新型コロナに感染した人は、その後ワクチンを接種した方が良いのか?
2022年12月10日時点で、2480万人の人が新型コロナに感染しています。
これまでに新型コロナに感染したことがある方は、新型コロナワクチンを接種した方が良いのでしょうか?
感染後のワクチン接種について、考慮すべき点についてまとめました。
日本国内での感染者はほとんどがオミクロンに感染
2022年12月10日時点で、2480万人の人が新型コロナに感染していますが、このうち2200万人はオミクロン株が主流になってから感染しています。
つまり日本国内で新型コロナに感染したことのある人の約9割はオミクロン株に感染していることになります。
オミクロン株は2022年1月から日本で主流となりましたが、約1年経った今も同じオミクロン株の亜系統であるBA.5が主流です。
オミクロン株に感染した人は同じオミクロン株にしばらくは感染しにくい
オミクロン株以前の新型コロナウイルス(野生株、アルファ株、デルタ株など)に感染した人は、オミクロン株に対する感染予防効果は高くないため、現在のオミクロン株対応2価ワクチンを早めに接種することが推奨されます。
一方で、オミクロン株に感染したことがある人は、同じオミクロン株の亜系統には感染しにくいことが分かっています。
カタールの研究では、過去にオミクロン株のBA.1またはBA.2に感染したことがある人は、同じオミクロン株のBA.4/5に対する感染予防効果が、ワクチン接種歴のある方では83.7%、ない方では68.7%であったと報告されています。
このように、ワクチン接種をした上で感染すると、ハイブリッド免疫と呼ばれる状態となり、より強固な免疫により感染予防効果が高くなります。
感染からの時間が経つと、徐々に再感染のリスクが高くなります。
同じ研究では、オミクロン株のBA.1またはBA.2に感染してからの時間が6ヶ月以内の人の感染予防効果が83.4%であったのに対して、6ヶ月以上経つと74.9%に低下していました。
BA.5が流行している時期であれば、同じオミクロン株に感染したことがある人で、さらにワクチン接種歴もあれば、半年くらいはBA.5に感染するリスクは高くなさそうです。
国内ではBA.5が減少し、BQ.1系統などが増加
しかし、日本国内では今もBA.5が主流ではありますが、ゆっくりとその他の変異株の割合が増加傾向にあります。
中でもBQ.1、BQ1.1、BN.1、BF.1といったオミクロン株の別の亜系統の増加が目立ちます。
これらの変異株については、ワクチン接種後にBA.5に感染した人でも十分な中和抗体が産生されていなかった、という報告があり、同じオミクロン株ではあるものの再感染のリスクが高くなる可能性があります。
これらの変異株の拡大状況、そして再感染のリスクなどについての情報が待たれるところです。
感染した後にワクチン接種を検討するポイントは?
厚生労働省は、これまで感染したあとのワクチン接種のタイミングについて暫定的に「3ヶ月」を目安としていました。
しかし、オミクロン株対応2価ワクチンによる追加接種については、現時点ではこうした目安はなく「感染からの期間にかかわらずワクチンを接種することができる」という記載に変わっています。
このため、最後にワクチン接種した日からの規定の期間が経過していれば、いつでも感染した後にワクチン接種することが可能です。
オミクロン株対応2価ワクチンは、オミクロン株に対する感染予防効果が高くなり、オミクロン株の中の新たな変異株についても効果が期待されます。
また、再感染をしてしまった場合もワクチン接種をしておくことによって重症化を防ぐ効果が高くなるため、重症化リスクの高い方(高齢者や基礎疾患のある方)はない方よりもワクチン接種が推奨されます。
感染したことのある方はワクチン接種後の副反応は、未感染の方よりもだるさ、発熱、頭痛などの症状の頻度が高くなると報告されていますので、接種する日は休日の前日にする、などスケジュール調整をすると良いでしょう。
以上のことから、感染した後にワクチン接種を検討する上でのポイントは、
・感染した時期に流行していた変異株の種類
・感染する前のワクチン接種歴の有無
・感染したときから経過した時間
・現在流行している変異株の種類と性質(再感染リスクやワクチンの予防効果)
・自身の重症化リスクの有無
となります。
これらの点について、ご自身の状況に当てはめてみて、ワクチン接種についてご検討ください。