【インタビュー】AKB48を愛しすぎたリーダー・高橋みなみ 青春の全てを捧げた10年に何を想う?
卒業を前に、高橋みなみが横山由依に、メンバーに、そしてファンに伝えたかったこと
キャプテンとして、そして総監督として10年間AKB48グループを牽引し続け、全てを捧げ、メンバーの精神的支柱だった高橋みなみが来年3月28日で同グループを卒業することが発表された。そんな彼女がメンバー、ファンに向けたラストメッセージを『リーダー論』(講談社)という一冊の本にまとめた。そこにはリーダーとしてAKB48をまとめあげたその実体験からくる、リアルな言葉が綴られている。グループ愛溢れる彼女の言葉は、優しく強い。そんな本の事、そして色々ありすぎたAKB48としての10年間、これからの事を、ロングインタビューで赤裸々に語ってくれた。
--こういう本をいつかは出すだろうと思ってました(笑)。ファンはもちろんですが、メンバーも興味津々なのでは?
高橋 このタイミングだからこそ出せるんだと思います。これが現役ど真ん中の時期だったら言えない事、書けない事がたくさんあったと思うので、でももう最後だから一冊にまとめていただけるのはすごく嬉しいです。メンバーには押し付ける気は全然なくて(笑)、自分が悩んできた事って、'''きっと今のコ達も直面している悩みだと思うんです。今思うと小さな事なんですが、その時は死ぬほど悩んだこともたくさんあったし、そこに対するヒント、悩みに対するヒントが書いてあると思いますので、読んでもらえると「あ~、たかみなさんはこうやって乗り越えたんだ」と思ってもらえて、問題解決の糸口になるんじゃないかと思います。
--本の中に、最初にキャプテンを命じられた時は特にマニュアルもなく、苦労したということが書いてありましたが、次の総監督に横山由依さんを指名して、この本は横山由依に捧ぐ、的な意味合いもありますか?
高橋 もちろん自分が10年やってきた道筋は書いてあるので、横山しかりメンバーには読んで欲しいなとは思いますが、でもこれは私の10年間のAKB48のキャプテンの型であって、11年目の横山由依が背負うであろうAKB48との向き合い方とは変わってくると思います。きっと彼女は彼女なりのリーダー論ができてくると思います、もがきながらも。
リーダーとは父親的存在。母親になってはいけない
--本のタイトルにもなっていますが、リーダーって改めてどういう存在だと思いますか?
高橋 父親的存在だと思います。横山にはあまりアドバイス的な事は言っていないのですが、唯一言ったのがメンバーとの距離のとりかたでした。母親的存在になると、やはりより近く、仲良くなっていこうとすると思うのですが、父親はそこからやや離れた位置で子供の事を客観視して、叱ったりすると思うので「母親的存在になると苦しくなるよ」とは言いました。仲良くなりすぎると、気を付けていてもどこかで贔屓をしてしまったり、他のメンバーにそういう見方をされてしまうと、まとまらなくなってしまうので、難しいですけど、私は孤独を好んでしまっているようなところがありました。楽屋とかでも一人でいる時間も大切にしていたので、仲良くなるのは大事だけど、仲良くなりすぎると苦しくなるよ、ということは言いました。
--この本をまとめるにあたって、10年間の事を振り返る時間がしっかりできたのでは?
高橋 すごくできました(笑)。密に振り返りました(笑)。むしろ思い出して泣いちゃうぐらい…(笑)。
--一人のアイドルの活動の履歴ではなく、気持ちの履歴が書かれていて、読み応えがありました。この10年間、悲喜こもごも、嬉しかったことも悲しかったこともたくさんあったと思いますが、どちらか強く印象に残っていますか?
高橋 今はもう楽しいことの方が残っています。振り返ってみると8割つらかったですが(笑)、本当に大変でしたけど、今こうして大変だったんですよ、8割きつかったんですよって笑って話せている自分がいるということは、楽しかったんだろうなって思います。
--人気に火がついてからは、AKB48はどんどん大きくなっていって、そのスピードについていけないと思ったことはありました?
