ワールドシリーズの舞台で不名誉な記録を2度も達成してしまったダスティ・ベイカー監督の悲運
【ワールドシリーズ第1戦はアストロズが逆転負け】
2022年シーズンを締めくくるワールドシリーズが現地時間の10月28日に開幕し、ホームで第1戦を迎えたヒューストン・アストロズが序盤で5点差リードを奪いながら、延長10回にもつれる接戦の末、フィラデルフィア・フィリーズに5対6で逆転負けを喫した。
アストロズは今年のポストシーズンで無敗のままワールドシリーズ進出を決めており、今シーズン初の敗戦となった。またMLB公式サイトで記録関連の記事を執筆しているサラ・ラングス記者によれば、ここまでアストロズはポストシーズンを含め5点差リードを奪った試合で65連勝を続けており、2021年7月26日のマリナーズ戦以来の逆転負けとなった。
まさにアストロズは、最悪のかたちでワールドシリーズのスタートを切ってしまったといっていいだろう。
【今回もワールドシリーズで勝てなかったバーランダー投手】
大事な第1戦を託されたアストロズの先発投手は、最多勝利、防御率の2冠を獲得し、今シーズンのサイヤング賞獲得が有力視されているジャスティン・バーランダー投手だった。
今シーズンのポストシーズン初登板となったマリナーズとの地区シリーズでは、4回を投げ6失点という不安な投球を披露していたが、2度目の登板となったヤンキースとのア・リーグ優勝決定シリーズでは6回を投げ3安打1失点の好投を演じ、エースとしての役目を十分に果たしていた。
この日も5点差リードをもらった3回まではほぼ完璧な投球内容(3イニング連続3者凡退)を続けていたが、4回に入り突如乱れ始め、4回に連打を浴び3失点すると、5回もフィリーズ打線を止められず2失点されてしまい、リードを守れず降板している。
バーランダー投手はこの日の登板で、ロジャー・クレメンス投手に続き史上2人目の10年周期で3期連続ワールドシリーズ登板を果たすという快挙を達成することに成功していた。
だがその一方で、ワールドシリーズに計8度も先発登板しながら未勝利のまま(0勝6敗、防御率6.07)という不名誉な記録も継続する結果となった。
【最後に5点差リードを逆転されたのは2002年のジャイアンツ】
バーランダー投手以上に不名誉な記録を作ってしまったのが、アストロズのダスティ・ベイカー監督ではないだろうか。
同じく前述のラングス記者によれば、ワールドシリーズにおいて5点差リードがついた試合の勝敗は、リードを奪ったチームが220勝5敗と圧倒している状態なのだが、今回のアストロズの前に最後に逆移転負けを喫していたのは、2002年のワールドシリーズ第6戦でエンジェルスに逆転負けしたジャイアンツだった。
そしてその当時ジャイアンツを率いていたのが、何を隠そうベイカー監督だったのだ。
ベイカー監督は今シーズン途中で、史上9人目の通算2000勝を達成した球界屈指の名監督の1人なのだが、ことポストシーズンに関してはなかなか苦しい戦いを強いられている。
昨年までのポストシーズンの通算成績は40勝44敗と負け越しており、またワールドシリーズにおいても2002年のジャイアンツ、2021年のアストロズと2度出場を果たしているものの、いずれも敗退している。
今回もワールドシリーズという檜舞台で、絶対的有利なデータが揃う5点差リードの試合で2度目の逆転負けを喫してしまったベイカー監督。果たしてこのまま悲運の監督で終わってしまうのだろうか…。