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恋愛シミュレーションゲームの礎を築いた『ときめきメモリアル』と『アンジェリーク』 #専門家のまとめ

多根清史アニメライター/ゲームライター
Image:Konami/YouTube

1994年に『ときめきメモリアル』と『アンジェリーク』が登場し、瞬く間に恋愛シミュレーション・ゲーム(以下SLG)が定着してから30年の歳月が流れました。つまり「初代PlayStationtと同じだけの歴史」を積み重ねてきたわけです。

すでにあった育成SLG(対象が主人公か大陸かの違いはあれ)を軸として「攻略対象」との人間関係を築くシステムは「恋愛をゲーム化する」という発想を含めて、後世のゲームのあり方を大きく変えたはず。そんな両作をめぐる想い出や、最近の動きをまとめてみした。

ココがポイント

当時は女性向けゲームがありませんでしたから、参考になるものもなくて(中略)開発途中の画面は全然おもしろくなさそうだった
出典:ファミ通.com 2024/9/23(月)

まだ現在のようなSNSがなかった時代、パソコン通信の会議室で評判を呼び、恋愛シミュレーションブームの火付け役となった
出典:日刊SPA! 2024/9/15(日)

藤崎詩織はときメモ界隈でもラスボスと呼ばれるほど付き合うのが難しいヒロイン(中略)音と記憶だけを頼りに最速でカップル成立
出典:集英社オンライン 2024/8/10(土)

「乙女ゲームの悪役令嬢」は実在するのか? 90年代乙女ゲームから悪役令嬢を見出してみよう
出典:4Gamer.net 2024/5/25(土)

エキスパートの補足・見解

「ときメモ」も「アンジェリーク」といった恋愛SLGが、様々な派生ゲームや映像作品などにコンセプトやシステムを受け継がれつつ、最新のゲーム文化やプレイヤーと30年の歳月を経て「出会った」ことが鮮烈な化学反応を呼んでいます。

1990年半ばにも最速クリアや複数ヒロインの同時攻略(途中のセーブデータから、どのキャラのエンディングも到達可能にする)はあったものの、「RTA」という概念に洗練されるのは後のことです。が、それでも人間が身体一つでやり遂げる「究極のアナログ」がここまで進化し、かつ「ときメモ」と再び巡り会う感慨深さ。

また、コーエーテクモゲームスの襟川恵子会長が「女性向けのゲームがないのはおかしいと感じ、誰も作らないなら自分が作ると決めた」パイオニア精神、まだ「ゲーマーは硬派」という固定概念が強かった頃にパソコン通信で人気に火を点けた人々。こうしたマグマのような「熱」があったから、恋愛ゲームの豊かな地平が切り拓かれたのでしょう。

そうした積み重ねの果てに、恋愛SLGの悪役令嬢という「存在しない記憶」が形づくられていったのも、「熱」が報われた証しと言えます。

アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、TechnoEdgeで記事を執筆中。

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