【京都市中京区】花粉症の季節到来 ひいおばあちゃんの時代から4代通う人も 丁寧に相談に応じる漢方薬局
京都市中京区の河原町通と寺町通の間にあり、三条通から四条通までの約500mの新京極商店街に、ルーツは大正期にまで遡り、店舗は戦後すぐから続く阪本漢方堂薬局があります。2022年の3月期は花粉症などの相談も増えていると言います。薬剤師の阪本浩章代表取締役にお話を伺いました。
新京極通は、2022年に開通して150年を迎えます。新京極商店街150年記念事業実行委員会が結成され、プレ企画として新京極150年史の編纂開始や新京極今昔写真展や統一看板の設置など様々な取り組みを行ってきました。2022年4月1日には、いよいよ記念事業の開始を宣言する記念式典が同商店街のランドマーク「ろっくんプラザ」で行われます。
そんな新京極商店街へ四条通側の入り口から入ると直ぐの東側に、かなりキャッチ―な看板が目に飛び込んできます。阪本漢方堂薬局は、およそ100年前、東大阪市の石切神社のねきの製材所から始まり、関西を中心に製薬業、漢方薬局として展開してきました。京都には西陣とこの新京極店と2店舗の漢方専門薬局があります。
看板もさることながら、店頭ディスプレーに並んだ薬材に驚かされます。鹿角霊芝、カワラ茸、アガリスク茸といった神秘的な天然ものの植物生薬がずらり。動物生薬は手に入りずらくなっているそうで、虎の骨(虎骨酒)なども数十年前扱っていましたが、今では在庫もなく扱いはありません。ワシントン条約の関係で虎の骨は販売できなくなりました。
代表的な製品はなんといっても阪本の赤まむし膏、赤ちゃんからお年寄りまで幅広く使用でき、「おばあちゃんが使っていた」と3代にわたり、最近では4代にわたり利用されるほどのロングセラー商品。マムシの脂が配合されている点が特徴です。赤ちゃんのおむつかぶれ、子どもの虫刺され、ニキビやアトピーのかゆみ、水仕事の多い主婦のあかぎれに、寝たきりの人の床ずれにと、赤ちゃんからお年寄りまで幅広く買い求められる人気商品です。
店内にはさらに、数えきれないほどの生薬が並んでいます。約300種は取り扱っているのだとか。阪本代表は、「自然界にあるもので薬効を持っているものとして長い間利用されてきたものを生薬とよび、生薬となる天然産物には、植物由来のもの(薬用植物)、動物由来のもの、菌類由来のもの、そして鉱物由来のものが含まれます。植物由来の生薬は、症状を緩和させる役割を担い、動物生薬にはホルモンの活性化や不足した栄養分を補う働きがある」と言います。
いくつか紹介していただきました。古くから高貴薬として用いられてきた、牛や水牛の結石を乾燥させた牛黄。マンシュウジカの雄の幼角の毛を火で焼き取り除き、焼酎に一昼夜浸して薄片にした鹿茸。ミネラルの豊富なまむしやすっぽん。蝉の抜け殻の蝉退(センタイ)、アミノ酸、ビタミン、ミネラルを含み、肺腎を補う冬虫夏草(トウチュウカソウ)、男性ホルモン刺激作用があるといわれている海馬(カイバ)などなどまだまだあります。赤まむしの粉を嗅がせていただきましたが、独特の匂いがしました。
「良薬は口に苦しと言いますが、モノによって独特の匂いが有ります。治療というよりも、昔から言われる気血水の補強、滋養を促進したり、気のめぐりを良くしたり、体力を補なったりと、自然治癒力や自己修復能力を高めるのが漢方の目標です。だからこそ、こられたお客様の相談にじっくり耳を傾けて、処方を提案しています。」と語る阪本代表は、薬材のすりつぶしには今でも、微妙なさじ加減が可能な、昔ながらの薬研(やげん)を使っているのだとか。
製造元となる阪本漢法製薬からは、満量処方(承認基準内の1日最大量)の葛根湯や小青竜湯(花粉症、アレルギー性鼻炎)の定番商品を採用販売しています。薬草も品揃えが豊富です。自然化粧品や薬酒の材料、のど飴といったものも。阪本漢方堂オリジナルの「チャイ」や「あったか・つるりん・リフレッシュ3点薬草入浴剤」も人気。
阪本代表は、「この時期、花粉症が辛いとの相談も増えています。体の症状の改善は心の改善にも繋がります。ぜひお気軽に相談窓口にお越しください」と語ってくださいました。
阪本漢方堂薬局本店 京都市中京区新京極通り四条入り口 075-221-6323