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藤井聡太二冠の最年少三冠なるか――豊島将之叡王に挑む第6期叡王戦五番勝負展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
史上初19歳での三冠獲得が期待される藤井聡太二冠(筆者撮影)

 豊島将之叡王(31)に藤井聡太二冠(19)が挑戦する第6期叡王戦五番勝負(不二家主催)は第1局が7月25日に東京都千代田区「江戸総鎮守 神田明神」で行われる。

 藤井二冠(王位、棋聖)にとって豊島叡王(竜王)は過去3勝7敗と負け越している強敵だ。史上最年少となる19歳での三冠獲得がかかる五番勝負を予想してみた。

<五番勝負日程>

第1局 7月25日 東京都千代田区「江戸総鎮守 神田明神」

第2局 8月3日 山梨県甲府市「常磐ホテル」

第3局 8月9日 愛知県名古屋市「か茂免」

第4局 8月22日 愛知県名古屋市「名古屋東急ホテル」

第5局 9月13日 東京都渋谷区「将棋会館」

藤井二冠に追い風

<豊島叡王の最近10局>(未放映のテレビ対局を除く)

4月7日 お~いお茶杯王位戦リーグ紅組

対澤田真吾七段 ○

4月30日 王座戦本戦

対三枚堂達也七段 ●

5月7日 お~いお茶杯王位戦リーグ紅組

対片上大輔七段 ○

5月24日 お~いお茶杯王位戦リーグ挑戦者決定戦

対羽生善治九段 ○

6月10日 順位戦A級

対佐藤天彦九段 ○

6月24日 棋王戦本戦

対冨田誠也四段 ○

6月29、30日 お~いお茶杯王位戦七番勝負第1局

対藤井王位 〇

7月6日 順位戦A級

対広瀬章人八段 ●

7月13、14日 お~いお茶杯王位戦七番勝負第2局

対藤井王位 ●

7月21、22日 お~いお茶杯王位戦七番勝負第3局

対藤井王位 ●

<藤井二冠の最近10局>(未放映のテレビ対局を除く)

6月13日 順位戦B級1組

対屋敷伸之九段 ○

6月18日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第2局

対渡辺明名人 ○

6月22日 叡王戦本戦準決勝

対丸山忠久九段 ○

6月26日 叡王戦挑戦者決定戦

対斎藤慎太郎八段 ○

6月29、30日 お~いお茶杯王位戦七番勝負第1局

対豊島竜王 ●

7月3日 ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局

対渡辺名人 ○

7月6日 順位戦B級1組

対久保利明九段 ○

7月10日 竜王戦決勝トーナメント

対山崎隆之八段 ○

7月13、14日 お~いお茶杯王位戦七番勝負第2局

対豊島竜王 ○

7月21、22日 お~いお茶杯王位戦なな番勝負第3局

対豊島竜王 ○

 両者は同カードで争われる王位戦七番勝負を含めた「十二番勝負」の合間に順位戦ほか過密スケジュールをこなしている。

 豊島叡王は直近10局6勝4敗とかろうじて勝ち越してはいるが、ここにきて3連敗と流れが悪い。対照的に藤井二冠は9勝1敗と絶好調を維持しており調子の面では明らかに挑戦者優位といえる。

直接対決はまだ豊島叡王の勝ち越し

 両者の公式戦直接対決は豊島叡王が7勝3敗(1千日手)と大きくリードしている。

ただし藤井二冠は6連敗のあと今年1月に初勝利を挙げ、このカード初の番勝負となる王位戦七番勝負では2勝1敗と勝ち越し、過去の苦手意識を克服しつつあるように思える。

 戦型は相居飛車中心、豊島叡王先手なら角換わりか矢倉、藤井二冠先手なら角換わりか相掛かりが過去のデータから予想される。

 総合すると直近の調子と直接対決の星の流れ、さらに31歳と19歳の年齢差が若い藤井二冠に有利に働き、接戦になってもタイトル奪取の可能性が高いだろう。

 現棋界最高の取り組みで名勝負が一局でも多く見られることを期待している。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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