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【遠賀郡芦屋町】芦屋東小で「錫製古印作り」芦屋鋳物師と卒業制作

Kanae Nidoi地域密着型クリエイター(遠賀郡・中間市・直方市)
制作した古印で判を押す様子

芦屋釜の里を拠点に活動している芦屋鋳物師の樋口陽介さんが3月5日、芦屋東小学校の児童たちとともに古印制作を行いました。

この春卒業した6年生の卒業制作の一環で、町内の小中学校では毎年恒例となっている行事です。

芦屋町ならではの思い出づくり

今回筆者がお邪魔したのは、芦屋町浜口町にある芦屋東小学校。

6年生33人が1・2時間目を使って、錫を使った古印作りに挑戦しました。

「芦屋鋳物」という伝統がある町だからこそのこの取り組み。

登壇した樋口さんが自己紹介を始めると、児童たちはみんな興味津々で耳を傾けます。

芦屋鋳物師の樋口陽介さん
芦屋鋳物師の樋口陽介さん

古印制作についての説明が一通り終わると、児童たちは自分の名前から印にする漢字一文字を選び、その字のルーツとなった金文(古代中国の青銅器に鋳込まれた文字)を鋳型に彫り込んでいきます。

文字を下書きする様子
文字を下書きする様子

経験を自信に変える成功体験

鋳型が完成すると、印の持ち手部分をかたどった鋳型と合体させ、樋口さん指導のもと溶かした錫を流し込んでいく児童たち。

高音に熱した錫
高音に熱した錫

作業中は不安からか少し顔を拒める児童もいましたが、そんな場面でも樋口さんは「大丈夫大丈夫!」と声をかけます。

鋳型に高温の錫を流し込む様子
鋳型に高温の錫を流し込む様子

少しくらい失敗しても、どんなに雲行きが怪しくても「いいじゃん!うまい!」とポジティブ全開。

数分で固まった古印を鋳型から出し水で冷やすと、児童たちは目を輝かせながら慎重にそれを受けとります。

固まったばかりの古印
固まったばかりの古印

全員分の作業を終えた樋口さんも「この瞬間は自分の作品より緊張するし、嬉しいかもしれない(笑)」と安堵の表情。

 たとえ鋳型が成功しても、印の文字や枠の高さがそろっていないと文字は浮かびません。児童たちは最後まで念入りに、紙やすりで高さ調整を繰り返していました。

クラス全員の古印を色紙に集めます
クラス全員の古印を色紙に集めます

芦屋町では、中学3年の美術の授業でも古印作りを取り入れてる事から「中学ではもう一つ違う文字ができるといいよね」と樋口さん。

終始和やかなムードで行われた特別授業は「3年後にまた会いましょう!」という挨拶で幕を閉じました。

過去にも古印作りに挑戦したことがあるという女子児童は「何回やっても楽しい。前よりうまくできた気がする」と嬉しそうに話してくれました。

樋口さんも「この経験が子どもたちそれぞれの成功体験となり、自信につなげてもらえたら」と笑顔を見せます。

自己肯定感を高めるワークショップ

最初から最後までポジティブな言葉を投げかける樋口さんの姿には、筆者も感心させられっぱなしで、まるで子育ての極意でも学んだかのような満足感がありました。

我が家の息子たちは芦屋町民ではないので卒業制作は無理ですが、「芦屋釜の里」では古印制作のワークショップも行われているんだとか。

子供だけじゃなく大人だけでの参加も楽しめそうですよね。

ワークショップの開催日に関しては、芦屋釜の里公式ページまたは公式インスタグラムで随時お知らせしているとのことなので、要チェックです!

芦屋釜の里の入江翔悟さんと、樋口陽介さん
芦屋釜の里の入江翔悟さんと、樋口陽介さん

「芦屋鋳物師 樋口陽介」
1980年福岡市生まれ。2005年芦屋釜の里鋳物師養成員に採用。2011年第6回佐野ルネッサンス鋳金展で大賞、2015年第8回同展で佐野市長賞を受賞するなど、美術性の高い作品作りにも精力的に取り組んでいる。また、中国青銅器の研究に取り組み、青銅器に鋳込まれた古代文字「金文」の製作技法を解明する研究に参加。芦屋釜の里を「東アジアの鋳物研究・生産センターにしたい」という夢をもつ。2021年4月より独立。芦屋釜の里内の芦屋釜復興工房において芦屋釜の製作を行っている。

「芦屋釜の里」
住所:福岡県遠賀郡芦屋町山鹿1558−3
営業時間:9時~17時(入館・呈茶は16時40分まで)
休館日:毎週月曜日(祝日にあたる場合はその翌平日)・年末年始
入場料:中学生以上200円/小学生100円/6歳未満無料
駐車場:無料

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地域密着型クリエイター(遠賀郡・中間市・直方市)

福岡県内でフリーライターとして活動しています。2歳差兄弟の息子たちの育児と、保護犬3匹のお世話に日々奮闘中。ヒトでもモノでもどんなコトでも、魅力を最大限に伝えられるような深掘り記事をお届けします。

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