竹島を知った経由は「テレビ・ラジオ」がトップの94.8%
テレビやラジオ経由の認知が圧倒的な竹島問題
内閣府は2017年10月、竹島に関する世論調査(※)の結果概要を発表した。その公開資料から竹島に関する認知経由の問題などを確認する。
竹島は島根県に属し、隠岐島の北西約157キロ、北緯37度14分・東経131度52分に位置する、男島・女島から構成される島。戦後発効したサンフランシスコ講和条約で国際的に日本領帰属として確定したが、その直前に韓国が独自かつ一方的に海洋主権宣言(李承晩ライン宣言)を行い竹島の領有を主張、同島を自国領海に取り込み、以後同国が武力によって不法占拠・支配を継続しており、日本の施政権行使がさまたげられる状態が続いている。
今回発表された調査結果の内容によれば、「竹島」そのものの認知度は高く、調査対象母集団全体の93.8%が知っていると答えた。知らなかった人は4.8%に留まっている。
この「竹島を知っていた人」に、どのような経路で知るに至ったかを尋ねた結果が次のグラフ。圧倒的に「テレビ・ラジオ」が多く94.8%、次いで「新聞」が58.0%。いわゆる4マス経由で知った人が多数に及んでいる。
同じ4マスでもテレビやラジオのような電波媒体系の効果は大きく、紙媒体系の「新聞」はやや小さくなっている。また同じ紙媒体系でも報道色の薄い「雑誌・書籍」は、さらに回答率が低い。
もっともこれは雑誌や書籍の場合、掲載される機会が少ないのに加え、記事掲載誌がある程度絞られてしまい、他の記事にあわせてついでにといった機会があまりないのが原因だと考えられる。一方テレビやラジオ、新聞の場合は、竹島問題そのものだけを視聴するのではなく、全般的に視聴している中で、あわせて見聞きして知ったことが想定される。
一方、インターネット関連の情報は7.7%、官公庁のインターネット情報にいたっては2.5%でしかない。解説しているサイトが少ないことも一因だが、インターネットの情報はほとんど公知には役立っていない現状が見て取れる。
今後の啓蒙にも期待が寄せられるテレビ
テレビやラジオ、新聞によって認知した人が多いこともあり、「今後の啓蒙に求められる取り組み」においても、テレビや新聞に対する期待は大きい。
「テレビ番組や新聞を利用した詳細な情報提供」を期待する声は3/4を超えている。見方を変えると、現状の広報・放送量では啓蒙としてまだ足りない、さらに質・量共に必要であるとの認識が強いことになる。
興味深いのは展覧会の開催を求める声が1/4を超えていること。認知経由としての「講演会・研修会・シンポジウム」は2.2%しかなかったが、資料をしっかりと集められた上で一望できる、(多分に公的な)状況の説明・情報の展覧会への需要が大きいことが分かる。
需要の大きさといえば「見やすさ・分かりやすさを重視したウェブサイトの開設・広報」の期待も高く、28.2%。インターネット経由で認知した人が1割を切っているだけに、適切で分かりやすく、ハードルが低いタイプの専用サイト(こちらも多分に公的なもの)が開設されることを望む声は強いようだ。
今調査は調査の目的を「竹島に関する国民の意識を調査し、今後の施策の参考とする」と説明している。今回の項目に関しては、この言葉通り、積極的かつ正しい方向性で「参考」にしてほしいものである。
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※竹島に関する世論調査
2017年7月13日から23日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人3000人に対し、調査員による個別面接聴取方式によって行われたもので、有効回答数は1790人。前回(2014年実施)までの調査では20歳以上を対象としていたのに対し、今調査からは18歳以上を対象としているため、2014年分までと2017年分以降との間に厳密な連続性はないことに注意が必要。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。