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【河内長野市】いよいよ明日の日本酒の日、開店しますよ!酒蔵通りの「天空」さんへ、ひと足お先に。

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

明日10月1日は「日本酒の日」ですね。河内長野には南河内地域でほぼ唯一となった日本酒蔵「天野酒・西條合資会社」があります。

同酒蔵の所有する江戸時代の建物をリニューアル。大阪産(おおさかもん)をテーマとした飲食店として、この記念すべき日にグランドオープンします。

そのお店の名前は「大阪産料理 天空(てんくう)」。今回プレオープンの段階で特別にお邪魔し、どんな料理が食べられるのか確認してきました。

河内長野駅から続く高野街道は、趣のある町並みが今も残っています。特に天野酒さんの前は酒蔵通りと呼ばれていて、登録有形文化財の建物があります。

酒蔵通りの右側が、天野酒さんの酒蔵兼直売所。左側は今まであまり使われていない建物でした。とはいえ登録有形文化財としての価値が高く、通りの雰囲気を盛り上げてくれるものでした。

また堺出身で大英博物館、ボストン美術館、メトロポリタン美術館など世界の主要な美術館で作品を展示するなど、世界で活躍している四代 田辺竹雲斎氏(外部リンク)ともかかわりがある建物なのだそうです。

実は彼の父に当たる先代(三代田辺竹雲斎)と、祖父に当たる先々代(二代田辺竹雲斎)は、戦時中に10年間ほど河内長野に疎開しており、そのときに住んでいた建物だったそうです。

夏ごろの工事中の様子
夏ごろの工事中の様子

ところで、この文化財の建物を使って新しくお店を始めるという情報を夏前に聞きました。これは夏のころの写真ですがこのように内部の工事が行われていたわけですね。

天野酒さんのフェイスブックによると、国や河内長野市からの補助金で行われた再生事業とのこと。文化財を守りながらかつ収益を出していこうというモデルケースなのだそうです。

こうして工事が無事に終わり、明日10月1日から、大阪産料理 天空がグランドオープンします。

今回、プレオープンの機会に予約を入れることができ、先行してお邪魔させていただくことが出来ましたのでご報告します。

ということで、お店に入ってみましょう。入口には「あきない中」の表札と、ランチメニューが明記してあります。そして国登録文化財の看板が目を引きますね。

入り口入ってすぐ、いきなり吹き抜けになっていました。実に開放的な空間ですね。

ここの空間に、オープンキッチンのカウンターがあります。当面はランチ営業のみ(11:30~13:30、12:00~14:00、13:30~15:30)ですが、将来的に夜営業が始まれば、ここで仲間と美酒を味わうのには最適な気がしました。

大きな丸テーブルの上にあるのは、同酒蔵が天野酒と名乗る前の銘柄「波之鶴」。

オープンということで、お祝いのお花が多く飾られていました。

さて、お座敷に設けられたテーブル席では、靴を脱いであがります。

真新しい畳の上に、テーブルが配置されています。一組ごとに仕切りがしてあり、ゆったりとしたテーブル配置なので、コロナ渦のご時世でも安心感がありますね。

奥の部屋に飾ってあったこのアンティークな箪笥には、不思議なご縁を感じさせるエピソードがあるそうです。

現当主(蔵主)の祖父に当たる人がこの箪笥を購入し大事にしていたものだったのですが、実はこの箪笥は蔵主夫人の祖父が東京美術学校(現東京芸大)在学中に作ったものであったとか。

つまり現蔵主夫妻の生まれる前から西條家にあったそうで、こういうのを「縁」というべきなのでしょう。素敵なお話ですね。

奥の部屋からは、中庭が見えるようになっています。

窓から見える右側の場所はスタッフ専用の場所ですが、昔は蔵だったことがよくわかります。

せっかくなので入口から席までの模様を動画にUPしました。

ということで、席に座りましょう。席の後ろにある花瓶も気になりますね。

さて席に着きました。落ち着いた色合いのランチョンマット。また箸置きも水引をモチーフにしていて、酒蔵レストランらしくとても良い雰囲気です。

せっかくなので、壁際の調度品もじっくり見ておきたいところ。

そんな中、このように改装前の古い扉をそのままインテリアとしているところを発見!ここは文化財の中であることを再認識しました。

テーブルにはこのように当日のメニューが置いてありました。そして手書きで「ようこそ○○様」と、予約した人ひとりひとりにメッセージが付けられていました。嬉しい心遣い。