高橋 劇場公演があって、シングルをリリースして、握手会があって、やっていることのベースは変わっていなかったんですけど、「大声ダイヤモンド」('08年、10thシングル)あたりから突然空気が変わってきて…。「AKBの曲いいじゃん」って言ってもらえるようになって、気がついたらシングルランキングの1位を獲っていて、秋葉原発アイドルって言われていたのが国民的アイドルと言われるようになって、その環境の変わり具合というか、周りからの見え方、見られ方が変わったのは、やっぱり怖いぐらいに感じましたね。
ひとつひとつの仕事に感謝しなければいけないのに、あまりの忙しさ、つらさにそれさえも忘れてしまう時期も
--置かれている環境の変化についていけないメンバーもいたと思いますが、自分も戸惑っている中で、引っ張っていかなければいけないたかみなさんは大変だったんだろうなと。
高橋 みんな若かったですし、その勢いに気持ちがついていかない時もありました。ありがたさを感じ取れなくなることがあったり……。本当はひとつひとつの仕事を大切にしなければいけないし、ありがたく思わなければいけないのに、あまりのつらさにそれを忘れかけた時もありました。今思うとすごく悔しいですね。みんなが疲れているところで「行くぞ!」って言わなければいけないのですが、自分もやっぱりきつく、でも自分の事をどうにか鼓舞して「やるよ!!」って言ってました。でもその声も聞こえないほど、みんな憔悴しきってましたけど…(笑)。
--でもあの時期は物理的にキツそうでしたよね。
高橋 秋元さんからは「たかみなたちはAKBの創設時からいて、売れない時期を経験してから売れるということを経験していて、そんな人はこの業界でも数えるほどしかいないんだよ。それを感じることができた君たちは幸せだ」って言われたことがあって、本当にそうだなと思いました。
前田敦子にはなれなかった。だからグループ内で必要とされる”居場所”を探した
--本の中で「前田敦子にはなれないんだ」とわかった時に、気持ちを切り替えて自分の居場所を求めた、という部分があって、それがすごく印象的で、そういう状況下では、気持ちを切り替えようと思っても、なかなか切り替えられない人もいると思います。
高橋 悔しかったというか負けたくなかった……それは前田敦子に負けたくなかったということではなく、その状況に負けたくなかったんですよね。やっぱりAKB48というグループが大好きでしたし、グループに必要とされたかったけど、でも自分はセンターとしては必要とされなくなった……そんな時に、じゃあこの好きなグループで選抜として歌を歌うためには、どうすればいいんだろう、どの個性を伸ばせばいいんだろう、早く考えないと居場所がなくなっちゃう、と思ったので…。
--仕事をしながらで、そんなに考えている時間も取れなかっただろうし、大変な時期でしたね。
高橋 もちろん悩んで悩んできつい時期もありましたし、親は「そんなにきつかったら辞めればいいじゃない」って言ってくれて、やさしさだと思いますが、むきになってやっていた時もありました。でもその中で、キャプテンというみんなを引っ張っていくことに存在価値を見出して、そこを伸ばして行った先に、キャプテン、総監督というグループに必要とされる存在になれて、本当に良かったと思います。
--ターニングポイントですよね。
高橋 そうですね、ある意味挫折が力に変わったというのはありますね。
--そこを経験しているから強くなれた。
高橋 それはあると思いますね。私は研究生になったことがないというのが弱みだったのですが、自分が挫折したことでそれが強みになって、悩んでいるメンバーの気持ちを考えようと思ったのだと思います。
--一度心が折れて、でも自分の役割はとか、役に立つことを考えようと思えたのが強さだと思います。
高橋 根本的にグループにハマっちゃってたんだと思います。何よりも好きなものを続けたいという気持ちが強かったです。
--本当にそんな感じが本からも伝わってきます。「リーダー論」っていうタイトルよりも「グループ愛」にした方がいいんじゃないかってぐらい…。
高橋 本当にそうですよね…(笑)。
今は思い残す事、心残りは一切ない。それは10年間ひたすら走ってきたから
--卒業の日(3月28日)も発表して、こういう本も出して、まだまだやることはあると思いますが、グループに対して心残りはない?
