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一生に一度は訪ねたい「昭和レトロな温泉街」5選(関東編)

高橋一喜温泉ライター/編集者

昭和レトロがブームである。旅の目的地として、昭和の懐かしさを感じられる観光地を選ぶ人も多いという。

その点、古くから温泉が湧き続けている歴史ある温泉地には、現代の日本人が懐かしさを覚えるようなレトロな街並みや浴室が残る。そんな昭和レトロな温泉街は、浴衣と下駄でのそぞろ歩きが似合う。

そこで今回は、「昭和レトロ」の気分を存分に味わえる温泉街を関東エリアに絞って5カ所紹介したい。

伊香保温泉(群馬県)

365段の石段街に旅館や店舗が立ち並ぶ。昔ながらの射的場や昭和感の漂うスナックもあり、タイムスリップした気分にもなる。石段街の脇の路地などいろいろ寄り道をしながら温泉街を散策するのが楽しい。歴史ある源泉「黄金の湯」は、茶褐色の濁り湯が特徴の名湯だ。石段街をのぼりきった先にある「伊香保温泉露天風呂」は気軽に入浴できる。

湯宿温泉(群馬県)

新潟との県境の三国峠の手前にある小さな温泉地。歓楽要素は何もなく、共同浴場や湯治宿が並ぶ静かな温泉地で、「寂れている」と受け取る人もいるかもしれないが、「鄙びている」と受け取るほうが正解。熱狂的なファンをもつ、つげ義春の『ゲンセンカン主人』の舞台となった街でもある。「ただただ湯と向き合いたい」というひとり客にもおすすめの温泉地である。

那須湯本温泉(栃木県)

那須岳南麓に「那須八湯」と呼ばれる温泉郷が点在する。個人的には昔ながらの小さな宿が並ぶ那須湯本温泉がおすすめで、昔から変わらない素朴な風景がどこか懐かしい。湯治場の雰囲気が漂う日帰り温泉「鹿の湯」は硫黄の匂いが強い源泉で、温泉ファンの評価も高い。温泉街には宿泊者が利用できる共同浴場もあるので、ゆっくり滞在するのもおすすめ。白色を帯びた源泉がかけ流しである。

四万温泉(群馬県)

上州を代表する出湯のひとつ四万温泉は、湯量豊富な温泉地。特に映画『千と千尋の神隠し』のモデルとなったとされる老舗旅館「積善館」周辺は湯の街情緒にあふれ、昭和感が漂う。「積善館」の名物浴舎、大正ロマンあふれる「元禄の湯」はレトロ温泉の代表格。温泉街に沿って流れる四万川の渓谷美も魅力で、渓流を望む露天風呂が名物の宿も多く、四季折々の風景を楽しめる。源泉豊富で、それなりに規模の大きい温泉街だが、素朴でレトロな雰囲気が残っているのは好感がもてる。

草津温泉(群馬県)

日本を代表する人気温泉地で、湧出量でも全国トップクラス。温泉地として「泉質主義宣言」をしているように、源泉の質には絶対的な自信をもっており、ほとんどの施設が源泉かけ流しである。にぎやかな観光地としてのイメージが強いが、歴史のある温泉地だけあって、湯の街ならではの情緒漂う懐かしい風景も随所に残る。特に湯畑周辺には「奈良屋」「山本館」「益成屋」「大阪屋」といった木造建築の老舗旅館が並び、レトロな空間を演出している。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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