長期的な「肥満者」「やせの者」の割合変化をさぐる(2018年発表版)
最近では中年層の肥満や若年女性のやせ具合が問題視されている。統計上はどのような実情なのだろうか。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(※)の公開データから確認する。
BMIは肥満度を表す一つの指針で、Body Mass Indexの略称。計算式は簡単で「体重÷身長÷身長」と表せる。BMI値が測定出来た人を肥満(BMI>=25.0)・普通(18.5<=BMI<25.0)・やせの者(BMI<18.5)に区分している。
この値を用い「肥満者」「やせの者」の比率動向を年齢階層別に確認していく。まずは男性。
中長期的には男性はどの年齢階層でも肥満者の比率が増えている。詳しく見ると30代から60代まではほぼ同じペースで、20代はやや緩やかに、そして70歳以上は今世紀に入ってから上昇率が大きくなっている。ただし70歳以上は寿命が延びるに連れて、より高齢層の比率が高まっているため、それも一因と考えられる(高齢層属性のより高齢化)。またこの数年に限れば20代が大きく値を伸ばしているのも目に留まる。
やせの者においては、数字の上では60代から70歳以上で減少の動きがある。70歳以上に関しては肥満者同様に「より高齢の者」の比率の増加が一因だろう。しかし60代も減少している以上、高齢者におけるやせの者の割合が多少だが減っていると見て問題はなさそうだ。
続いて女性。
肥満者に関して30代以下は大きな動き無し(2015年の30代における大きな減少はイレギュラーの可能性が高い)。20代で最近上昇する気配も見せているが、直近年では大きく下げたこともあり、もう少し様子を見る必要がある。他方40代から60代では20代の上昇とほぼ同じタイミングで減少の動きを示している。
やせの者の比率は20代では前世紀に一段上昇する形で増加した後は横ばい、30代から60代までは今世紀に入った前後あたりから増加の動きが生じている。女性のスリム化が進んでいる、一部で話題に上る過度なダイエット関連の話を想起させる流れではある。あるいは女性の就業率が高くなるに連れ、他人、中でも異性の目を気にして体格に注意を一層払うようになったとの説も、あながち的外れでは無い気がする。
■関連記事:
カロリー、たんぱく質、炭水化物…主要栄養素等の摂取量をグラフ化してみる(最新)
※国民健康・栄養調査
健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。2017年調査分における調査時期は2017年11月中、調査実施世帯数は5149世帯で、調査方法は調査票方式。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。