【ハンバーガーの歴史】アメリカの心と競争が生んだ「バーガー戦争」!ハンバーガーが描いた大衆文化の物語
ハンバーガーは、第一次世界大戦後のアメリカ社会で急速に人気を集め、大衆文化の中に溶け込んでいきました。
その象徴的な存在の一つが、漫画『シンブル・シアター』のキャラクター、J・ウェリントン・ウィンピーです。
ハンバーガーを愛してやまない彼の口癖「今日はハンバーガーのために、明日喜んでお金を払う」は1930年代の若者たちに親しまれました。
やがてウィンピーの名を冠したファーストフードチェーンまで誕生し、ハンバーガーは健康食品として宣伝されるようになります。
その後も、ハンバーガーは大衆文化の中でさまざまな形で登場しました。
1960年代には、マクドナルドのマスコット「ロナルド・マクドナルド」が登場し、子供たちに人気を博します。
また、アンディ・ウォーホルやクレス・オルデンバーグといったアーティストたちは、ハンバーガーを作品の題材に取り上げ、ポップアートの世界でもその存在感を示しました。
1950年代以降、アメリカ社会は自動車化が進み、ハンバーガーはドライブインという形で新たな価値を獲得します。
車に乗ったまま食事ができるこの形式は、当時急成長していたファーストフードチェーンにとって絶好のビジネスチャンスとなりました。
ハンバーガーの人気はこの頃ピークを迎え、冷戦時代にはアメリカ文化の象徴的存在としての地位を確立します。
裏庭でのバーベキューや社交イベントではハンバーガーが主役となり、その後チェーン間の競争が激化する中で、バーガーキングの「ワッパー」やマクドナルドの「クォーターパウンダー」といったボリューム満点の商品が次々と登場しました。
1970年代、ハンバーガー業界は「バーガー戦争」と呼ばれる激しい競争の時代に突入します。
各チェーンが広告に多額の資金を投じ、競合他社を直接比較する挑発的なキャンペーンを展開しました。
この流れは、1980年代のスローガンの時代へと続き、ウェンディーズの「牛肉はどこだ?」をはじめとするキャッチフレーズが次々に登場。
消費者の心を掴むための熾烈な争いが繰り広げられました。
こうして大衆文化やマーケティングの中で存在感を強めていったハンバーガーは、単なる食べ物を超え、アメリカの歴史や価値観を映す鏡となりました。
車や広告とともに進化し続けるこの料理は、時代ごとに新たな役割を担いながら、その物語を紡ぎ続けていくことでしょう。
参考文献
アンドルー・F・スミス著、小巻靖子訳(2011)『ハンバーガーの歴史 :世界中でなぜここまで愛されたのか?』スペースシャワーネットワーク