高橋 (きっぱりと)ないですね。自分で言うのも変ですが、10年間ひたすら走ってきましたので、心残りはないですね。達成感がすごくあって、でも当然3月までは走り抜けなくちゃいけなくて、みんなとそこまでに作り上げていくことはまだたくさんあると思います。
--本の中にもありますが、友達に歌を褒められたことがこの世界を目指すきっかけになったそうですが、卒業後はやはり歌を極めていきたい。
高橋 そうですね。でもやっぱりそれだけじゃ通用しなくて、私よりうまい人はたくさんいることもわかったし、芸能界という世界がすごくよくわかった10年間でもありました。そんな簡単じゃないってこともよくわかって、かわいいコがセンターになれるわけじゃないし、歌がうまいから売れるわけでもないし…。でもやっぱり歌いたくてAKB48に入ったので、卒業しても歌にきちんと向き合っていきたいです。
--ソロライヴは経験済みですが、卒業後、改めてソロとして活動している自分の姿は想像できています?
高橋 はい!この一年という時間をいただけたので、ソロの自分というものをリアルに考えることができました。きちんと一から始めないといけないし、今の自分にはこれが足りないから、ゆっくり時間をかけて答えを出していかないといけないとか…。トークはAKBで鍛えられたと思いますので(笑)、そこはなんとかなるかなと思うんですけど、他の事はある意味ゼロからのスタートだと思っています。
ソロ活動で悩んだときは、高見沢さんや西川さん、ミュージシャンの大先輩にどんどん相談したい
--グループにいる時は、悩んだ時は同期とかに気軽に相談できていたかもしれませんが、ソロになった時の相談相手は、また同期ってわけにはいかないですよね。
高橋 そうですね、でもありがたいことにAKB48にいる間に『堂本兄弟』(フジテレビ系)という番組を通して、高見沢(俊彦=THE ALFEE)さんや西川(貴教=T.M.Revolution)さん、槇原(敬之)さん、KinKi Kidsさんという大先輩と仲良くさせていただいていますので、相談したいと思います。悩んだ時、同年代のコに相談しても、そのコも悩んでいると思いますので、人生経験が豊富な先輩、業界の大先輩に聞きたいと思います(笑)。やっぱり見ている世界が違うので、一緒にいると楽しいです。私すぐに影響されちゃうので(笑)。
--影響といえば、この本の中にも出てきますが、本当にマンガに影響されているんですね(笑)。
高橋 かなり影響されてます(笑)。 親御さんたちにしてみれば「マンガじゃなくて本を読みなさい!」って言うと思いますが、私は子供には絶対マンガを読ませた方がいいと思います!マンガって人生を豊かにしてくれますし、あの中に生きている主人公たちというのは、人に勇気を与えて、無謀と思える夢を掲げながらも、そこに辿りつくために切磋琢磨していく姿とか、ある意味理想のリーダー像だと思います。そういう人たちから学ぶことって実はたくさんあるので、「NARUTO」しかり「ONE PIECE」、「スラムダンク」しかり、大切なことを教えてくれるのは本だけじゃないんだよってことを言いたいです。
本気でAKB48を辞めようと思ったのは、みぃちゃんの事件の時だけ
--グループを必死に牽引してきた中で、本当にAKB48を辞めたいと思ったことってありますか?
高橋 感情的になって、辞める!って言ったのは、あのみぃ(峯岸みなみ)ちゃんの事件の時です。今でこそネタにできる雰囲気になっていますが、当時は本当につらかったです。
--それ以外では辞めようと思ったことはないんですか?
高橋 ないですね。でもレコード会社との契約がなくなった時は、やっぱり焦りましたね。これからは配信がクるって言われて、配信シングル「Baby!Baby!Baby!」という曲が出来上がり、でも全くクる気配がなく…。PVで水着になったのにってあの時は焦りましたね(笑)
--本当に色々ありましたよね。濃すぎる10年。
高橋 本当にそうですね。色々な感情を味わいました。
--その代わりといっては何ですが、少々のことでは動じない強さを手にした感じですか?(笑)
高橋 もう少々のことでは動じないですね(笑)。
--なにかあると総監督として「どうするんだ」と、高橋さんの考え方とコメントが求められてきたと思いますが、それも大変だったんじゃないかなって。
高橋 100点満点の受け答えというのは基本はないと思っていますし、言う事が全部正解ではないですし、言わないことも正解ではないですし、そのあいだをとると結局半分の人はいいと言ってくれ、半分の人はダメって言われるコメントになるんですよね。でももうそれは覚悟を持って、嫌われる勇気をもって話すようにしていました。
--言葉ってすごく難しいですよね。今はSNSとかでその言葉の揚げ足を取って、面白おかしく発信する人も多いですしね。
高橋 何かしゃべる度に、そういう風になってしまうことは気づいてましたけど、でも逆に、ここ揚げ足とられちゃうんだって勉強になりました。おかげで打たれ強くなったなと思いますね。
今まで普通にやってきたこと、言ってきたことを改めてまとめてみると、新しい発見がある
--この本を書くためにこれまでの事、これまで発した言葉を振りかえってみて、自分でこれはいい言葉だなって思うものはありますか?
