秋雨前線南下で大雨は収束へ、一方新たに発生する熱帯擾乱の動向は?
”能登豪雨”の要因は?
72時間の最大雨量が、輪島で546.0ミリ(22日8時30分まで)、珠洲で403.0ミリ(22日9時10分まで)に達するなど、能登半島北部では、過去の記録を大幅に塗り替えるまさに未曽有の豪雨となりました。
上図左は、能登で線状降水帯が発生し、輪島で1時間に121.0ミリの猛烈な雨を観測していたおととい21日(土)午前9時の実況天気図です。秋雨前線が能登半島付近に停滞していますが、この南側の金沢の気温が31.6度もあるのに対し、北側の秋田では14.2度と10月中旬並みの肌寒さで、この暖気(暖湿流)と寒気が最も激しく衝突した能登半島周辺で、最も活発な雨雲が発生したものと思われます。
そして、上図真ん中のきのう22日(日)午前9時には、台風14号から変わった低気圧がちょうど能登半島付近を通過したため、再び輪島などで激しい雨が降り、金沢では、最大瞬間風速29.8メートルの非常に強い風が吹き荒れました。千葉でも25.1メートルの強風が吹き、関東の交通機関にも影響が出ました。
上図右のきょう23日(月)午前6時には、秋雨前線が本州の南に南下し、これまで大雨と猛暑をもたらしてきた真夏の空気も南に退いたため、本州付近ではようやく季節を進める秋の空気に入れ替わってきた状態です。
秋の寒気で、能登半島も今しばらく雨に警戒
活発な雨雲が連なる秋雨前線は日本の南に南下しましたが、九州南部から南西諸島にかけては下げ止まっているため、引き続き、雷を伴った激しい雨に警戒が必要です。また秋の空気に入れ替わってきた本州付近でも、上空の寒気の影響で、所々雨雲が発生している状態です。
能登半島周辺でも、きょう23日(月)昼頃までは、まだ雨の降る所があるでしょう。少ない雨でも災害に結ぶつくおそれがある状態です。きょう23日(月)午前9時30分の段階でも、土砂災害警戒情報が発表されていますので、引き続き、土砂災害に厳重に警戒し、河川の増水などにも、十分注意をしてください。
新たに発生する熱帯擾乱の動向は?
タイトル画像をみると、日本のはるか南にある赤い丸の中で、今後、新たな低圧部が発生する予想です。低圧部とは周囲より気圧が低く、雲の循環はあるものの、その中心付近がハッキリとしない熱帯擾乱(ねったいじょうらん)のことで、中心付近が解析できるようになると熱帯低気圧に名前が変わります。
諸外国を含む種々の計算では、全体的に西寄りあるいは北西方向へ進むものの、今のところ、強く発達するような計算はほとんどありません。しかしグアム島近海のマリアナ諸島で発生するこの時期の熱帯擾乱は発達することが多く、台風として、日本付近にやってきやすい位置でもあるため、最新の情報にご注意ください。