NY原油6日:急反発、サウジがアジア向けOSP引き上げ
NYMEX原油5月限 前日比3.00ドル高
始値 49.47ドル
高値 52.22ドル
安値 49.47ドル
終値 52.14ドル
サウジアラビアが5月のアジア向け公式販売価格(OSP)引き上げに踏み切ったことを受けて、急反発した。
サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは、5月のアジア向けOSPについて、中東産に対して1バレル当たり60セントのディスカウントとした。4月の90セントからディスカウント幅を縮小しており、アジア向け出荷環境の改善が進んでいることが示唆されている。単純に最近の価格動向を反映しただけとされているが、それでも出荷ベースで値上がりプレッシャーが強くなっていることは間違いなく、原油相場の下値不安が後退している。加えて、3日に発表された3月雇用統計後の為替相場が大きくドル安方向に振れたことも支援材料に。連休明け後の薄商いの中で投機買いが膨らみ、ニューヨークタイムもその流れを引き継いで更に上値を切り上げる展開になっている。
また、2日の取引ではイランの核協議進展を受けて売り圧力が強くなっていたが、実際にイラン産原油輸出の拡大が進むには時間が必要との見方も、上値圧迫要因に。米国は段階的に制裁を解除する方針を示しているが、6月の包括合意実現までは大きく動きづらく、当面の現物市場に対する影響は限定的と見られている。これまでの経済制裁の影響でイランの石油業界は投資不足が深刻化しており、産油能力の増強には時間が必要とされる可能性がある。実際には、海上在庫の放出などで出荷量は上向くとみているが、経済制裁前の状況に回帰するには一定の時間が必要とされる可能性が高い。
米ベーカー・ヒューズ社発表の石油リグ稼動数(3日時点)は前週比-11基の802基。リグ稼動数の減少傾向が続いていることが確認できる。ただ、こちらは実際の生産調整圧力につながるのかは不透明感が強く、マーケットの反応は限定的だった。
50ドルの節目を挟んで不安定な値動きが続いている。米国内で在庫増加トレンドが続いていることには変化がみられず、原油相場の下振れリスクを払拭するのは時期尚早と考えている。少なくとも、米国で在庫の貯蔵能力限界を試すトレンドが続いてる間は、反発力が限定されよう。ただ、米国内のシェールオイル増産傾向が緩んでいることも事実であり、将来的な需給均衡化を先取りする動きが強まるリスクには注意したい。本日のサウジアラビアのOSP引き上げについては、一時的な相場上昇要因に留まると考えている。