ガソリン小売価格は2週連続上昇、ついに165円台に突入
資源エネルギー庁が5月9日に発表した石油製品価格調査によると、5月7日時点でのレギュラーガソリン店頭小売価格(全国平均)は1リットル当りで前週比+0.3円の165.1円となった。
2週連続の値上がりであり、2008年9月29日の週以来の高値を更新している。値上がりは35府県、横ばいは5都県、値下がりは7道県になっている。値上がりは高知の+3.5円の167.45円、値下がりは神奈川の-0.5円の165.0円がそれぞれ最大になっている。前年同期の152.5円からは12.6円の大幅な値上がりとなる。
ドル建ての中東産原油価格は、前週の1バレル=104.55ドルから103.45ドルまで下落している。しかし、4月の原油価格上昇分のコスト転嫁が遅れていたことで、ゴールデン・ウィークをきっかけに小売価格の引き上げに踏み切った業者が多かった模様だ。消費増税の影響でガソリン小売価格は3月24日時点の159.0円から4月1日時点では164.10円まで急伸しており、需要へのダメージが警戒されていることが、コスト転嫁の動きを緩やかなペースに抑制している。
石油連盟の週報によると、4月27~5月3日のガソリン推定出荷量は98万5,498キロリットル。今年のゴールデン・ウィークは全体として好天に恵まれたが、ガソリン消費は期待されていた程のレベルには到達せず、出荷環境は通常のレベルに留まっている。特に、国内ガソリン需給の逼迫化は確認できず、需給要因からは大きく値上がりする必要性は乏しい。
5月の為替相場は若干円高気味に推移しているが、海外原油相場の高止まりが続く中、ガソリン小売価格もこのまま165円前後の高値圏で推移し易い状況が続く見通し。
■今後もガソリン価格は高値維持
ウクライナ情勢を巡る混乱状況は続いているが、ロシア産原油供給に対する影響は限定的との見方が強まる中、地政学的リスクを背景に原油価格を押し上げるような動きは見られなくなっている。東ウクライナ情勢次第では瞬間的に原油価格が急伸するリスクも残るが、欧州とロシアの双方にとって原油供給に混乱をもたらすことは余りにリスクが大きく、現実の供給障害は発生しないとの楽観的な見方が優勢になっている。
この結果、相対的に原油在庫環境が注目され易くなっている。その原油在庫であるが、現在の米原油在庫は過去最高水準を維持していることで、足元ではやや高値修整の動きが活発化し易くなっている。米国の指標油種であるWTI原油先物相場は100ドル前後の高値圏を維持しているが、在庫水準とのバランスに疑問を抱く向きが多く、目先は90ドル台中盤まで調整売りが膨らむリスクがある。
もっとも、今後は北半球がドライブシーズンを迎えることで、ガソリン生産のために製油所稼働率が上昇し易く、原油需給の緩みは一時的な動きに留まろう。年後半は安定的に100ドル台を維持する展開が続く見通しであり、石油輸出国機構(OPEC)の生産動向次第では、上値抵抗となっている105ドルを突破する可能性も十分にある。
ガソリン小売価格が現在の値位置から大幅に引き下がる可能性は低く、寧ろ年末にかけては現行価格を上回る場面が増える展開を想定しておきたい。消費増税の影響が注目され易いが、海外原油相場が高止まりしていることが重要である。