世界主要国の世帯年収別ソーシャルメディア利用率をさぐる(2019年時点最新版)
ソーシャルメディアは非常に便利なツールだが、経済的に苦しいとアクセス可能な道具の利用機会が無く、あるいは時間的な余裕が無く、利用し難いとの指摘もある。世界主要国におけるその実情を、アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年春に実施した携帯電話関連の世界規模での調査結果報告書「Smartphone Ownership Is Growing Rapidly Around the World, but Not Always Equally」(※)から確認する。
次に示すのは主要国のソーシャルメディア利用率を世帯年収別に区分して確認した結果。各国それぞれで回答者を世帯年収順に並べ、中央値以下は低年収世帯、中央値超は高年収世帯としている。なお設問では「普段からソーシャルメディアを使っていますか」と尋ね、具体例としてFacebookとTwitter、そして国毎に多用されているソーシャルメディアが追加で挙げられている。例えば日本ならばmixi、インドならWhatsAppが加えられている。また国の序列は先進国・新興国それぞれで、国全体のソーシャルメディア利用率の高い順となっている。
差異の幅は違えども、どの国も一様に高年収世帯の方が低年収世帯よりも利用率は高い。また、国全体の利用率の高低との関係に関して何らかの連動性があるようには見えない。先進国ではばらばら、新興国ではあまり国ごとの違いが無いように感じられる。
実際に高年収世帯の値から低年収世帯の値を引いた結果を確認すると、その通りの動きが見えてくる。
ソーシャルメディアの利用は原則的に無料で、世帯年収が直接関与する余地は無い。他方、経済的に余裕が無いとソーシャルメディアを使う時間的・精神的余裕が無くなってくることが間接的な理由として考えられる。そして何よりもソーシャルメディア、そしてそれを容易に利用できるツールとして普及が進んでいるスマートフォンを利用するにはそれなりの金銭的負担が生じるため、それがソーシャルメディアの利用率に影響を与えているのではないだろうか。
その観点から、新興国ではおおよその国にとって同じぐらいの経済的ハードルがソーシャルメディアの利用(≒スマートフォンの所有)に生じている。そして先進国においてはすでに経済的ハードルはクリアされている状態で、他の要素がソーシャルメディアの利用に影響していると解釈すればよいのだろう。
■関連記事:
アジア主要国のインターネット普及率などをグラフ化してみる(最新)
※「Smartphone Ownership Is Growing Rapidly Around the World, but Not Always Equally」
2018年春に対象国に居住する18歳以上の人に対し、電話による通話あるいは対面回答方式によって行われたもので、調査対象数は各国1000~1500人程度。それぞれの国の国勢調査の結果に基づいたウェイトバックが実施されている。対象国は先進国として韓国、イスラエル、オランダ、スウェーデン、オーストラリア、アメリカ合衆国、スペイン、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、アルゼンチン、日本、カナダ、ハンガリー、ポーランド、ロシア、ギリシャ。新興国として南アフリカ、ブラジル、フィリピン、メキシコ、チュニジア、インドネシア、ケニア、ナイジェリア、インド。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。