ウクライナ軍、トルコの軍事ドローン「バイラクタル」でロシア軍の小型迫撃砲も破壊:ロシア軍による撃破も
ロシア軍が2022年2月にウクライナに侵攻。ウクライナ軍はトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」を利用して侵攻してきたロシア軍に攻撃している。トルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍の装甲車を上空から破壊して侵攻を阻止することにも成功したり、黒海にいたロシア海軍の巡視船2隻をスネーク島付近で爆破したり、ロシア軍の弾薬貯蔵庫を爆破したり、ロシア軍のヘリコプター「Mi-8」を爆破したりとウクライナ軍の防衛に大きく貢献している。ウクライナ軍が上空からの攻撃に多く利用しているトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍侵攻阻止の代名詞のようになっており、歌にもなってウクライナ市民を鼓舞している。
ウクライナ軍がトルコの軍事ドローン「バイラクタルTB2」を活用してロシア軍を多く攻撃している。そして爆破に成功するたびに上空からの動画をSNSで公開して世界中にアピールしている。2022年9月にもウクライナ軍はロシアの戦車「T-72」や120mm迫撃砲2B11を上空から攻撃して爆破している動画を公開していた。大型ドローンの「バイラクタルTB2」なので大きな標的を攻撃することが多い。だが大型の標的だけでなく、迫撃砲のような小型の標的にも「バイラクタルTB2」で攻撃していることを伝えていた。
▼「バイラクタルTB2」でロシア軍の迫撃砲を攻撃する様子
▼「バイラクタルTB2」でロシア軍の戦車を攻撃する様子
ロシア軍に爆破される多くの「バイラクタルTB2」
このようなSNSや動画だけを見ていると、ウクライナ軍が優勢のように見えてしまう。だがこのように軍事ドローンで攻撃に成功する前にロシア軍に上空で撃墜されてしまうことも多い。「バイラクタルTB2」でも全戦全勝ではない。ロシア軍の地対空ミサイルに多くの軍事ドローンが撃墜されている。
「バイラクタルTB2」はウクライナ軍にとってロシア迎撃に貢献しているし、ウクライナ国民にも人気がある。ロシア軍にとっても脅威である。そのため、ロシア軍は「バイラクタルTB2」を検知すると地対空ミサイルなどを発射して徹底的に破壊している。爆破された「バイラクタルTB2」の残骸の写真もよく公開されている。ウクライナ軍にとっては「バイラクタルTB2」は何台あっても足りない。
リトアニア市民やポーランド市民からのクラウドファンディングによる募金でも「バイラクタルTB2」を購入してウクライナ軍に提供する予定だったが、「バイラクタルTB2」を製造しているバイカル社はウクライナ軍に無償で同機を提供して「集まった費用は人道的な支援に使用してください」と語っていた。また同社のCEOはロシア軍には同機を提供しないと明言している。このようなエピソードもロシア軍にとっては「バイラクタルTB2」が憎い存在理由の1つになっており、「バイラクタルTB2」を検知したら絶対に破壊してやろうというロシア軍のモチベーションにもなっている。
▼ロシア軍に大破されて真っ黒に焼かれた「バイラクタル」
トルコは世界的にも軍事ドローンの開発技術が進んでいるが、バイカル社はその中でも代表的な企業である。バイカル社のCTOのバイラクタル氏はトルコのエルドアン大統領の娘と結婚しておりトルコでも有名。軍事ドローン「バイラクタル TB2」はウクライナだけでなく、ポーランド、ラトビア、アルバニア、アフリカ諸国なども購入。アゼルバイジャンやカタールにも提供している。2020年に勃発したアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる軍事衝突でもトルコの攻撃ドローンが紛争に活用されてアゼルバイジャンが優位に立つことに貢献した。タジキスタンも購入を検討している。
トルコの軍事ドローンだけでなく、米国バイデン政権は米国エアロバイロンメント社が開発している攻撃ドローン「スイッチブレード」をウクライナ軍に提供。さらに「フェニックス・ゴースト」も提供する。英国も攻撃用の軍事ドローンをウクライナ軍に提供している。ロシア軍はロシア製の軍事ドローン「KUB-BLA」で攻撃を行っている。またイラン政府がロシア軍に軍事ドローンを提供すると報じられている。両国ともに軍事ドローンによる上空からの攻撃を続けている。軍事ドローンが上空から地上に突っ込んでくる攻撃は破壊力も甚大であることから両国にとって大きな脅威になっている。
両軍ともに攻撃や監視・偵察にドローンを活用しているが、ドローンは上空で撃破されたり、機能不全にされている。そのためウクライナ政府は各国に武器の提供も呼びかけている。
▼バイカル社の攻撃ドローンの「バイラクタル TB2」
▼「バイラクタルTB2」を称えたウクライナの歌