千葉ロッテ「使用球にベンツマーク」への違和感
千葉ロッテは今季から本拠地での一軍試合に使用する公式球にメルセデス・ベンツのマークを入れるという。両者の営業努力の賜物かもしれないが、ちょっと待て、と言いたい。
きっかけは、同球団の井口監督が長年にわたりメルセデスを愛用していることだったという。すでに、実行委員会での承認を得ているようだ。メルセデスのマークは言わずと知れたスリーポインテッドスター。世界で最も有名な企業ロゴのひとつだろう。
多くのファンは、「あ、そうなの?お互いなかなか良いところに目を付けたよね」くらいにしか思わないかもしれない。しかし、ぼくはこのタイアップ企画に大いに違和感がある。
プロスポーツは企業スポンサーシップなしでは成り立たない。プロ野球も同様で、過去10年間にユニフォームへの広告が解禁され、外野の芝生にまで企業ロゴがデザインされるようになった。当初は違和感のあった球場へのネーミングライツもなんとか浸透しつつある。広告用に売れるものは全て売ってしまえ!ということだ。
そのうち、ユニフォームへの広告ももっと大胆になるだろう。何せ、メジャーリーグも今季から全球団のユニフォームの右胸にNIKEの「スウッシュ」が入る。ぼくたちは独立リーグの広告だらけのユニを「仕方ないんだろうけどダサいなあ」と思っているが、そう遠くないうちに、メジャーもNPBもユニフォームはモータースポーツのレーシングスーツのようになり、「広告ロゴでびっしりでないとカッコ悪い」という風になるだろう。
しかし、ボールはちょっと話が別ではないか。野球のボールは英語ではずばりBaseball、そう野球そのものなのだ。本心を言えば、外野の芝生への広告解禁ももっとしっかり議論して欲しかった。ぼくに言わせれば、フィールド、ベース、そしてボールは聖域であって欲しかった。いや、この考えは古臭いのかもしれないが、何が許容範囲でどこからは譲れないのかは時代の趨勢とその競技への愛のバランスを取るとても大切な議論だったような気がするのだ。
今回の経緯の詳細は知らないが、「別に良いんじゃない」という感じであっさり通ってしまったような印象を受ける。公表されていなかっただけで、多面的な議論を経ての決定・承認なら良いが。