雨上がりで深いワダチなどもできていたが、WP製サスペンションとスポークホイール、ブロックタイヤの威力で安心して走破できた。

足着きは抜群……とは言えないが、倒立フォークの割にはハンドル切れ角も十分あるし、1350mm程度のショートホイールベースのおかげで狭い路地でもクルリとUターンしやすかったことも付け加えておきたい。

そして、普通二輪免許で乗れるのもポイント。ちょっと自慢できそうなお洒落なガイシャだ。

最高出力44psを発生する水冷単気筒DOHC4バルブ373ccエンジンを鋼管トレリスフレームに搭載する基本骨格は390DUKEと共通だが、カバーには堂々とハスクの紋章が描かれている。
最高出力44psを発生する水冷単気筒DOHC4バルブ373ccエンジンを鋼管トレリスフレームに搭載する基本骨格は390DUKEと共通だが、カバーには堂々とハスクの紋章が描かれている。
シートの形状とパターンも独特だ。レザーはしっとりとした変わった素材で、クッションの座り心地もとても快適だ。
シートの形状とパターンも独特だ。レザーはしっとりとした変わった素材で、クッションの座り心地もとても快適だ。
タイヤは「ピレリ・スコーピオンラリー STR」を履く。見てのとおり、無理をしなければかなりオフロードもいける。
タイヤは「ピレリ・スコーピオンラリー STR」を履く。見てのとおり、無理をしなければかなりオフロードもいける。

REPORT●ケニー佐川(SAGAWA Kentaro) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

出典:MotorFan

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

佐川健太郎の最近の記事