阿部寛、大泉洋、森泉…。ものまねで注目の「ラパルフェ」の現在と見据える今後
阿部寛さんのモノマネなどで注目されている都留拓也さん(27)と尾身朝子衆院議員を母に持つ尾身智志さん(27)のお笑いコンビ「ラパルフェ」。都留さんは千葉大学、尾身さんは早稲田大学を卒業した高学歴コンビでもありますが、二人が見据える課題と今後とは。
仕事量10倍
都留:最初にものまねで注目していただいたのが2019年。映画「トイ・ストーリー」のウッディをやった時でした。
その時点でまだ芸歴2年ほど。テレビに出た経験も一回しかなかったんですけど、そこから一気に露出が増えました。恐らく10倍にはなったと思います。
尾身:ただ、それがコンビとしての露出につながるかというと、また別物でして。ものまねは一人でも成立しますし、もしツッコミを入れるにしても、ものまね番組の司会の方がその役割をされますしね。
あと、都留くんが阿部寛さんのものまねで出るなら、その相方としてでるのは遠藤憲一さんのものまねをされている「ひよしなかよし」のねんねんさんとかになることが多くて。いろいろな角度から、コンビの露出増にはあまりつながらないんです。
ただ、これだけたくさん呼ばれていることを相方ながら純粋にすごいと思います。コンビとしてのネタを作っているのも都留くんですし、もっと売れて、もっと評価されてほしい。ここも心底そう思います。
さらに突き抜けるくらい売れてくれたら、さすがにコンビとしての露出も増えるかもしれない。ま、そんな狙いもないではないんですけど(笑)、それ以上に、都留くんがしっかり真っ当に売れる。そうなったらいいなと思っているんです。
まだまだ程遠いですけど、理想としては「チョコレートプラネット」さんみたいになれたらなと。ネタで結果を出して評価される。そして、ものまねなど本ネタ以外の部分でも注目され総合力でまた評価される。そんな形になればなと思うんです。
“何もしない”という居方
都留:いろいろなところで仕事をさせてもらうようになって、本当にたくさん刺激も受けています。
それこそ、よく一緒に出ているねんねんさんからもすごく勉強させてもらっています。ねんねんさんは一気に盛り上げる力がすごいんです。
逆に、僕は人見知りというか、良く言うと?育ちがいいところがあって、人が話し終わるまでは待っておかないといけないと考えてきたんです。
引っ込み思案というのか「まだこの人がしゃべってるな。あ、次の人がしゃべり出したな。あれ、また次の人がしゃべってるな」みたいなことを考えているうちに、番組が終わってしまう。そんなことが多々あったんです。
でも、ねんねんさんは臆せず入っていくんです。もしハズしたらそれはそれで笑いにされますし、本当にすごいなと。
もちろん、それが芸人としてあるべき姿なんだとも思うんです。でも、特にものまねをやり出した最初の頃は「これはおそらく賞味期限が短いネタだろうし、あまり出し過ぎるとすぐに飽きられてしまう」という意識もあって、司会の方からネタをふられたらそこで初めてしっかりやる。それくらいの出し方でちょうどいいんじゃないかという意識もあったんです。
でも、それではなかなかチャンスもないですし、少しでもいけそうな空気があれば、そこでやりきってしまう。そして、飽きられたらまた新しいものを練習すればいい。そのメンタルに変わっていけたのも大きかったと感じています。
尾身:影響を受けたということで言うと、僕は「ハナコ」の菊田(竜大)さんです。コンビで、トリオで、ネタを作っていない側の人間がどう振る舞うべきか。それを間近で見せてもらっています。
ネタを作っていないからこそ「せめてこれをしよう」とか「何か人より動いて結果を残そう」とか、その考え方ももちろんあるとは思うんです。
でも「ま、それはそれで…」と変に動かず堂々としている。そうすることで、逆に注目される。そんな存在感の出し方もあるんだ。この形でもいいんだ。それを見せてもらっているなと。
もちろん、菊田さんの場合はネタの中での表情とか、腕があるからこその存在感なんですけど、この道もあるんだと。そこを知ることで、救われた部分がすごくあったんです。
都留:周りの方に学びながら、まだまだ発展途上ではあるんですけど、いつかは深夜ラジオをコンビでできたらなと思っています。
これは多くの芸人さんが考えることだとは思うんですけど、ラジオができるということは、僕らがしゃべっている話を多くの方が求めてくださっているということ。その形が作れるということは、こちらがそれだけの存在になっているということ。なんとかそこを目指してやっていきたいなと思っています。
親が国会議員であるということ
尾身:僕もラジオはやりたいんですよね。そのためには、僕の話も聴きたいと思ってくださる方をもっと増やさないといけない。
そのための一つの方法として、個人的には体を張る仕事をやりたいなと。体一つで楽しんでもらえるものというか。例えば、ドッキリで落とし穴に落ちるとか。
これってライブではできないことで、テレビでしかできない笑いなんだろうなと。そういう仕事をどんどんやっていきたいなとも思っているんです。
あと、僕の母親は国会議員でして。それ自体は、それ以上でもそれ以下でもないんですけど、そういう境遇の人間が落とし穴に落ちる。その方が一つ面白さが乗っかるものなのかなと。
ただ、ネタで賞を取るとかは頑張り方がまだ分かるんですけど、ドッキリにかけてください!と大っぴらに手を挙げるのも違いますし、どうしたらいいのかなと…。
最近、たまに都留くんにドッキリが来ることがあって、その流れでなんとなくこっちにもスッと来ないかなと。ただただ、今はそれを願う日々です(笑)。
(撮影・中西正男)
■ラパルフェ
1994年6月3日生まれの都留拓也(つる・たくや)と94年7月10日生まれの尾身智志(おみ・さとし)が2018年にコンビ結成。ともに東京都出身。ワタナベエンターテインメント所属。都留は千葉大学卒業でものまねを得意とし、阿部寛、大泉洋、森泉などのレパートリーを持つ。尾身は早稲田大学卒業で祖父は元財務大臣の尾身幸次、母は尾身朝子衆院議員。