メイン料理を3種類から選べるようになっていて、食後のドリンクはコーヒーと紅茶から選べます。

こちらはお酒のように見えますが、お水です。

もちろん天野酒のメニューがあります。こちらの4種類から選べるそうです。

  1. 本醸造無濾過生
  2. 純米吟醸無濾過生
  3. 純吟大辛口無濾過生
  4. 大吟醸無濾過生

またどうしても日本酒が飲めない人のために、生ビールやソフトドリンクもあるので安心ですね。

さて、お昼ですが、1杯だけ大吟醸をいただきました。これは正解で、この大吟醸とこの後いただく料理との相性が抜群です。

最初に食前酒が来ました。天野酒の甘酒(ノンアルコール)ですが、それに早生みかんが付いています。

これは最初甘酒だけを味わい、そのあとみかんを絞って甘酒の中に入れて飲めば、かんきつの味わいが甘酒と調和して、ふたつの味が堪能できるという塩梅ですね。

こちらが八寸とあしらいになります。

しかし、しし唐など見た目すぐにわかるものもあれば、一瞬、なんだろうと思うものもありますね。

ご安心ください。テーブルの上に八寸とあしらいの内容が書いてあるものが置いてあります。

今回の八寸は、栗とさつまいものきんとん、蓮根まんじゅう、よもぎ麩田楽、自家製鴨の生ハムと無花果、地鶏テリーヌ吟醸仕立て、鯵と焼きナス新生姜の香り。

あしらいは、つるむらさきの花のおひたし、海老芋唐揚げ、しいたけ時雨煮、プチトマトコンポート、発酵茗荷です。

このようにきんとんに小さな傘が刺さっているのもビジュアル的に良いですね。食べるだけでなく、その前にじっくり目で楽しみましょう。

しし唐の中に、一口サイズの蓮根まんじゅうが隠れていました。

肝心の味わいですが、それぞれに違った味わいはもちろんのこと、一品ずつ非常に手の込んだものだというのがわかります。

いよいよメインが登場しました。今回は「牛頬肉の熟成粕吟醸煮込み」を選びました。

立派な肉の塊ですが、箸で軽く裂けます。柔らかくて食べやすいですね。しっかり煮込んでいるのがわかります。和風味のデミグラスソースとの相性も良いです。

こちらは魚庭海鮮ちらし寿司です。

ご飯が来ました。「能勢の米」とのこと。これは少し疑問に思いました。河内長野産の米ではないのかと。

西條陽三蔵主に伺ったところ、あくまで大阪産(もん)がテーマなので、河内長野にはこだわっていないそうです。いろいろ試したうえで、能勢の米はほど良い硬さと旨さだから採用したとのこと。米の産地については将来的に変わる可能性があるそうです。

また提供する料理にすべてに大阪産を使う、あるいは発酵食品を使うわけではないとのこと。とはいえ、野菜の多くは河内長野を中心とした奥河内のものが多いのは事実のようです。

お味噌汁は、ゴボウや焼きねぎ、三つ葉など具だくさんでした。

こちらがデザートです。種類があるのが良いですね。あとフィニッシュにコーヒーが出てきます。

食事が終わったところで、女将の中野真林(まりん)さんからお話を聞くことができました。

天空さんは、実は難波にある「大阪産 空」さんと天野酒さんがタッグを組んだお店。中野女将は、天空さんで女将になるべく、難波のお店で研修を重ねました。そして5月頃から、河内長野に来たそうです。

女将によると、難波の空さんのランチは場所柄、ビジネスランチとして12時台にいかに回転を早くするかが勝負だったそうです。それに対して、河内長野はまったく異なり、ゆったりと食べていただくお店。

最初に河内長野に来たときの感想は、「江戸時代から残っている建物に感動した」そうです。

昔の形が残っているとはいえ、内部は何もないところからスタートし、ようやく開店することができたことがとにかく嬉しい、また雇用の面も含め河内長野の近隣の人とこの街を盛り上げられたらと話されていました。

天野酒を初めて飲んだ時の感想を聞くと「飲んだ後に酔いが残らず、悪酔いしない印象」とのこと。チューハイやビールとも違う日本酒の奥深さを知った気持ちだったそうです。

また住まいの堺から河内長野は近いけれど、こういう機会がないとなかなか来ることもなかったということで、実際に河内長野に来てみて自然の美しさなどに堺との違いをすごく感じたそうです。

お話を聞いてみて、いよいよグランドオープンに向けて、気合が入っているように感じました。

私がこの日最後の客ということで、永野貴洋料理長にもお話を聞くことができました。料理長もやはり堺の方で、焼き鳥居酒屋から料理人生をスタートし、岸和田でフレンチの経験があるとのこと。現在も夜は堺でビストロバルを経営しているそうです。

料理長が河内長野に来たときの感想は、「店の裏でカワセミが鳴いている」と河内長野の自然に感動したそうです。

料理は地産地消(大阪産)にこだわりたいと考えておられ、特に河内地域は海老芋や大根などの根菜類がおいしいので、どんどん河内のおいしいものを使いたいとのことでした。

それに加えて、和にだけこだわりたくないとも言っておられました。「天野酒の味はフルーティーで白ワインに味が似ている」ということですが、言われれば確かにそうですね。

そのため、日本酒に合わせられる料理として、和食だけでなくフレンチの技法も取り入れていくそうです。

「とにかくお客様の満足度を高められる料理を作りたい」ともおしゃっていました。

ところで、車で来る人も多いと思いますが、駐車場は西條橋パーキング2階に16台完備しています。パーキングからは歩いてすぐなので利用しやすいですね。ただし車で来るとき、運転手は天野酒が飲めないので注意しましょう。

右から永野料理長、中野女将、西條蔵主(社長)
右から永野料理長、中野女将、西條蔵主(社長)

女将も料理長も堺から来られたとのこと。それは本当に偶然だと思いますが、かつて堺の芸術家・田辺竹雲斎も堺から10年ほど住んでいた場所がお店になりました。そう考えるといろいろ面白いですね。

ということで、大阪産料理天空さんにお邪魔し、お昼からリッチなランチをいただきました。

河内長野駅から徒歩圏内に、河内長野が誇る名酒・天野酒直営飲食店ができたことはきっと市外でも大きな話題となり、人の流れにも勢いがつくのではないでしょうか。

最後にひとつだけ、天野酒さんの直売店ではモックルコインが使えますが、大阪産料理天空さんはモックルコインが使えませんのでご注意ください。

大阪産料理天空(外部リンク)
住所:大阪府河内長野市長野町13-11
営業時間:11:30~15:30
定休日:火曜日
※予約はWebページからお願いします。
アクセス:南海・近鉄河内長野駅から徒歩4分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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