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ハリー王子とメーガン妃のパロディアニメに絶賛の声。「彼らの嘘っぽさをさらけ出した」

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト

 注目を浴びるのが大好きなハリー王子とメーガン妃が、またもやアメリカを騒がせている。だが、今度は、本人たちにとってあまり嬉しくない形でだ。大胆でブラックな笑いを得意とするアニメーション番組「South Park」で、ネタにされたのである。

 今週放映されたその回はタイトルからして「World Privacy Tour」と、実に皮肉。キャラクターはフィクションで、イギリスではなくカナダの王子とその妻という設定ながら、見た目は完全にハリー王子とメーガン妃だ。

 物語のはじめで、彼らは「Stop Looking at Us(私たちを見るな)」「We Want Our Privacy(私たちはプライバシーを求める)」と書いたプラカードを持って、カナダのテレビ番組に出演する。王子は回顧録を出版したばかりとのことで、司会者がその本を見せるのだが、表紙はハリー王子の「Spare」にそっくりだ。

(amazon.com)
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 番組内で夫妻は「私たちは普通の生活がしたい」と主張し、カナダを出ていくと啖呵を切る。それからふたりはプライベートジェットに乗り、パリ、シドニー、ニューヨーク、コロラドのスキー場など世界各地を、「We Want Our Privacy」と叫びながら訪問。そして最後に、「ここなら静かだから、私たちが本気で普通の暮らしをしたいと思っているのだとみんな信じてくれるのではないか」と計算し、この番組の主人公カイルが住むサウスパークに落ち着く。

 夫妻が住むと決めたのは、カイルの向かいの家。家の外に「Leave Us Alone(私たちを放っておいて)」と大きく書いた垂れ幕を掲げるわりには、花火を打ち上げたり、家の前でドラムを演奏したり、馬を乗り回したりと目立つことばかりやって、うるさい。カイルが文句を言いに行っても彼らは聞く耳を持たず、後にカイルが彼らを無視すると決めると、王子の妻は「私がエスニックの女性だからいじめるのね」と、人種を持ち出して怒る。

 カイルが学校でそのことをぼやくと、友達に「カナダのバカな王子とその妻なんてどうでもいい」と言われた。それに対してカイルが「僕だってどうでもいいよ」と言うと、「じゃあどうしていつもあの人たちの話をするんだよ?」「もうあの人たちの話を聞くのは疲れた」と返される。まさに、現実の世界で聞かれる会話と同じで痛烈だ。

 物語の最後で、カイルは、自分をブランドあるいは商品として売り込むことの愚かさを語る。ひとりの人間として正直に生きるのが正しいと、カイルは力強く説くのだ。それを聞いた王子は納得し、「そうだ、その通りだ。僕らはもうブランドにしなくてもいいよね。もう雑誌にもNetflixの番組にも出なくていいよ」と言うのだが、妻は無言。「大事なのは中身だ」「僕らは普通の人だと言ってきたんだし、その通りに生きよう」と引き続き語りかけても妻は何も答えず、最後に王子は妻を残し、ひとりで立ち去ってしまう。なんともブラックなオチだ。

 このパロディについて、ソーシャルメディアには「笑いが止まらなかった。最高」「ハリーとメーガンはこれら漫画のキャラクターを訴訟したりして」「そうなったらまた『South Park』がネタにできるね」「ハリーとメーガンの嘘っぽさを最高の形でさらけだした」などといった絶賛コメントが寄せられている。1997年に始まり、長い人気を誇ってきた番組だが、「これまでで最高の回」との声も出た。

 一方で、当のハリー王子とメーガン妃は、「Spare」のプロモーション活動がひと段落して以来、おとなしくしている。とくにメーガン妃は、「Spare」は夫のプロジェクトであることからその間もあまり前に出てこなかったし、結構ご無沙汰だ。

 しかし、今度はメーガン妃が回顧録を出版しようとしているようなのである。まだ書き始めたばかりだが、夫の本の成功に刺激を受け、彼女もそこに目標を定めているとのこと。メーガン妃のこれまでの発言には真実と違うとの指摘が多く、彼女は姉サマンサ・マークルから名誉毀損で訴えられてもいる。彼女の本の内容と反響によっては、また「South Park」の出番があるかもしれない。

写真:South Park Studio/ Comedy Central

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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