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音楽NFTリリースの付加価値とは? トライバル感とジャポニズムの融合、RIS-707による新たな挑戦

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
photo by RIS-707

WEB 3発想によってアーティストファーストの思想のもと、再構築=リビルドされていく音楽シーン

50年代半ばに生まれたポップアートは、大量生産・大量消費の社会をテーマとして表現を再構築することを目的に誕生した芸術だ。ポップミュージックだってそうだ。時代の空気感を少しばかり先取りして鏡のようにメッセージ性を持って共有することに、表現者はいつの時代だって能力を発揮していた。主題は、ファインアートとは真逆となる“解放”だったのかもしれない。

2020年代、あらゆる事象がデジタル化されていくサイバーなネット時代。個の時代の到来。ポップミュージックの概念だってアップデートされていく。作品の届け方はデジタライズされ、その意義は掛け合わされ複数の意味を持つようになった。音楽はレコードやカセットテープ、CD、MDという物理的な入れ物、そして形すらなくし利便性が高まったMP3、WAV、ストリーミング時代を経て、表現者はデジタルコンテンツに一点モノの価値を与えるパワーを手に入れた。それが音楽NFTカルチャーだ。

しかしながら小難しい話ではない。昨今SNS界隈を賑わす議論。“レコードは情緒あるけどかさばるし保存や管理が大変”、“CDも保存が大変だしプレイヤーを持っている人が少なくなってきている”、“ストリーミングはCDに比べて音がよくないと言われているし所有ができない”などなど、過渡期であるがゆえに受け手側に不満があふれる中、しかしながら、楽しみ方は明確化しており、“新しいアーティストとの出会いや海外展開&手軽にお気に入り曲をリスニングするにはストリーミング”、“自分なりに良い音で聴きたいく形ある所有を楽しみたいならばレコードやCD”、そして“ハイレゾで音質がよく固有IDを持ち付加価値のある保存用データとしての所有には高音質データ×NFT”という選択肢が提案されはじめた。

ポップミュージックにおいて音楽NFTの存在は、付加価値のつきやすいCD時代の初回限定版という概念がユニークにデジタル化されたといえばわかりやすいだろうか。

近年の音楽シーンで忘れられていた、“早くからアーティストを応援するリスナーが得(楽しみが増幅する)をする”という仕組み作り。初期ファンであることの証明、そして満足。不特定多数ではなく個へ向けられたプレミアムな作品の提供。

そう、リスナーは自分なりに、アイテムを組み合わせで楽しむのが正解だと思う。プラットホームに縛られることなく、選択肢があることが重要なのだ。

作詞ではYMOの作詞家としても世界で知られるクリス・モズデルがコンセプトメイク

ここにきて、わかりやすい具体例があらわれた。過去と言う名の未来から飛来したかのような、ヴィヴィッドなヴィジュアルやサウンドで我々を魅了するRIS-707 (リス・ナナマルナナ)に着目したい。

名前についた意味深な製品番号は、ROLANDが80年代に発売したカルトなギター・シンセサイザーに由来するという。ニューウェーブ / パンクからの影響をルーツとし、アートディレクター / グラフィックデザイナーとしても手腕を発揮する表現者RIS-707とは、シンガーソングライターRIS ( Vo, G, Prg )によるソロユニットである。グラムロックのパイオニア、デヴィッド・ボウイの影響からかリリースごとにコンセプトは変化し、多彩なジャンル性を持って作品を構築する才気あふれる逸材だ。

RIS-707による最新曲のタイトルは「DANCE CULT」。日本の音楽NFTのパイオニア、NFTマーケットプレイス『.mura(ドットミューラ)』にて、プレミアムな初回限定版リミテッドNFTとして2仕様(“プレミアNFT”5個,“限定NFT”20個)が、2023年6月14日のストリーミングでの配信リリースに先駆け6月1日(金)19時から、先行視聴付き限定アートワークのNFTをアーリーアクセス&先行ドロップされた。暗号資産 / 仮想通貨ではなく、クレジットカードやPayPalでダイレクトに購入できるのでNFT初心者にも優しい。

http://dot-mura.com

作品コンセプトは“ジャポニズム、オリエンタル”。

トーキングヘッズを彷彿とさせるアフガンドラムによる疾走感がビートを牽引し、エモーショナルかつレイヴィーなギターカッティングが煌めくダンサブルなロックチューンだ。“プレミアNFT”バージョンでは、コレクターズアイテムとしてスペシャルにデザインされた限定アートワークをセットアップし、“限定NFT”バージョンとともに、火や太陽を連想させる衣装 / メイクはトライバル感とジャポニズムを融合。si ouxによるアッパーかつビューティーなアートディレクションが目を惹く。サウンド面ではM-AGEのギタリストであり、BUCI-TICKの櫻井敦司や清春のプロジェクトでアレンジャーを担当する鬼才MIYO-KENが参加。さらに、作詞ではYMOの作詞家としても世界で知られるクリス・モズデルがコンセプトメイクを含めRIS-707が創出するダークポップな世界観に彩りを添えている。

過渡期を迎えWEB 3発想によってアーティストファーストの思想のもと、再構築=リビルドされていく音楽シーン。音楽の楽しみ方、創作スタイルに変革が起きつつある昨今。RIS-707による固定観念を打ち砕き、サステナブルな数量&期間限定作品の所有を実現するプレミアムなNFT作品のリリースは、そのパンキッシュな音楽性とともに早耳のアンテナを張った層に注目を集めそうだ。

photo by RIS-707
photo by RIS-707

RIS-707オフィシャルサイト

https://ris707.com/home

NFTマーケットプレイス『.mura(ドットミューラ)』

http://dot-mura.com

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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