ウクライナ軍のスロベニア製商用ドローン「Skyeye」ロシア軍が2機破壊:神風ドローンとしても使用
以前は神風ドローンとしてロシア軍の黒海艦隊司令部も爆破
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。
ウクライナ軍では主にトルコ製の攻撃ドローン「バイラクタルTB2」がロシア軍の装甲車を上空から破壊して侵攻を阻止したり、黒海にいたロシア海軍の巡視船2隻をスネーク島付近で爆破したり、ロシア軍の弾薬貯蔵庫を爆破したり、ロシア軍のヘリコプター「Mi-8」を爆破したりとウクライナ軍の防衛に大きく貢献している。ウクライナ軍が上空からの攻撃に多く利用しているトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍侵攻阻止の代名詞のようになっており、歌にもなってウクライナ市民を鼓舞している。
トルコ製のドローン「バイラクタルTB2」だけでなく、攻撃ドローンとしてはポーランド政府が提供しているポーランド製の「WARMATE」、米国バイデン政権が提供している米国製の攻撃ドローン「スイッチブレード」も実戦で活用されている。ウクライナ製の「PD-1」による攻撃、さらにウクライナ軍のドローン部隊「エアロロズヴィドカ (Aerorozvidka)」が開発しているウクライナ製の攻撃ドローン「R18」による爆弾投下もロシア軍攻撃に貢献している。民生品ドローンは監視・偵察のために利用されていることがほとんどだが、ウクライナ軍では以前から民生品ドローンに爆弾を搭載してロシア軍に投下させたり、ドローンごと突っ込んでいき爆破している。
2022年9月には監視・偵察用に使用されていたスロベニア製の商用ドローン「Skyeye」がロシア軍によって1機はハードキルによる撃墜、1機はソフトキルによる機能停止(または故障による墜落)させられた。同機は商用ドローンとして1機につき100万円程度で購入できる。
今回のスロベニア製の商用ドローンは「Skyeye」は監視・偵察用に使用されていたが、同機は2022年8月にはセバストポリ市にあるロシア軍の黒海艦隊司令部に爆弾を搭載して突っ込んでいき爆破させたと多くのOSINT(Open Source Intelligence:オープンソースインテリジェンス)専門家は分析している。いわゆる"神風ドローン"のように標的に突っ込んでいって爆破した。商用ドローンなので監視・偵察用にも使用できるが爆弾を搭載して標的に突っ込んでいくこともできる。
▼ロシア軍によって破壊されたウクライナ軍が使用していたスロベニア製商用ドローン
上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破する、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。爆弾などを搭載していない小型の監視・偵察ドローンならばジャミングで機能停止させる"ソフトキル"で迎撃できるが、中型から大型の攻撃ドローンの場合は対空機関砲や重機関銃のような"ハードキル"で上空で爆破するのが効果的である。
地対空ミサイルシステムや防空ミサイルのような大型システムで監視ドローンを攻撃して爆破させるのはコストもかかるし、大げさかと思うかもしれない。しかし監視ドローンこそ検知したらすぐに破壊しておく必要がある。監視ドローンで敵を検知したらすぐに敵陣をめがけてミサイルを大量に撃ち込んでくるからだ。監視ドローンとミサイルはセットで、上空の監視ドローンは敵からの襲撃の兆候である。また部品を回収されて再利用されないためにも徹底的に破壊することができる"ハードキル"の方が効果的である。今回の「Skyeye」も1機はハードキルで撃破されており再利用は難しいくらい破壊されている。
▼ロシア軍の黒海艦隊司令部に爆弾を搭載して突っ込んでいった商用ドローン