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NY金9日:ドル反発で反落、中国市場を眺めて乱高下

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金8月限 前日比4.30ドル安

始値 1,157.50ドル

高値 1,166.90ドル

安値 1,155.10ドル

終値 1,159.20ドル

再び為替相場がドル高に振れたことが嫌気され、反落した。

前日引け後に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(6月16~17日開催分)は特に材料視されず、アジアタイムは1,150ドル台後半で方向性を欠く展開になった。その後は中国株の切り返しや他商品市況の反発で買いが膨らむ場面も見られたが、引けにかけてはドル高連動で改めて戻りを売られる展開となり、前日終値を再び下回っている。

ギリシャと中国という二つのリスク要因の先行きが読みづらく、強気ムードと弱気ムードが交錯する不安定な地合になっている。基本的な理解としては、リスクオフイベントは金市場からも資金引き下げを促し易く、特に中国リスクは商品市況全体の押し下げにもつながることで、金価格に対してはネガティブである。ただ、余りにリスクオフの動きが加速すると、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ着手が困難になる可能性もあり、金相場の弱気派にとっては適度のリスクオフ状態が好ましいことになる。

本日は、中国株が当局の介入を受けて急反発しており、その際には金価格は上昇している。このため、仮に中国市場が沈静化するようであれば、ここから積極的に買われるとは考えていないが、若干のリバウンドを試す可能性を想定しておく必要がある。ギリシャも新しい経済改革・歳出削減策を債権団に提出しており、12日のユーロ圏首脳会合次第では、ギリシャ発の混乱状況も一旦は収束に向かう可能性がある。

その意味では、週明けには若干の反発リスクが存在する。ただ、それはFRBの金融政策正常化プロセスの進展を確実なものにさせることになり、改めてドル高・金利上昇圧力が金価格の上値を圧迫する見通し。1,150ドルの節目でのサポートが強まると、昨年11月、今年3月に続いてトリプルボトム形成となる可能性はある。ただ、金のファンダメンタルズの弱さを考慮すれば、引き続き同水準は完全に下抜く方向で見ておきたい。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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