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【アイスホッケー】”二刀流のレジェンド”のプレーを、日本で見てみたいと思いませんか?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
スタンレーカップを5度獲得したエサ・ティッカネンはアジアリーグでもプレー(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 今季から中国のチーム(チャイナドラゴン)が脱退し、日本(4チーム)、韓国(3チーム)、ロシア(1チーム)の3か国から8チームが参加するアジアリーグ アイスホッケーは、15季目のレギュラーシーズンの開幕(来月2日)まで、あと1か月を切りました。

▼日本のチームが新外国人選手を発表

 開幕が近づくにつれ、各チームの新戦力が明らかになっています。

 今月7日には、日本製紙クレインズ王子イーグルス東北フリーブレイズの3チームが ”助っ人選手(外国籍選手)” の顔ぶれを発表。

 それに続いて、日光アイスバックスも、新たな外国籍選手として、ペッテリ・ヌメリン(DF・44歳)との契約を、今日明らかにしました

▼フィンランド テイストに変貌

 アイスバックスは、4年間の在任中、全日本選手権で優勝と準優勝の実績を残した 岩本裕司 監督(55歳・現日本男子代表監督)との契約を更新せず、「強化と育成を主軸に」との方針から、アリペッカ・シッキネン (52歳・フィンランド出身)をヘッドコーチ(HC)に招へい

 さらに先月20日には、ヤッセ・ニーニマキ (FW・33歳)と契約したのに続いて、ペッテリ・ヌメリン(DF・44歳)と今季の契約を結んだことを、今日発表し、指揮官に加え、攻守の柱として期待される外国人選手を、世界ランキング4位のフィンランド出身者で揃えました。

▼スポーツ一家のヌメリン

 新たに契約を結んだヌメリンは、1995年の世界選手権で優勝。また多くはありませんが(通算139試合)NHLの試合に出場するなどした実績の持ち主。

 また義弟のアンティ・ニエミ(ピッツバーグ ペンギンズGK)は、シカゴ ブラックホークス在籍時にスタンレーカップを獲得!

 父親のティモに至っては、アイスホッケーとサッカーのプロ選手として活躍した「フィンランドの二刀流」というスポーツエリートです。

▼父親は二刀流のレジェンド

 なかでも父親のティモは、エリート中のエリート。

 アイスホッケーとサッカーで、どちらも国内選手権のチャンピオンに輝く原動力になった「二刀流のアスリート」

 フィンランドの全プロスポーツ選手を対象に選ばれる「年間ベストアスリート賞」に、アイスホッケー選手(1981年)とサッカー選手(1968年)で、それぞれ選出され、史上初めて異なる競技で受賞した「フィンランドスポーツ界のレジェンド」と呼ぶべき存在です。

▼スタンレーカップを5度獲得したアジアリーガー

 ところで、アジアリーグのフィンランド人選手と言えば、代表格は創設2季目(2004-05シーズン)にハルラ(現アニャンハルラ・韓国)に在籍したエサ・ティッカネン(52歳・タイトル写真)

 

 ウェイン・グレツキーとも、長い間チームメイトとしてプレーし、NHLのスタンレーカップを5回も手にした男が、アジアにやってきたとあって、北米やヨーロッパのメディアにも大きく取り上げられました。

▼二刀流のレジェンド現役復帰

 さすがにティモの知名度は、ティッカネンには及ばないまでも、近年のアジアリーグは、残念ながらメディアへの露出も、観客動員も下降気味・・・。それだけに、もしも「二刀流のレジェンド」がカムバックを果たして、しかも親子揃ってプレーする! となれば、話題性も高く注目を集めそう。

 ちなみにティモは、来月で69歳になりますが、キャリアスタッツを確認すると、レジェンドをリスペクトする試合が設けられ、近年までマイナーリーグの公式戦に出場しています。

▼1日限定選手登録も可能

 アジアリーグの現行の規定では、12月31日まで選手の登録と抹消が可能です。

 そのため年内であれば、外国人FWのニーニマキの登録を抹消して、父親のティモを登録し、親子揃って試合に出場。翌日には、ティモとニーニマキを入れ替えることもできます。

 「激しいコンタクトプレーがあるから、さすがに無理だろう」との声も聞こえてきそうですが、参考までに、今年の2月にはカルガリー フレイムスが、パラアイスホッケー(スレッジホッケー)の少年プレーヤーと、また3月にはミネソタ ワイルドが、難病を患う少年が抱き続けている夢を叶えてあげようと、それぞれ1日限りの契約を結びました。

 もちろん試合には出場しませんでしたが、「チームの一員として一緒に戦う気分を満喫する」という貴重な体験をプレゼントしてあげたのです。

 売り上げが伸び悩んでいる飲食店が、人気の出そうなメニューを考えるように、近年はリーグ全体の観客動員が伸び悩んでいることを考えると、「見に行きたい!」と思わせる試合を増やすのは必須。

 オールドファンの方からは、「昔は代々木(第一体育館)が、いつもいっぱいになっていた」と懐かしむ声を、よく耳にしますが、再びそのような日は、やってくるのでしょうか。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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