#4 岡崎富夢×岩佐大輝 「日本でいちばん屋上を愛する男」が語る人生の物語
アウトサイドリビング界の先端に立ち、屋上テラスの新たな価値を創造し続ける岡崎富夢。壮絶な経験を乗り越え、どん底から這い上がった彼が語る人生とは。
<#2 「日本でいちばん屋上を愛する男」の運命を変えたできごと>
<#3 「日本でいちばん屋上を愛する男」が創造する突き抜けたビジネスとは>
岩佐)富夢ちゃんの生き方についての話が聞きたい。富夢ちゃんは前職の辛い経験があったり、本当に深い苦悩の時期を過ごしたことがあったよね。人間は誰しもそういう苦しさを本能的に避けようとすると思うけど、富夢ちゃんはどう思う?
岡崎)全部必要だったと思う。今振り返ると、あの時の失敗は自分の慢心からきたんだって分かるんだ。当時、僕は傲り高ぶっていた。僕は人生の中でジュリアス・シーザー、織田信長、ナポレオンを尊敬してる。この人たちは、今でも僕たちの生活に大きな影響を与えるような政治,法律を作り上げて革命を起こした天才だよね。でもこの3人は全員暗殺された。彼らは元々他人を暗殺しようとしていた側の人間だよ。でも慢心によって今度は自分が暗殺される側になった。「俺はこんなすごいことをした、俺を陥れるやつなんているわけない」って慢心したんだ。その結果、僕なんかが敵いもしないあの天才たちが暗殺されるわけ。これをみると慢心ほど恐いものはないって分かるでしょ。自分はあの時慢心した。5年前の失敗があって、それに気付けたんだ。
岩佐)慢心か...。慢心の恐いところって、一山超えると、また慢心しちゃわない?僕はそれが人の性のように感じるんだけど、どうなんだろう?
岡崎)本当だよね。だから慢心しないためにどうすれば良いかってことなんだけど、それは「大欲を持て」なんだ。例えば、お金が欲しい、車が欲しい、家が欲しいっていうのは小欲。小欲を叶えると一時は楽しい毎日が過ごせるんだ。でも小欲を満たすことを求める限り、終わりがなくなっちゃう。また次、また次って。そうやって小欲の中に留まると、一生がマネーゲームで終わる。一方で、大欲っていうのは「世のため人のため」の欲なんだ。この大欲だけが慢心を打破すると思ってる。
岩佐)「大欲を持つ」、これは金言だね!でも人って、ある期間の中で必ず良い時期も悪い時期もあって、心が揺れているよね。富夢ちゃんは経営者として、どう向き合ってる?
岡崎)僕はね、超長期的視点で物事を考えるようにしているんだ。今みんなIT疲れしている時代になっているよね。だからこれからの世の中、COLORSみたいな空間に対するニーズは絶対に増えてくるってことは確信してる。これだけは間違いない。そう思っているから、10年先を見据えて方向を定めじわじわ進んでいけるんだ。いろいろな市場のノイズがあるだろうけど、僕たちの目指す方向は絶対に間違っていないって信じられるから、心の浮き沈みがほとんどない。
岩佐)富夢ちゃんのビジョンは本当に明確だ。その境地に行きついた理由は、やっぱり...?
岡崎)やっぱり地獄を見ているからだと思う。5年前に僕は全部失った。地獄を見かけた人が途中でV字復活するのが映画の話だよね。でも地獄を見るまでいったんだよ。僕は自分の人生を会社に例えたら、一回潰れてるんだ。
岩佐)そうだよね。あの辛い時期が、今の富夢ちゃんをつくったんだ。
岡崎)そう、人生にムダな時期なんて一切なかった。今までの失敗,成功,情熱全てがあって今の自分がある。ムダなことなんて何一つない。僕ね、人生で一番大切なことは「Do my best」だと思うんだ。常にベストを尽くす!ベストを尽くせば、どんなことも納得できるんじゃないかな。ベストを尽くさないで、あの時やっておけばよかったなーとか、後悔を残すことはもったいない。結果をコントロールすることはできないけど、自分をコントロールすることはできるからね。それなら、コントロール可能な自分のパフォーマンスを最大化しようと思う。僕の心構え!
僕も大輝ちゃんも、20年前の自分からしたら今こんなことをしているなんて想像もできなかったよね。20年前の自分は、働いてる会社の社長になろうと思ってた。でもクビになって、そうなれなかった。でもそれまでの間、常に全力を尽くしていたから僕には新しく道が拓けたんだ。
岩佐)最後に、富夢ちゃんはどんな経営者でいようと思う?
岡崎)僕はこう思ってる。例えば、1010人乗ってる客船があったとして、氷山にぶつかるの。そのとき、A:10人絶対死ぬけど100%の確立で残りの1000人は助かります、っていうのと、B:50%の確立で1010人全員が助かる(でも50%の確立で全員死ぬ)、どちらを選ぶかっていう問題。このとき、平気でAの選択肢をとれる人間がリーダーであり、経営者であるべきだと分かってるんだ。でも僕にはBを選ぶ弱さがある。Aを選べるリーダーでいようと思うんだけど、自分にはできない。これが本当の姿。こんな弱い僕の本性を見抜いて、それでもいっしょについてきてくれる仲間を絶対に守りたい。それが僕の経営者としての生き方なんだ。
(終わり)