恋愛シミュレーションゲームの礎を築いた『ときめきメモリアル』と『アンジェリーク』 #専門家のまとめ
1994年に『ときめきメモリアル』と『アンジェリーク』が登場し、瞬く間に恋愛シミュレーション・ゲーム(以下SLG)が定着してから30年の歳月が流れました。つまり「初代PlayStationtと同じだけの歴史」を積み重ねてきたわけです。
すでにあった育成SLG(対象が主人公か大陸かの違いはあれ)を軸として「攻略対象」との人間関係を築くシステムは「恋愛をゲーム化する」という発想を含めて、後世のゲームのあり方を大きく変えたはず。そんな両作をめぐる想い出や、最近の動きをまとめてみした。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
「ときメモ」も「アンジェリーク」といった恋愛SLGが、様々な派生ゲームや映像作品などにコンセプトやシステムを受け継がれつつ、最新のゲーム文化やプレイヤーと30年の歳月を経て「出会った」ことが鮮烈な化学反応を呼んでいます。
1990年半ばにも最速クリアや複数ヒロインの同時攻略(途中のセーブデータから、どのキャラのエンディングも到達可能にする)はあったものの、「RTA」という概念に洗練されるのは後のことです。が、それでも人間が身体一つでやり遂げる「究極のアナログ」がここまで進化し、かつ「ときメモ」と再び巡り会う感慨深さ。
また、コーエーテクモゲームスの襟川恵子会長が「女性向けのゲームがないのはおかしいと感じ、誰も作らないなら自分が作ると決めた」パイオニア精神、まだ「ゲーマーは硬派」という固定概念が強かった頃にパソコン通信で人気に火を点けた人々。こうしたマグマのような「熱」があったから、恋愛ゲームの豊かな地平が切り拓かれたのでしょう。
そうした積み重ねの果てに、恋愛SLGの悪役令嬢という「存在しない記憶」が形づくられていったのも、「熱」が報われた証しと言えます。