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「休養後、別ポストで復職」というやっぱり「前時代的な」伊原前監督の進退

豊浦彰太郎Baseball Writer

6月上旬から休養していた伊原春樹前西武監督が、7月から球団本部付けアドバイザーに就任するという。そもそもチーム不振の責任を取って監督の座を降りる手法が「休養」ということがなんとも前時代的だったが、その後のポストを球団に用意してもらうというのもダンディズムに欠ける印象を拭えない。

まず申し上げておきたいが、伊原前監督だけでなく私もこのコラムを読んでいるあなたも生活の糧としての職業は必要で、時としては自分のプライドを超越してでもそれを確保することを優先せねばならないということだ(伊原前監督の経済状況は知る由もないが)。それを踏まえて敢えて私見を以下の通り述べたい。

職業が必要だとか、球団に愛着があるとか、野球に関わり続けたいとかの事情があるなら伊原はそもそも監督の座を降りる必要はない。

彼の管理手法は西武の選手には受け入れられなかったようだが、そういう方針も本来は「アリ」だと思う。

また、本来チームの勝敗の要因は監督の選手起用や采配ではなく戦力にある。

選手が反発しようが負けが込もうが、この職業が好きで自らの方針に信念があるなら少なくとも自ら監督を辞する必要はない。

「休養」という段階を経るという意味不明なプロセスも、おそらく自分から申し出たものではなく「休養しなさい」と球団から強く求められたのだろう。

そして、多分その球団からの提案は「ほとぼりが冷めたら○○というポストを用意するから」という「早期退職プログラム」とセットであったのだろう。

私個人としては、球団から解雇されるまで伊原には監督の座に拘って欲しかったし(球団が一方的に解雇するなら本来の契約期間のサラリーも保証される)、本当に「責任を取りたい」と思っていたのなら「休養」という古臭い形式をとる必要もないし、アドバイザーとしてのオファーも受けるべきではないと思う。

西武も西武だ。何らかの問題があった人物を一時的に表舞台から下ろしその後別のポストで復帰させるとは、どこかの古臭い体質の企業が不祥事を起こした際に良く採る手だ。球団が不振の責任をどう考えているのか全く不明だ。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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