NY金2日:続落も、米雇用統計発表後は下げ幅縮小
COMEX金8月限 前日比比5.80ドル安
始値 1,167.70ドル
高値 1,168.20ドル
安値 1,155.80ドル
終値 1,163.50ドル
ギリシャ発のリスクオフの動きが一服する中、前日の軟調地合を引き継ぐ形で続落した。
ギリシャ情勢には特に新たな進展はみられず、マーケットでは議論の開始は7月5日のギリシャ国民投票の結果を見てからとのムードが支配的。ただ、ギリシャ問題を手掛かりに上値を試せなかった心理的なインパクトは大きく、アジア・欧州タイムは戻り売り優勢の展開になった。本日の安値は1,155.80ドルに達しており、3月18日以来の安値を更新している。
もっとも、ニューヨークタイムは6月米雇用統計が相場を一段と下押しすることに失敗したことで、逆に安値是正の動きが優勢になっている。サプライズとなる程に悪い内容ではなかったが、非農業部門就業者数は前月比+22.3万人と、市場予測+23.3万人、5月の+24.5万人を共に下回っている。また、注目度の高かった平均時給についても前年同月比+2.0%となり、前月の+2.3%からプラス幅を縮小している。失業率は5.5%から5.3%まで低下したが、これは労働参加率が63.2%から62.9%まで低下した影響であり、必ずしも労働市場の改善を示している数値とは言えない。
これによって9月利上げの可能性が排除されるような弱い数値ではないが、逆に9月利上げを確実なものにすることにも失敗している。金市場では今回の雇用統計をきっかけに一気に1,150ドルの節目割れを期待していた向きも多かっただけに、雇用統計発表後は売りポジションの整理が優勢になっている。米独立記念日で今週末は3連休を控えていることも、早めに売りポジションの含み益を確定する動きにつながった模様だ。
引き続きギリシャ情勢の進展状況が注目されるが、今回のリスクオフ・イベントで金相場を再び押し上げられなかったインパクトは大きい。金相場の地合の悪さが再確認される中、6月雇用統計にこの流れを転換させる程のインパクトを有しているのかは疑問視している。本日の引け際の切り返しに関しても「連休前」というカレンダー要因の影響が大きく、戻り売り基調を打ち崩す程のものではないだろう。目先は、7月8日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(6月16~17日開催分)で改めて利上げプレッシャーを金価格に織り込んでいけるのかが試される。