高橋 私、言ったら忘れちゃうタイプなんですよ(笑)。だから一冊の本になってよかったっていうのはそこなんですよ(笑)。自分で読んで、自分で「あ、これ確かに言ったわ」と思い出して、確かにいい事言ってるって思ったりしてます。
担当編集者 『小さな集団の“ダマ”を取る』ところは自分で「これわかりやすい!」って言ってましたよ。
高橋 自分で言った事が、人にどう伝わっているか不安になる時があるんですけど、本になった時、もちろん編集の方がわかりやすくまとめて下さっているからなんですが、それにしてもわかりやすいなって(笑)
担当編集者 自画自賛(笑)
--名言がてんこ盛りで“気づかされる”ことが多い本です。
高橋 自分が当たり前にやっていたから、いざどういう風にやってたの?って聞かれたとき、時々言葉に詰まる時があって。普通にやっていたことなので改めて聞かれると、ステップ1から順番に出てこないんですよね。本にまとめることで改めて自分でも学んでるところがありましたね。
--優しい言葉で強いことを言っています。気になる言葉とかを日ごろからメモをしたりするタイプなんですか?
高橋 やっておけばよかったなって感じです(笑)。自分の頭の引き出しに入れるだけなんです。たまに寝る時とかにいい言葉を思い出したりするのですが、その時はスマホにメモしてます。
誰もが可能性を持っていて、なりたい自分になれる。だから夢や希望を捨てずに立ち向かっていって欲しい
--総選挙のスピーチにはそれぞれの人間性が出ますよね。
高橋 そうですね、だからあそこはすごく大切な場所だと思いますし、テレビの中継も入っていて、知ってもらうチャンスでもあるので、自己プロデュース力が必要とされますよね。メンバーには「あの一瞬を大切にしなさい」ということは、選挙の前には割と言っていました。「話すことをちゃんと考えておきなさいね」って言っても、ちゃんと言えるコと言えないコがいるんですよね。よく考えたら何万人にもの前でしゃべることなんて、人生の中でそうあることではないですから、やっぱり緊張しますよね。
--そして本を通して感じたのが、そんなに前向きな性格でしたっけ?と(笑)
高橋 自分はAKB48に入って凄く変わったと思いますし、それは周りの環境とか、手伝ってくれる大人の方たちが素晴らしい人ばかりだったので、人ってかかわる人によって自己形成の仕方が変わってくると思うんですよね。例えば自分で暗いと思っている人が、そんな自分の事が嫌だったとしても、明るい人達と一緒にいたら楽しくなって、自分も明るくなって引き上げられたりっていうこともあると思うので。だから今の自分が嫌でふさぎ込む必要は全くなくて、誰もが可能性を持っていて、なりたい自分になれるはずだから、夢や希望を捨てないで、立ち向かって行って欲しいなって思います。
秋元さんには一回も叱られたことがない。叱られないように気を付けて生きてきて、成長したタイプ
--たかみなさんぐらいのキャリアになると、褒めてくれる人、叱ってくれる人、そういう言葉をかけてくれる人がだんだん少なくなってくるとは思いますが、高橋さんの事を叱るのはやはり秋元康さんですか?
高橋 秋元さんには一回も叱られたことがないんですよ。秋元さんも「AKB48の中で叱ったことがないのはたかみなぐらい」って言ってますね。AKB48に入ってきた頃にダンスの夏(まゆみ)先生に叱られていましたけどそれぐらいで、基本は叱られないように気を付けて生きてきました(笑)。自分の事は自分で叱ることができます!
