先代から継承した長い歴史と伝統を誇る豚骨ラーメン店《朝8時から啜れる濃厚ポタージュの一杯が事新しい》
福岡県福岡市東区の東浜。大型のトラックやトレーラーが絶え間なく行き交う「東浜埠頭」。福岡市の主要な埠頭が集中しているエリアの一角に存在する物流の拠点になる場所にあるため、積荷を運ぶ大型車が埠頭内をひしめき合っている。福岡都市高速1号香椎線の東浜インターチェンジのすぐそばという立地にあり交通アクセスのいい場所でもある。
そんな「東浜埠頭」の入口付近に古びた商店が立ち並ぶ一角があり、そんな中でも最も小さな一軒家ながら、朱色の看板と暖簾、提灯が意外と目立つ外観の、通称「東浜ラーメン」と呼ばれるお店がポツンと存在する。看板に掲げる屋号は〈東浜ラーメン 服部商店〉。東浜という地名に因んだ屋号の昔ながらの商店だ。
長い歴史と伝統を誇る老舗豚骨ラーメン店
定休日の日曜日以外、毎朝8時に開店するドライバーさん御用達のお店として長い歴史を誇る地域に根ざした貴重な豚骨ラーメン専門店。国道からは一本入った場所で、近隣にはコンビニはあるものの飲食店はあまり存在しないエリアだけにポツンとある一軒屋だけど結構目立つ存在。1955年(昭和30年)の創業というからまもなく70周年を迎える歴史ある老舗の〈服部商店〉。その歴史のまま、レトロな佇まいの外観と内観が昭和の原風景を感じさせる。
この日、訪れたのは土曜日の朝8時を少しまわった時間帯。近くの有料駐車場に車を停め、徒歩1分ほどで店頭に到着すると、開店の目印となる赤い提灯と暖簾がすでに掛かっているのを確認。ホッとする瞬間が訪れる。
店内に先客は無く、L字型のカウンター席の中央あたりの席に腰を下ろし迷うことなく「ラーメン」を「カタ」で注文。ラーメンを作りはじめたご主人の音以外はまったくの無音状態。店内を見渡すと、カウンターや床は古びてはいるものの今もその空間は清潔に保たれていて昭和の古き良き時代を思い起こす。なぜかここだけ時間の流れが止まったような錯覚を覚える。
濃厚な乳白ポタージュの豚骨100%ラーメン
待つこと少々で配膳された一杯は、乳白色の濃厚クリーミーでまろやかな印象のポタージュスープ。豚骨100%のベーススープにカエシの甘みとともに塩味もしっかりと感じられる洗練された一杯に仕上がっている。具材は昔ながらのチャーシューと大きめにカットされたネギというシンプルな構成。
麺は一般的な博多ラーメンの細ストレート麺とは少し趣が違い、近年はあまり見かけないモッチリとした食感のやや太めな中細ストレート麺。少し角のある懐かしいタイプの麺でトロミのあるスープをうまく絡めとり相性も抜群。その麺は福岡市博多区の美野島にある老舗製麺所「真鍋食品」謹製。
ラインナップはラーメン・ごはん・替玉のみ
メニューは「ラーメン・ごはん・替玉」の3つのみというシンプルな構成。だけど歴史ある昔ながらの〈服部商店〉の豚骨スープも麺も、実は個性的。そんな個性ある一杯を提供する老舗店がもっと注目されても良さそうに感じる今日この頃だ。
シンプルながら脳裏に残る濃厚豚骨ラーメン
今どきの洗練された豚骨ラーメンとは一線を画す、昔懐かしいタイプのシンプルな佇まいの豚骨ラーメン。だけど「朝ラーメン」という括りから、長浜系のタイプともまた違った個性の光る濃厚豚骨ラーメン。この味を一度体感すると特に地元の人々にとっては受け入れやすい味だと分かる存在感。今、それがとても新しく感じる一杯だった。
食後に寡黙そうなご主人と少しだけお話をさせていただいた。創業の正確なところは分からないけれど少なくとも50年以上の歴史はあるとのこと。また、開業の頃はお父様とお姉様が切り盛りされていて現在は代替わりしているとのこと。
現在の豚骨ラーメンは、先代から受け継がれてきたレシピを基に今も変わらず豚骨のみ100%の出汁スープを摂っているそうです。
最寄りの駅は、福岡市営地下鉄の「箱崎宮前駅」。そこから西の海岸線へ進み「馬出4丁目交差点」のファミリーマートの角をさらに西へ向かうと、通称「東浜ラーメン」とも呼ばれる〈東浜ラーメン 服部商店〉が存在する。エリア的には倉庫や物流系の企業などが多い場所で、その近隣の関係者の方々で、特に朝から昼にかけて賑わっているお店。機会があればぜひご訪問ください。
東浜ラーメン 服部商店
住所 :福岡県福岡市東区東浜1-5-13[地図]
営業時間:8時00分~15時00分
定休日 :日曜日
駐車場 :専用駐車場なし、近隣に有料駐車場あり