【ハンバーガーの歴史】ハンバーガーは進化する!派生型が描く創意工夫の物語
ハンバーガーという料理は、時代とともに姿を変え、さまざまな派生型が誕生してきました。
その多くは、マクドナルドやホワイトキャッスルの成功を模倣しつつも、新しいアイデアを加えたものです。
代表的な例の一つが、カリフォルニア州グレンデールで誕生した「ビッグボーイ」です。
1936年にボブ・ウィアンが開業したこのレストランは、初のダブルデッキチーズバーガーを考案し、現在のバーガー文化に大きな影響を与えました。
中央にスライスされたパンが2枚のパティを分けるスタイルは、後にマクドナルドの「ビッグマック」にも取り入れられ、普及していったのです。
チーズバーガーの起源は未だ議論の的です。カリフォルニア州パサデナのライトスポットでは、ライオネル・スタンバーガーが1920年代に初めて考案したとされています。
一方、コロラド州デンバーのルイス・バラストは、1935年に「イエローバーガー」として商標登録を試みました。
こうした逸話が示すように、チーズバーガーというアイデアは当時の多くの料理人たちにとって革新的であり、広く受け入れられていったのです。
特に1950年代以降、クラフト社のスライスプロセスチーズが市場に登場すると、その利便性が広まり、チーズバーガーはファーストフードチェーンの定番メニューとなりました。
第二次世界大戦後、インスタバーガーキング(現バーガーキング)やウェンディーズといった新しいハンバーガーチェーンが次々と誕生しました。
1954年に設立されたバーガーキングは、主力商品「ワッパー」で一世を風靡し、フランチャイズを活用して急速に全米展開を果たしたのです。
一方、1969年にオハイオ州で創業したウェンディーズは、冷凍ではなく新鮮な牛肉を使用することを売りにし、1980年代には「牛肉はどこだ?」というキャッチコピーで大きな注目を集めました。
これらのチェーンは、それぞれ独自のアイデンティティを持ち、ハンバーガー業界の競争を活性化させたのです。
こうした派生型のハンバーガーは、料理の多様性を広げ、時には新たな文化を創り出してきました。
ビッグボーイの二段構造、チーズバーガーの濃厚な風味、ワッパーのボリューム感、ウェンディーズの新鮮さ。
それぞれが独自の魅力を持ち、消費者に選択肢を提供しています。
ハンバーガーという一皿には、常に新しい可能性が秘められています。
これらの派生型が示すのは、シンプルな料理が創意工夫によって無限の広がりを持つという事実です。
その進化は、これからも続いていくことでしょう。
参考文献
アンドルー・F・スミス著、小巻靖子訳(2011)『ハンバーガーの歴史 :世界中でなぜここまで愛されたのか?』スペースシャワーネットワーク