--勝手なイメージですが、叱られて強くなって成長したタイプだと思っていました。
高橋 逆に叱られるのが嫌だから成長した感じですね。
言葉の重みを知る。そのひと言が、一人の人の人生を変えることもある
--“ひと言”の大切さも本の中に書かれていましたね。
高橋 その人からしてみたら些細なひと言だったかもしれないけど、言われた方はすごく残っているものなので、自分も褒める時はちゃんと褒めてあげないといけないと思うし、そのひと言が誰かの力になったりするので。指原(莉乃)も研究生の時に、楽屋で私が「緊張してるの?大丈夫だよ、頑張って」って声をかけたらしいんですけど、正直覚えてなくて(笑)、でも本人は「言ってもらった時すごく嬉しかったんです」って感謝してくれて、その時に、些細なひと言が人の人生を変えるきっかけになるから、言える人になろうって思いました。
--本の中にもメンバーに常に声をかけている高橋さんの姿がありました。
高橋 言葉は人に何か影響を与えたりするので、小さい事でも褒めてあげて、ちゃんと見てるよということを言ってあげることが、凄く大切だと思います。
--AKB48としての時間も残り少なくなってきましたが、これまでの想いを綴ったこの本も出して、言い残したことはないですか(笑)
高橋 本の発売日の12月24日時点での気持ちは、全部言い切っています。
--そして、心残りなのはノースリーブスなんですが(高橋みなみ×小嶋陽菜×峯岸みなみのユニット)(笑)
高橋 本当ですよ!!今日(=インタビュー日=11月26日)がちょうど結成7周年なんですよ。AKB48の中で一番最初にできた派生ユニットで、ゆる~く長くやっている感じですよね、今は。ラジオの「ノースリーブスの週刊ノースリー部」(ニッポン放送)が、3人が月イチ集まる唯一の機会なので、楽しんでいますが、ファンの方たちからは「CDリリースしなくてもいいから解散だけはしないで」と言われています(笑)。
このインタビューの直前に、卒業する日が発表されたこともあってか、本人はすっきりした様子で、インタビューに対する答えも全く迷いのない、きっぱりとした言葉ばかりだった。“やりきった”……“普通ではない”環境の中で、その一挙手一投足に注目が集まり、自分の事よりも300人の大所帯をまとめていかなければいけない、そんなプレッシャーにさらされた10年間を過ごした彼女の口から出る“やりきった”は、強い想いとともに解放感を感じさせてくれた。束縛されていたわけじゃない、でもその中で最大限の力を発揮した、だからこれからは自分の夢を追いかけたい--誰がそれを止めることができるだろうか。やりきったからこそ書けた本が『リーダー論』だ。グループから去る前に、“高橋みなみの証明”をきちんと言葉に残した彼女。この本を書いたことで自分の中でしっかり“区切り”をつけたのではないだろうか。次のステージへ向け、彼女の瞳の奥に今までとはまた違う力強い光を見た気がした。
<Profile>
1991年生まれ、東京都出身。2005年にAKB48の第1期メンバーとして活動開始。2009年にAKB48チームAのキャプテンとなり、2012年には300人以上のメンバーをまとめる総監督に就任。常に努力を怠らず、細かい気配りと丁寧なコミュニケーションでグループを引っ張る姿は、多くのメンバーから“理想のリーダー像”といわれており、AKB48総合プロデューサーの秋元康氏は「AKB48とは高橋みなみのことである」と述べている。AKB48活動10周年となる2015年12月をめどにAKB48から卒業し、卒業後はソロ歌手として活動する予定。現在NHK Eテレ『いじめをノックアウト』や『ミライ☆モンスター』(フジテレビ)、『Mujack』(関西テレビ)などにレギュラー出演中。また2015年4月からは法務省矯正支援官として活動中。
『リーダー論』(講談社AKB48新書)
24歳にして300人を超すメンバー達を率いてきたAKB48グループ総監督・高橋みなみ。10年間のAKB48の活動の中でいかにして現在のような「まとめる力」を身につけたのか。メンバーをつなぎ、チームをひとつにするコミュニケーション術、心を打つスピーチの秘訣、努力することの意味や、嫌われる勇気の大切さなど、リーダーとしての心得を豊富な実体験を元に語っている。AKB48グループのメンバーやファンへ向けた高橋みなみの“総監督としてのラストメッセージ”であると同時に、一般の社会人から学生まで、幅広い世代の人たちに「へこたれずに生きるヒント」を与える自己啓発書になっている。12月24日発売。