悪化の一途を辿る日韓関係和解の「処方箋」
今日22日は日本にとっては「竹島の日」である。竹島は歴史的にも国際法的にも日本の固有の領土であることを内外にアピールする日でもある。それだけに「独島=竹島」は「我が領土」と主張する韓国側の反発は必至だ。
「慰安婦問題」「徴用工問題」「レーダー照射問題」の三つの難題にもう一つ、それも最も過敏な「領土問題」が加わることになるが、日韓の政治家らは悪化の一途を辿る日韓関係を一体、今後どう軌道修正しようとしているのだろうか。
朴正煕政権が1979年に崩壊した後、全斗煥、盧泰愚、金泳三、金大中、盧武鉉、李明博、朴槿恵そして今の文在寅と韓国では大統領が8人も代わった。日本も大平正芳以降、今の安倍晋三まで総理が20人も交代した。そして、韓国では政権が交代する度に「過去」の問題、「謝罪」議論が沸騰し、その度に日韓の指導者らは「未来志向の関係」を口にする。しかし、現実には過去の呪縛に囚われたままで日韓関係は一向に良くならない。「不治の病」に冒されたかのような日韓関係の病原を探る「診断」もなければ「処方箋」もみつからない。
いつだったか、日韓のいがみあいを精神分析した本を読んだことがあった。日韓のいがいみあいを古代から徹底的に解明することで、歪んだ両国の関係を矯正し、「嫌韓反日」の無意味さを衝く日韓の二人の学者の対談本「日韓 いがみあいの精神分析」(岸田秀・金両基著)である。
本書は三部構成から成っていたが、第一部の「大和朝廷は百済の亡命政権である」では、神話の世界から日本と朝鮮半島の誕生のルーツ、さらには宗教観にまで踏み込むことで日韓のナショナリズムやアイデンティティの相違を炙り出していた。
また、第二部の「大和魂を生んだのは朝鮮通信使である」は豊臣秀吉の朝鮮出兵から徳川幕府、明治維新における関係について触れていたが、ここでは「文を尊ぶ韓国」と「武を尊ぶ日本」との違いが浮き彫りにされていた。日韓が表裏の歴史を共有していることを改めて思い知らされた。
加害者であっても、被害者であっても、歴史的事実を確認することが極めて重要であり、歴史認識を共有してこそ、ナショナリズムの喧嘩を回避できると著者らは指摘していた。
日韓間では「過去の問題」が噴出する度に韓国人は「日本人は歴史を知らなすぎる」と、逆に日本人は「韓国人は過去にこだわりすぎる」と言い合ってきた。こうした現象が生まれるのは、韓国の教科書が日韓関係を多く取り上げているのに対して日本の教科書がヨーロッパ中心観、中国中心観のため韓国との関係を対外関係の一部として扱い、量的にも韓国に比べて少ないことも一因のようだ。
お互いに寛大になることが必要だと思う。自分の物差し、定義に当てはめようとすると、どうしてもそこに誤解が生じ、摩擦が起き、いがみ合う。それだけにお互いの物差しの尺度が違うことを知ることが最も大切なことではないだろうか。
日本と韓国は民族も言語も風習も違う、食文化においてもキムチと沢庵に象徴される違いがある。お互いの違いを認めることが隣人として付き合っていくコツでもある。
「嫌韓派」であれ、「反日派」であれ、日本人であれ、韓国人であれ、隣人を正しく知ることが唯一の「処方箋」である。