衆議院選挙の行方次第で金融政策に影響は出るのか
衆議院選挙は10月10日に公示され、22日に投開票が行われる。選挙の行方は不透明感を強めている。ただし、安倍首相は党首討論会で「(与党で)過半数を取れば首相指名を受ける候補として出る」と述べていた。自民党の衆院解散時勢力は287で、今回全議席465の単独過半数となるのは233議席となる。いまのところ自民党は単独でも過半数は維持するのではとの予想となっている。
台風の目となりそうな希望の党については、当初の勢いは姿を消しつつあり、ある程度の議席は確保するにしても、政権を奪取するほどの勢いとはなりそうもない。安倍政権が維持される可能性が高いのではなかろうか。
今回の衆院選挙次第では日銀の金融政策の行方にも影響が出る可能性があったが、安倍政権の続投となれば、2%の物価目標も維持され現在の政策が維持されることになろう。ただし、安倍政権もすでに軸足は金融政策によるデフレ脱却を主軸に打ち出していない。自民党の公約のなかの「アベノミクスの加速」は下記のようになっている。
「わが国の経済は確実に回復している。この流れを確かなものにするため、「生産性革命」と「人づくり革命」の2つの大改革を断行することによって、力強い消費を実現し、経済の好循環を完遂する。」
もちろん現在の金融政策は維持するという前提の上での上記の政策となろうが、少なくとも日銀の金融政策に期待する比重は、かなり後退してくるともいえるのではなかろうか。
消費税については2019年10月に消費税率を10%に引き上げるとし、その際、「全世代型社会保障」への転換など「人づくり革命」を実現するため、消費税率10%への引き上げの財源の一部を活用するとしている。あくまで財源の一部であり、財政再建を後退させる事ではない面も強調している。
その財政再建については、基礎的財政収支を黒字化するとの目標は堅持するとしている。同時に債務残高対国内総生産(GDP)比の安定的な引き下げも目指すとし、引き続き歳出・歳入両面からの改革を進め、目標達成に向けた具体的計画を策定するとしている。
この財政再建の文章も残っている以上は、ひとまず国債への信認も維持されよう。アベノミクスについては、日銀の異次元緩和の効果等を含め、かなりいろいろと疑問は多いのも事実であり、必ず物価目標を達成しなければならないとの空気が変化してくる可能性もありうる。