北朝鮮党幹部が遂に漏らした「新型ウイルス感染者が発生」
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡散の舞台が、中国から日本や韓国に移りつつある。北朝鮮と国境を接する中国の吉林省では23日、遼寧省では22日以降、感染者が増えていない状況だが、北朝鮮からは感染者発生の公式情報はない。
しかし、最近開かれた政治講演会で、感染者発生の情報が伝えられた。
処刑部隊が逮捕
両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、今月14日に道内の金亨稷(キムヒョンジク)郡で新型コロナウイルスに関する緊急講演会が開かれた。その場で里(村に相当)の党委員長が伝えたのは「黄海道(ファンヘド)で感染者が出た」ということだ。
黄海道は北朝鮮南西部にあり、軍事境界線を挟んで韓国と向かい合う地域だ。
委員長はさらに、他地域への移動を禁止すること、風邪の症状が現れれば病院で診察を受けること、手の消毒を励行することなどを伝えた。
情報筋は「本当に黄海道で感染者が出たのか、単に言い間違いなのか、確認が難しい」と述べている。事実だとしても、当局が国内外に知られたくない情報を、里の党委員長にまで伝えるのかという点で疑問が持たれるが、情報隠蔽が徹底されているため確認のしようがない。実際、今月8日には拷問や公開処刑を担当する秘密警察の保衛部が、新型コロナウイルスに関わる国内情報を外国に流した女性らを逮捕している。
(参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為)
北朝鮮各地では高熱により死亡する人が続出している。例えば、首都・平壌では高熱により3人が死亡したが、家族ではなく当局の手によって遺体が火葬されたとの情報がある。
その前にも、中国に隣接する新義州(シニジュ)や義州(ウィジュ)で原因不明の高熱で死者が出るなど、ウイルス侵入が疑われる情報が伝えられている。
一方、平壌の兄弟山(ヒョンジェサン)区域にある偵察総局の地下バンカー勤務者が、原因不明の腹痛を訴え、新型コロナウイルスに感染したのではないかとの懸念が広がったが、アメーバ赤痢であることが判明している。