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NY原油8日:シェール増産継続、在庫急増確認で急反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油5月限 前日比3.56ドル安

始値 53.18ドル

高値 53.23ドル

安値 50.37ドル

終値 50.42ドル

米国内産油量が再び上振れしたこと、在庫が急増したことが嫌気され、急反落した。

前日の急伸を受けてアジアタイムには調整売りが膨らむ展開になった。サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相が日量1,000万バレル前後の生産水準を維持するとの方針を再確認したこともネガティブ。価格低下によって石油輸出国機構(OPEC)非加盟国の生産調整を促す必要性が高い状況が再確認されている。

4月入りしてからは米産油環境の悪化が原油相場の反発を促してきたが、本日は米産油量の上振れが報告されたことが、原油相場の急落を招いている。米エネルギー情報局(EIA)によると、4月4日の週の米産油量は日量940.4万バレルとなっており、前週の938.6万バレルから1.8万バレルの増加になっている。この種の統計は1週間単位のブレに過剰反応する必要はないが、マーケットでは「石油リグ稼動数の減少→増産ブレーキ」の流れに強い期待感を示していただけに、従来の生産調整開始に対する楽観ムードが是正されたことが、原油相場の急落を招いている。

加えて、全米原油在庫も前週比+1,095万バレルの4億8,239万バレルと急増している。クッシング地区も123万バレルの増加となっており、米国内で在庫貯蔵能力の限界を試す流れに変化は見られない。製油所向け需要は徐々に改善しており、季節要因に沿った形でこれから在庫増加圧力は鈍化する見通し。ただ、未だ1週間で1,000万バレルを超える在庫積み増し力が存在していることが、原油相場の反発力を限定している。

50ドルの節目を挟んで不安定な値動きが続いているが、米国で在庫の貯蔵能力限界を試すトレンドが続いてる間は、反発力が限定されよう。ただ、米国内のシェールオイル増産傾向が緩んでいることも事実であり、将来的な需給均衡化を先取りする動きが強まるリスクには注意したい。需給面からは依然として安値低迷が必要なステージとみているが、相場が先走りするリスクが浮上しているのが4月の原油相場である。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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