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”一軍復帰OK”の千賀滉大から3打席3安打。大分B-リングスの20歳外野手が鷹のエースを完全攻略

田尻耕太郎スポーツライター
大分B-リングスにとって貴重な経験(筆者撮影)

 6月29日、九州アジアリーグの大分B-リングスと福岡ソフトバンクホークス三軍がタマホームスタジアム筑後で同リーグ交流戦を行った。

千賀「あとは待つだけ」

【6月29日 九州アジアリーグ交流戦 タマスタ筑後 341人】

大分     000010001 2

ソフトバンク 04020015× 12

<バッテリー>

【大】伊藤、片山、海斗、帖佐、金城――渡邊、後藤

【H】千賀、吉住、重田――牧原巧

<本塁打>

【H】中村宜

<スタメン>

【大】9花岡 8廣沢 4新井勝 7山下 6川上 3原野 D西久保 2渡邊 5大前

【H】9笹川 6川原田 3渡邉陸 5井上 D石塚 2牧原巧 4伊藤 7早 8舟越

先発した千賀投手(筆者撮影)
先発した千賀投手(筆者撮影)

<戦評>

 ソフトバンクが大勝した。二回に伊藤、早、舟越の3者連続タイムリーで4点を先制。四回の得点は笹川の2点二塁打。七回には中村宜が代打ソロ本塁打を放った。八回にも中村宜や井上の適時打などで大量5点を奪って突き放した。ソフトバンクは計16安打。4番の井上は5打数3安打2打点。さらに舟越が2打数2安打2打点2四球と全打席出塁してアピールした。

 先発は一軍復帰への「最終テスト」で千賀が上がり、球数100球メドの中で5回3分の1を99球、4安打6三振2四球1失点(自責0)のピッチングだった。最速は156キロを計測。「大きな問題はなかった」と振り返り、「ファームでやりたかったことはクリアできた」と明るい表情で話していた。

 大分はサブマリン右腕の伊藤が先発して4回6失点。3者凡退に抑える回もあったが、崩れた場面では歯止めがきかなかった。リリーフ陣が苦戦した中で、2番手・片山は2回無安打無失点に抑えた。(了)

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大分球団初のNPB戦に廣田監督が感じたこと

中央が大分B-リングスの廣田監督。左は元横浜DeNA、オリックスの白崎浩之内野手兼コーチ(筆者撮影)
中央が大分B-リングスの廣田監督。左は元横浜DeNA、オリックスの白崎浩之内野手兼コーチ(筆者撮影)

 チーム誕生からまだ1年未満の大分B-リングスが、初めてNPB球団と対戦した。

 九州アジアリーグのもう1つの球団の火の国サラマンダーズはすでにソフトバンクと5試合の練習試合を行っているが、大分とソフトバンクの対戦はこれまでなかった。この日は「九州アジアリーグ交流戦」で、大分球団にとっては公式試合扱いとなる。

 結果は10点差での大敗。かつて巨人やヤクルトで投手として活躍し、昨年まではソフトバンクでスコアラーを務めるなどしていた廣田浩章監督は「ピッチャーのレベルが低い。力のなさが思いっきり出てしまった」と悔しさをあらわにした。

 今週末に火の国との公式戦が控えていることから、主戦級を温存して臨んだことも裏目に出た。「立場は監督ですが、投手コーチとしての役割もあると思っています。それだけに……。相手はNPBですが、三軍は大分よりも年下の選手ばかり。本来ならば見下ろすくらいの気持ちでぶつかってほしいのですけど。まだまだ課題です」と振り返った。

 一方で打線はソフトバンクのエース・千賀滉大投手と対戦する機会に恵まれた。剛速球にも変化球にも食らいついて、4安打2四球から多くのチャンスの場面を作った。3回の1アウト満塁では3番・新井勝の内野ゴロの間ではあったが、1点をもぎ取った。

「打つ方はアピール出来た選手もいたと思います。最近は火の国の投手からも点を取ることが出来ている」と廣田監督。

 大分と火の国が対戦する九州アジアリーグ公式戦は現在、大分4勝、火の国11勝と大きく水をあけられているが、直近カードだった6月19日~21日の大分ホームでの3連戦(すべて別大興産スタジアム)は2勝1敗と勝ち越しており、徐々にではあるがチーム力が上がっていることを証明した。

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大分の2番打者・廣沢、見事な千賀撃ち!

大分・廣沢外野手(筆者撮影)
大分・廣沢外野手(筆者撮影)

 大分B-リングスの「2番中堅」でスタメン出場した廣沢新太郎外野手が、千賀と3打席して3安打を放つ猛アピールを見せた。

 初回1アウト無走者の第1打席。「1、2、3で目を瞑って振るくらいの、思い切った気持ちでいきました」と155キロ直球に対してしっかりスイングすると、打球は右翼手の頭上を越えていき二塁打となった。

 三回2アウト一塁での2打席目はスライダーをセンター前へ弾き返した。そして、五回1アウト一塁の3打席目は頭脳プレーだ。三塁線へセーフティバント。千賀がロスなく打球処理をしたが、まるで間に合わずに内野安打とした。

「普段長打はあまりないタイプです。千賀さんの球威のおかげで飛んだのだと思います。自分としては2安打した後にバントを決められたのが良かったです。あと、4打席目も納得しています」

 この日の最終打席はソフトバンク3番手・重田との対戦。フルカウントまで粘って、ショートへ痛烈なライナーを打ち返した。正面を突いてヒットにはならなかったが、「内容の良さでは一番の打席だったと思います」と振り返った。

 大阪出身の20歳外野手は「自信になりましたが、驕らずにやっていきたいです。目標はNPB入り。育成だとしてもドラフト指名してもらえるように頑張りたい」と話し、「持ち味は足。守備範囲の広さ」とアピールした。

廣沢新太郎(ひろさわ・しんたろう)

 2001年3月22日生まれ、大阪府出身。右投、左打。外野手。身長177cm、体重72kg。中学卒業後に九州へ。福岡大城東高校から九州総合スポーツカレッジを経て、大分B-リングスに入団した。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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