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レッズ戦でみせた行動が相手チームからも賞賛!ムーキー・ベッツが球界屈指のナイスガイと呼ばれる理由

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
レッズ戦で相手チームからも賞賛される行動をとったムーキー・ベッツ選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【ベッツ選手が行った粋な計らい】

 現地時間の9勝ち19日に行われたレッズ対ドジャース戦で、試合中にムーキー・ベッツ選手がとった行動が、レッズのチームからも賞賛される粋な計らいとして注目を集めている。

 まずはベッツ選手の行動について、動画を交えながら説明していこう。

【レッズの新人選手がMLB初本塁打を放つ】

 1対6とドジャースが5点リードで迎えた、6回裏のレッズの攻撃でのことだった。

 先頭打者が投手だったこともあり、ここで代打が起用された。打席に立ったのは、前日の18日にMLB初昇格を果たし、その日の試合で代打として公式戦デビューを飾っていたTJ・フィードル選手だった。

 左打席に入ったフィードル選手に対し、ドジャース2番手のトニー・ゴンソリン投手が投げた初球は、インコースをつく94マイル(約151キロ)の速球だった。

 この球をフィードル選手が見事に捉えると、ライナー性の打球はそのまま右翼席に飛び込んでいった。何とフィードル選手にとって記念すべきMLB初安打は、豪快な本塁打となった瞬間だった。

 ここまではよくある新人選手のサクセスストーリーといったところだが、ここからベッツ選手が登場してくる。

【記念球をキャッチしたレッズ・ファンと自ら交渉】

 この時右翼を守っていたのがベッツ選手だった。

 この時点でベッツ選手も、そのボールがフィードル選手の記念すべきMLB初安打だと把握していたようで、ボールをキャッチした人物がレッズのTシャツを着たファンだと確認すると、ベッツ選手の方から話しかけそのボールを戻してもらうと、レッズの一塁コーチの元に投げ返している。

 MLBでは新人選手の記念すべき初安打はすぐに回収するのが習わしになっており、そうした慣習からベッツ選手が回収に協力したというわけだ。

 だがベッツ選手の行動はそれだけに止まらなかった。

【見返りに自らのサインバットをファンに進呈】

 7回裏の守備に戻る際、ベッツ選手はバットを持っていた。自らのサインを入れたバットだった。

 守備位置につくことなく右翼席に近づくと、先ほどボールを戻してくれたレッズ・ファンを呼び寄せ、そのバットを手渡した。もちろんレッズに頼まれたわけではなく、ボールの返礼として自らの判断でサイン入りバットを進呈したのだ。

 この一連の流れをレッズの公式アカウントがTwitter上に投稿。そこには「respect(尊敬)」の言葉が添えられていた。

 試合後のフィードル選手も、ベッツ選手の粋な計らいにやや興奮気味に謝意を述べている。

 「まさに最上級の振る舞いだ。あんな行動をとってくれるなんて信じられない。何とかして彼に直接感謝の言葉を伝えたいと思っている。

 あのボールは自分にとって大きな意味を持つものだ。それを自分のバットと交換してくれるなんて、本当に素晴らしい選手だと思う」

【ファンと選手が作り上げた感動ストーリー】

 実はバットを受け取ったレッズ・ファンも、粋な計らいをしている。

 ベッツ選手からバットを受け取り席に戻る途中、ベッツ選手のTシャツを着た子どもを見かけると、彼にバット手渡し記念撮影させているのだ。ベッツ選手の行動のみならずレッズ・ファンとドジャース・ファンの交流も、何とも心温まるものだった。

 まさに選手とファンが作り上げた感動ストーリーといったところではないだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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