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【最新研究】若年層のアレルギー性疾患と緑内障の関連性 - 早期発見・治療のポイント

大塚篤司近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授
(提供:イメージマート)

【アレルギー性疾患と緑内障の関連性 - 最新の研究結果】

近年、若年層における緑内障の発症率が増加傾向にあります。緑内障は視神経が徐々に損傷され、放置すると失明に至る恐れのある疾患です。従来、緑内障は高齢者に多い疾患とされてきましたが、20代・30代の発症が増えていることが明らかになりました。

この背景には、アレルギー性疾患との関連性が示唆されています。韓国で行われた大規模な疫学研究では、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息といったアレルギー疾患を持つ若年層において、緑内障のリスクが有意に高いことが報告されました。

特にアトピー性皮膚炎では、緑内障発症リスクが最も高く、アレルギー性鼻炎、喘息がこれに続きました。アレルギー疾患による慢性的な炎症が、眼圧上昇や視神経障害につながる可能性が考えられます。

【アレルギー性皮膚疾患と緑内障の関係】

今回の研究で特筆すべきは、アトピー性皮膚炎と緑内障の強い関連性です。かゆみに伴う頻繁な眼擦りが、眼圧を上昇させ視神経障害を引き起こすメカニズムが示唆されています。

また、アレルギー性皮膚疾患では全身の酸化ストレスが亢進しており、これが緑内障の発症・進行に関与している可能性があります。皮膚のバリア機能低下により、アレルゲンへの曝露が増加することも一因と考えられます。

【若年層の緑内障予防・早期発見のポイント】

アレルギー疾患を有する若年者は、定期的な眼科検診を受けることが重要です。初期の緑内障は自覚症状に乏しいため、眼圧測定や視野検査などで早期発見に努めましょう。

日常的には、眼の過度な擦りを控え、アレルギー症状のコントロールを心がけることが予防につながります。特にアトピー性皮膚炎では、保湿や外用薬の使用により皮膚バリアを整え、眼擦りの頻度を減らすことが肝要です。

喫煙も緑内障の危険因子の一つです。禁煙は緑内障予防だけでなく、アレルギー疾患の症状改善にも有効とされています。

以上、アレルギー性疾患と緑内障の関連性について最新の知見をお伝えしました。若年層の緑内障が増加する中、アレルギー疾患を持つ方は特に注意が必要です。皮膚科医として、アレルギー性皮膚疾患が緑内障発症のリスク因子となり得ることを念頭に、患者さんへの啓発に努めていきたいと思います。

参考文献:

- Han, K., Jung, JH., Jung, Y., Ohn, K., & Moon, JI. (2024). The risk of open angle glaucoma in young adults with allergic diseases: a Nationwide cohort study. Scientific Reports, 14, 10694. https://doi.org/10.1038/s41598-024-57619-5

近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授

千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。コラムニストとして日本経済新聞などに寄稿。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版社)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)がある。熱狂的なB'zファン。

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